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魔物の暴走と防衛戦 08




 ベルスレイアによる、魔物の蹂躙劇。広大な範囲に広がる炎の嵐は、およそ小一時間程で収束した。

 一匹残らず、魔物を殲滅して終わったためである。


 常闇の剣を収納魔法に収め、女性冒険者達の待つ方へと戻っていく。すると、黄色い声援がベルスレイアを出迎えた。

「ベルスレイア様ぁ~!!」

「格好良かったです!」

 冒険者達が口々に称賛する。称賛されるのは嫌いではないので、ベルスレイアも気分が良くなっていく。


「ふふ、当然よ。この私があんなゴミ虫共に後れを取るはずが無いでしょう?」

 と、ベルスレイアが言って見せれば。わあわあ、きゃあきゃあと冒険者達が盛り上がる。

「ほ、本当に凄かったです! 守ってくれてありがとうございましたっ!!」

 そう言って、頭を下げてくる冒険者の少女。確か、訓練初日の昼食で真っ先に手を付けた少女であった。

 食い意地が張っていて、口いっぱいに食事を頬張る。その姿から、ベルスレイアは内心でこの少女をハムスターと呼んでいた。


「それよりも、私の勇姿はしっかり目に焼き付けたかしら?」

「はい!」

「偉いわ。後はギルドで、私の活躍を証言してくれれば今日の仕事は終わりよ」

 言いながら、ベルスレイアは収納魔法からあるものを取り出し、少女に与える。


「あの、これは?」

「ご褒美にあげるわ。ひまわりの種よ」

「はあ」

 少女は首を傾げながらも、ベルスレイアからひまわりの種を受け取る。そしてもったいないので、殻をむいて食べ始めた。田舎の出身であり、種をおやつに食べるのは日常的なことだったのだ。


「――さあ、帰還するわよ。ついていらっしゃい」

 そう言って、ベルスレイアが先頭になり、帝都へと帰還する。女性冒険者達は、そんなベルスレイアに熱い視線を注ぎながら、付き従うのであった。



 そうして帝都へと帰還したベルスレイア。当然、冒険者ギルドでは英雄として迎え入れられた。誰もがベルスレイアを讃えた。集団暴走を一人で抑え込んだ英雄として。


 その功績もあって――無事、ベルスレイアはSランク冒険者へと昇格。シルフィアとルルは同行していなかったことになっている為、Cランクで変化なし。

 また、ベルスレイアが指揮した女性冒険者の集団について。彼女達は、ベルスレイアを慕う者同士でクランを結成。『野薔薇』を名乗り、活動を開始した。勝手に名乗り始めただけの組織であり、ベルスレイアの直接の家臣というわけではない。


 が、ベルスレイアの熱烈なファンでもあるため、ほぼ手下も同然となっている。また、時折ベルスレイアの屋敷を訪れ、黒薔薇、白薔薇から指導を受けている。

 結果、野薔薇の面々も実力を高め、礼儀作法を学び少々上品さを増す結果にもなった。


 そうした変化に伴い、ベルスレイアの評価も一変する。銀薔薇と同一人物であると疑われていたが、それ以上に英雄としての名声が広まる。主に野薔薇達が勝手に広めた。

 その名も『炎の薔薇姫』。大規模な炎の魔法を使い、魔物の集団暴走を一人で撃退したことから、そんな二つ名が広まってしまう。


 こうして――ベルスレイアの名は、帝都にて知らぬ者は居ないほどとなった。そして『炎の薔薇姫』と呼ばれ、多くの者達に尊敬される。一方で『銀薔薇』の正体でもあると噂され、恐れられもする。二つの理由があり、ベルスレイアに逆らうような者は居なくなった。

 ベルスレイアが望んだ形。帝都の支配に、また一歩近づいたのである。


 そして――そんなベルスレイアに、新たな呼び出しがかかる。

 今回はギルドではなく、皇帝から。

 Sランク冒険者として帝都を救った、その栄誉を表彰するというのであった。

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