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Sランク冒険者ベルスレイア




 皇帝により、城へと呼び出されたベルスレイア。城から使いの者が現れ、用意された馬車に乗って向かう。

 当然――影の中にはリーゼロッテと複数名の黒薔薇、白薔薇が控えている。また、付き人としてシルフィアとルルも同行している。


 使者は特に無礼ということもなく。ベルスレイアの好みに合わせたのか、麗しい女性でもあった為、問題は特に起こらなかった。

 そうして謁見の間へと通されて。とうとう、事が起こる。


「ふっ。お主が『炎の薔薇姫』か。余の前でも頭を垂れぬとは、良い度胸だ」

 玉座から立ち上がり、わざわざベルスレイアの目の前まで歩いてきた男。皇帝――その名をライゼンタール。

「気に入った。貴様は余の女になれ」

 初っ端から、ベルスレイアの地雷を踏み抜いた。


 ベルスレイアは男に興味がない。自分が好きだから、性愛を抱く対象も女であった。男の求愛は、まるで虫や獣の求愛のようにも思えた。

 要するに、不快であった。

「決めたわ。お前は殺さない」

 ベルスレイアは怒りを抑えつつ、答える。

「死ぬ方がマシだと思えるぐらい、苦しめて、地獄に落としてあげる」


 ベルスレイアの、あまりにも率直で不敬な物言いに、謁見の間に集まっていた貴族、大臣達がざわつく。

「静まれ」

 が、すぐに皇帝が一声掛けて収めた。それでも尚、ベルスレイアに鋭い視線を向ける者は居たのだが。


「余の国は実力主義だ。貴様ほどの力があり、胆力に優れた女は貴重だ。貴様の血を引く子供が、余はさらに欲しくなったぞ」

「その減らず口。叩いたことを後悔するわよ」

「ふん。余の皇后も、同じようなことを言ったものだ」

 ベルスレイアがどれだけ言葉で拒絶しようとも、皇帝には効いていない。


 それだけ自信があるのだもの。実力の方も相応のものなんでしょうね。と、ベルスレイアは考え、血の魔眼を使う。


――――――――


名前:アインヘリウス・リンドバーグ・ライゼンタール(Einherjus Lindberg Reisenthel)

種族:妖精族竜人種

職業:王者

レベル:16


生命力:97

攻撃力:67

魔法力:62

技術力:56

敏捷性:51

防御力:71

抵抗力:65

運命力:53


武器練度:剣A 槍A 斧S 拳A

魔法練度:炎S


スキル:血統 カリスマ 護りの祈り

    叛逆 逆境 必殺 強振

    斧の匠 王威


――――――――


 確かに皇帝の――アインヘリウスのステータスは優れていた。元Sランク冒険者のギルバートにも匹敵する。

 だが――所詮はそこまで。ベルスレイアにとっては、アインヘリウスも、ギルバートも、酒場で最強を名乗るうすらハゲのオヤジも、大差無い。皆等しく、雑魚である。


「時に、ベルスレイアよ。余の国は今、隣国である聖王国、サンクトブルグから様々な要求を突きつけられていてな」

 まるで、世間話でもするかのように。アインヘリウスは軽々しく、国と国のやり取りについて口にする。


「何でも、かの国にて国家反逆罪に問われている犯罪者、フラウローゼス公爵家の令嬢が余の国に居るのだとか」

 意味ありげに、ベルスレイアの目を見ながら笑みを浮かべたアインヘリウス。

「余としては、そのような者が本当に居るのなら、突き出してやっても構わぬのだよ。――尤も、余の国には居らぬと思うがね。特に、余の妻となる女性には、絶対に居らぬ」


 その主張の意味を、ベルスレイアが間違うはずもなく。

「……そう。なら、楽しみにしておきなさい」

 宣戦布告の言葉を口にする。

「愛する者に殺される――なんて、まるで物語の主人公のような思いになれるわよ」


 それだけを告げると、ベルスレイアは踵を返す。許可も得ていないのに、謁見の間から退室する。

 これがベルスレイアと――帝国の至宝とも呼ばれる『火竜帝ライゼンタール』との戦いの火蓋が切って落とされた瞬間であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] どう見ても弱いクソザコにしか見えないんだけど、皇帝さん。 それに実力主義を歌うのに、血筋なんてものを持ち出すの? それは実力主義じゃないでしょ。 実力主義ならば、主人公を皇帝にすれば良いだけ…
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