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魔物の暴走と防衛戦 07




 ルルの現在のステータスは以下の通りである。


――――――――


名前:ルル・アプリコット(Lulu Apricot)

種族:妖狐族

職業:天馬騎士

レベル:3


生命力:261

攻撃力:113(+4)

魔法力:139(+12)

技術力:135(+10)

敏捷性:143(+12)

防御力:112(+5)

抵抗力:121(+8)

運命力:129


武器練度:剣A 弓B 暗器A 拳X 杖B

魔法練度:炎X 風S 雷X 氷S 闇S 治癒S


スキル:天狐の魂 死の呪い 悪運の呪い

    魔闘気 精強 魔力 灼熱

    広域戦闘 精神統一 暗視

    剣の匠 魔導の匠 格闘の匠

    魔族特攻 魔物特攻

    望月 朧月 新月


――――――――


 賢者以降の転職遍歴は、拳法家、魔拳士、狩人、侍、呪術師、死霊術師、天馬騎士である。主に月と付く奥義スキル、そして匠とつく装備によるステータス強化スキルを目的とした転職である。

 現在の天馬騎士は天馬聖騎士の『槍の匠』と光魔法の習得の為に選択している。また、天馬騎士のような魔獣騎乗持ちの職をマスターすることで、重装兵士から魔獣騎兵へと転職可能となる。魔獣騎兵は満月というスキルを習得し、それで月の付く奥義スキルは網羅出来る。


 そして『天狐の魂』というスキル。リーゼロッテやシルフィアと同様、ステータスの上限突破スキルである。

 習得の状況もシルフィアと同じであった。一度、上限に達して成長が止まった。その後もスキル習得を目的にレベルを上げ続けた結果、『天狐の魂』スキルを習得。上限を突破し、ステータスが百を超えた。


 この結果を受け、ベルスレイアは魂系のスキルの習得条件をほぼ確定した。ルルもまた、同様の考えであった。

 それを踏まえて、今回の白薔薇、黒薔薇のレベリングではあるデータを集めている。


「――ステータスが上限に達した子は、ちゃんとレベルとステータスをメモして! 成長限界を突破することが出来たら、その時もメモをすること!」

 このメモを参考に、魂系のスキルの習得条件を算出しようという算段だ。今回のレベリングには、そうした意図も含まれている。

 また、もしも成長限界突破の条件に間違いがあったなら。それもまた、今回とったメモから判明するはずであった。


 だが、その心配はほぼ杞憂であった。白薔薇、黒薔薇の面々もまた、次々と成長限界を突破していたからである。

 とはいえ、彼女達はステータスの伸びが悪い。シルフィアやルルよりも突破するまでが遅くなっていた。

 レベルを上げる度、次のレベルまでに必要な経験値は上昇する。故に、実質的な限界は比較的低くなっていた。


 とはいえ、それでも限界突破はしている。そこらのA級冒険者は無論のこと。元Sランク冒険者のギルバートすら超えるステータスの持ち主まで現れる状況となった。



 ――そうして自分の影の中で、パワーレベリングが続く中。ベルスレイアはただ単調な魔物の討伐作業を続けていた。

「……暇ね」

 退屈そうに呟きながら、派手に魔法を使い、魔物を吹き飛ばす。死んだ魔物の素材も、纏めて焼き払ってしまう。が、いちいち拾うほどの価値もない。ベルスレイアにとって、ではあるが。


「私も、手合わせに混ぜてもらいたいわ」

 と、影の中を血の魔眼を使い覗き見しながら嘆く。リーゼロッテと手合わせできるシルフィアが、この時ばかりは羨ましくて堪らなかった。

 しかし、ベルスレイアはリーゼロッテがこの特訓を秘密にしたがっていることを知っている。故に、リーゼロッテを尊重する以上、手合わせに割って入ることは出来ない。例え魔物の討伐中でなかったとしても。


「――まずは、お掃除を早く終わらせましょうか」

 息を一つ吐いて。ベルスレイアは血の魔眼を光らせ、魔法を放つ。炎の嵐が何度目かも分からないほど何度も吹き荒れる。その中を突き進みながら、常闇の剣を構えて討ち漏らしのないよう周囲に目を光らせる。



 ――その頃の、ベルスレイアの影の中。リーゼロッテとシルフィアの手合わせ、訓練が続く。

「うふふ」

 にこにこ、と。リーゼロッテは笑みを浮かべつつ、身体をゆらりと動かす。すると、次の瞬間には姿が消える。瞬動と空歩の合わせ技。シルフィアと同じ技であった。

「フッ!」

 これをシルフィアは、まるで軌道が最初から分かっていたかのように回避。リーゼロッテの構えた剣は空を切る。


 その剣の、柄の部分。赤く光る石――賢者の石が埋め込まれていた。実は、これはベルスレイアお手製の剣であり、魔導器でもある。

「えいっ!」

 リーゼロッテの、気の抜けるような掛け声。だが、直後に発生したのは、鋭い氷の無数の刃。リーゼロッテの太刀筋を補うような魔法攻撃が発生。


 仕組みは単純。本来、魔法は魔導書に刻まれた魔導式から発動させる。この魔導式を賢者の石に組成が微妙に異なる賢者の石で刻み、さらにまた別の賢者の石でコーティングを施したものがリーゼロッテの使う魔道具である。

 耐久性は魔導書と異なりほぼ無限。内容もベルスレイアによって改良済み。そうした魔道具へと、ほぼ全員が持つ賢者の石が改良を加えられ変化していた。


 中でもリーゼロッテ、シルフィア、ルルの三人の賢者の石は別格。ベルスレイアの血の魔眼のように、発動する魔法を改良可能。威力や効果範囲等に可変性を加えた状態で魔導式を刻んである。

 その為、今回の手合わせのような使い方も可能。自在な魔法を発動し、近距離戦闘に活かすようなことも出来るのだ。


 そうしたリーゼロッテの猛攻を、シルフィアは確実に回避し、時折反撃を繰り出していく。

「むぅ。やっぱり、シルフィアには全然攻撃が当たりません!」

「一応、年季はこちらが上ですから!」

 と、言い返しながらも。シルフィアは内心では焦り過ぎている程であった。リーゼロッテの天才的な戦闘能力。何よりも、異能じみている程の観察眼。それがシルフィアの一手一手を解析し、次の瞬間には対処策を打ち出してくる。


 そう遠くないうちに、技術的にも追い抜かれるだろう。と、シルフィアは予感しているのであった。

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