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7話 【アレックス】と【ガク】

グラハムと幼女の1件から3週間あまりたった頃

1人の魔法職が店へ入ってきた。

筋骨隆々で色黒のスキンヘッド。

でも職業は魔法職。

そんな変わった冒険者が来た。

彼の名前は【アレックス】という。

職業は陰陽師。

【陰陽師】

ユニーク職業の1つ。

その昔、妖を封印する力を持ち、妖が跋扈する国を守った一族の職業と呼ばれている。

対象者を一時的に動けなくしたり、式神という使い魔を呼び出す事ができる。


黒の着物を羽織り

こちらへ歩み寄って来る。

『ガク、最近どうよ?』

『悪い噂いっぱい流されてるようだけど?』

『まぁ、お前に喧嘩売るとかアホだけどな』

と言って爆笑している。


『アレックス心配してくれてるのかと思ったがそうではないんだな。』


『心配??するわけないだろ。』

『まぁ、んなことより今日は耳寄りな情報を持ってきたぜ。』

『ここで話すのもあれだから。』

『すぐログアウトしてお前の家に行くわ。』

『用意しとけよ』

と言ってアレックスはログアウトした。


【アレックス】とは幼馴染で

本名は【新里 貴也】(にいざと たかや)という。

家も近く。

未だに遊ぶ親友というかほぼ腐れ縁に近い気もする。


『私』も店の奥へ行きNPCに店を任せてログアウトする。


いつ起きてもこの感覚は慣れない。

なんか目眩というのか目の前が一瞬ぼやけてしまう。

頭が対応しきれてないのか。


ベッドから身体を起き上がらせ

お気に入りの座椅子に腰掛けた。

『ふー』とため息を一つついた。

それと同時にインターホンが鳴る。


1階が騒がしい。

母の声と聞きなれたあのやかましい声。

その後階段をドタドタと駆け上がる音がする。


『うぃーす。』

と腑抜けた挨拶をした【アレックス】こと【貴也】が来た。


カーペットが敷いてある床に腰を下ろした。

『早速だけど、最近ガクの店に押しかけて喧嘩を売ったクランと言えば?』


『あー。【一匹狼】か。それがどうした。』


『あいつら、裏でPKしていることがわかったんだよ。』

『対象は、初心者。いわゆる初心者狩りだな。』

『あいつらの目的は【EXP倍増の本】だな。』


【EXP倍増の本】

アースを始めたての初心者に配られるレベル上げ用アイテム。

レベル50まで倍増のボーナスを受けることができる。


『初心者が早くレベル上げできるアイテムか。』


『あれを現実世界でオークションに出して高値で出品しているみたいなんだよ。

『PKされた相手はインベントリの中身の半分がドロップされてしまい、その後教会に復活する。』

『そのインベントリのドロップが問題なんだよ。』

『【EXP倍増の本】はドロップ対象になり、優先的にドロップされるらしい。』

『このゲームはフィールドやダンジョンでの大きな制限はない。』


『そのシステムが仇となって最近PKが流行ってるのか。』


『やっぱりガクの耳にも、PKプレイヤーの話が伝わっていたか。』

『ガクの店で購入したものがPKプレイヤーに奪われて、知らないところで被害後被るかもしれない』


『わかった。十分気をつけるよ。』

『ただし、初心者狩りは許せないな。』


『な、だから耳寄りな情報だろ?』

『また情報あれば伝えるわ。』


『頼むわ。』

『またほしいものがあるなら言ってくれ。』


『おうよ。』

と言って帰っていった。


来たときとは違い降りるときは音を立てずに降りていった。

玄関で母と何か話している。

『おじゃましましたー』


PKの話は前から耳に挟んでいた

幸い、うちの商品が奪われたなどの話はまだ聞かない。

ただ、PKは許せないな。

しかも、初心者を対象にしてるとなると。


そろそろまたinするか。


やはりこの感覚は慣れないよ。

もう3年以上VRゲームしてるけど

この最初のなんとも言えない不愉快な感覚。

ジェットコースターのフワッとした感じというか。

ベッドの横にある小さな椅子に腰掛けて少し休憩する。


『!!!』

販売側が騒がしいな。

少し感覚を取り戻したので店に戻るか。


販売カウンターの近くへ行くと。

とても怯えたNPCの声が聞こえる。


『あの方がいない間任されているのでいつ帰ってくるかわかりません…』

『店の物を壊さないで…』


それにゲスい声が聞こえる。


『声が震えてて、何言ってるかわっかりませーん!』

『NPCなのに感情持って話してんじゃねーよ。ばーか。』


男二人だな。

そして聞き覚えのある声だ。


歩み寄るとゴリゴリマッチョな重戦士風の男にNPCキャラが胸ぐらをつかまれている状態だった。

その横で細身の黒のローブを着た顔立ちのいい美少年のような男が怯えているNPCを指差しながら笑っている。


『レイさん。そのへんでやめていただけませんかね?』

『今日はどういった御用で来られたのでしょうか?』


『ほー。俺のことを覚えていたか。』


『どんな方でもお客様ですので覚えていますよ。』


『関心だねぇー。まぁ俺様の誘いを無下に蹴ったクソ店主だけどな!』

と言って【レイ】が爆笑している。


すると細身の男が

『最近武器は売れてますか??』

と聞きながら笑いをこらえている。


『お陰さまでお得意様がいらっしゃるのでそこそこに気に入って頂いてますよ。』

『御新規の方も気に入って買っていって頂いてますね。』


苦虫を噛みつぶしたような顔で細身の男が

『まぁ、いつでもそんなこと言ってられるか楽しみですわー』

『俺ら【一匹狼】に楯突いたこと思い知らせてやるからな!!』


『フェリス、ここの店主様もそこまで言われたらわかるだろ。』

『俺様の気持ちを言ってくれてありがとうな。』

『なーガクさんよー。』

『俺らに嫌がらせされてるのはわかってんだろ?』

『前の話、今ならまだ間に合うぜー?』


ここまでされて今更屈服する気もない。

むしろ戦ってやるよ。

元々小さな店だからそこまで大打撃にはなってない。

『あの話に乗るつもりはないと前にも言わせていただきましたので。』

『どれだけ嫌がらせしてもやめませんので。』


『クソ職業で俺達と戦うのか。』

『この店はゆっくり捻り潰してやるよ。』

『俺様の顔に泥を塗りやがったからな。』

『まぁ、今日は挨拶がてらだったからな。』

『ガクさん、まーた来るね。』


『ご来店ありがとうございましたー。』

ふー、やっと帰ったよ。

見た感じ店を荒らされた形跡がない。

NPCにはひどい目に合わせてしまったね。

次の給料のときには少し多めに入れとくね。


『私』以外に被害が行かなければいいが。

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