5話 最強のモンク【琥珀】
【一匹狼】のクラマス【レイ・ライオネル】の一件から2週間後【よろず屋 鐡】の黒い噂は流れ続けており、わざわざ店に来て。
文句をつけて帰るお客さんが増えた。
常連さんは気にせずに今でも通ってくれている。
元々、黒い噂が絶えなかったのは【一匹狼】の方で、
一本武器を新調しに来た月猫さんが
『あいつらの方が黒い噂絶えないのにな。』
『それにしても面倒くさい奴に目をつけられたねガクさん。』
『まぁ気にしませんけどね。』
と苦笑いしながら月猫さんと話していた。
すると一人のお客さんが入ってきた。
おぉー。
すごい豪華な装備だな。
すぐにランカーであることが容易に取れるほどの高級な装備品ばかり。
装備からしてモンク(武闘家)か。
店の商品をじっくり見ている。
最近来るお客さんとは違うようだ。
すると月猫さんが
『あの人【インフィニティ】の副クラマスの琥珀さんだ。』
『ガクさんあの人スゴい人だよ!!』
と少し嬉しそうに話している。
するとモンクの琥珀さんが話してきた。
『すみません。』
『アルケミストのガクさんですよね?』
?
また冷やかしか?
と思っていると
『申し遅れました。私【琥珀】と申します。』
『先程そちらの忍者の彼女が言ったとおり【インフィニティ】の副クラマスを務めさせて頂いてます。』
『ここの商品はどれも素晴らしいですね。』
『黒い噂になるようなところではないのは確かですね。』
『どれも高品質のものばかりで作られている。』
『武器の能力も素晴らしいもので、今の職人の中では群を抜いてる武器を作る職人さんですね。』
すごい褒めちぎってくるなー。
これは、もしかしてあれか専属の話か?
もう懲り懲りだな。
『黒い噂を流しているところは検討つきますが。』
『もし、よろしければクランの専属職人になっていただけないでしょうか?』
『店はそのままで構いませんのですが』
『すみません。いいお話ですがお断りさせていただきます。』
『今回の一件で、専属の職人になる気は毛頭ないので。』
元からないのですが。
『そうですか。それは残念ですが。縛ることができませんからね。』
『そういえば、今回の一件というのはもしかして【一匹狼】が関わってますか?』
!!
すぐにその名前が出てきたことに驚いてしまった。
『やはりそうでしたか。』
『今回は災難でしたね。』
『それよりも専属ではなく客としてガクさんにお願いがあるのですが、私が素材を出しますので私に合う武器を作っていてだけませんか?』
『お安い御用ですよ。』
『じゃあ素材を出しますね。』
と言ってインベントリーから2つのアイテムを出してきた。
『【ミスリル】と【朱雀石】ですね。』
【ミスリル】とは
鋼より硬いが軽いものに仕上り、叩いて伸ばせば透き通って見える。
しかし、扱いがむずかしい。
【朱雀石】とは
別名フェニックスの涙と言われている。
フェニックスを討伐後低確率でドロップする。
素材として売れば豪華な家が建つ。
常に熱を帯びていて、普通は触ることもできない。
扱いがとても難しい。
私も月猫さんもびっくり!!
高ランクアイテムを出してきたのだ。
『これで頼みます。』
『とりあえずやれるだけのことはやってみます。』
と言ってたたら場へ向かう。
さて、どんなものを作ろうか。
頭で想像して作るのだ。
自分の中で形を想像して成形していく。
よし、爪にしよう。
爪の部分は【ミスリル】にして、装着する籠手の部分はこちらから素材を出そう。
こんなアイテムで装備を作れることはないからな。
【玉鋼】と【ダイアモンド石】を混ぜた【ダイアモンド玉鋼】の硬度はずば抜けている。
【ダイアモンド石】
限らてた鉱脈でしかとれない石。
原石は売れば大金持ちになれると言われている。
宝石の中で抜群な硬度をもつアイテム。
ここに【朱雀石】を混ぜていく。
この素材の色味をしっかり出していこう。
カーン、カーン、カーン
よし出来た。
ふー。
これはやばいものを作ってしまったようだ。
【紅蓮の剛爪】(ぐれんのごうそう)
対象者の武器や魔法を打ち消す能力を持つ。
常に爪自体が赤く光り輝いている。
ミスリルでできた爪は優れた耐久力を持ち軽い。
籠手の部分はアルケミストでしか作れない【ダイアモンド玉鋼】を使用しているため素晴らしい耐久力を持っている。
バケモノ級の武器だな。
やっぱり希少な素材で作ると強くなるようだ。
完成を待つ【琥珀】さんと【月猫】さんがカウンターで待っていた。
『すみません。お待たせいたしました。』
『希少な素材で作らせていただいたのでいいものが作れました。』
『【紅蓮の剛爪】という武器になります。』
『美しい。とても美しい』
『なんだ、このステータスは!!』
『強すぎるぞ』
と琥珀さんがとても驚かれている。
月猫さんが
『相変わらずえげつないモノを作るねーガクさんは。』
『こちらが提供してない素材も使われてるようだな。』
『代金はいくらになる?』
『素材は私が使いたくて使ったものなので工賃だけで。』
『1万円でどうでしょうか?』
『安すぎないかい?』
『もっと取ってもいいんだぞ?』
『その代わりまたメンテナンスさせてください。』
『それで十分です。』
『それならそれで構わないが。』
『というより他のところでこれを見せたくないな』
と琥珀さんが大笑いしていた。
『こんなステータスの武器があると知ったらゲームが崩壊するな。』
『ここで作ってもらったことは伏せておくよ。』
『ガクさんもそっちのほうがいいのだろう?』
『ありがとうございます』
とお礼を言った。
『あたしはそろそろお暇させていただこうかな。』
と琥珀さんは颯爽と帰っていった。
店をでた【琥珀】は
胸辺りにつけたペンダントを握りしめながら
『まさか私以外にダブルワーカーがいるとはね。』
『真実のペンダントのおかげだね。』
『ますます欲しくなったわ。』
『それにしても鍛冶職人ではずば抜けている【蛇神】さんに同じものを頼んだときと比べ物にならない能力だね。』
『とんでもない大物を見つけてしまったよ…』