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1話 よろず屋 鐡(くろがね)

朝日がカーテンからチラチラ差し込んでいる。

ベッドで寝ている『私』は起き上がり伸びをする。

昨日もゲームをやり過ぎた。

ログアウト時はNPCが店を動かしてくれているから安心だ。

カーテンを開けると眩しい光が差し込んできた。

すぐにスマホをみて、時間と気温を確認する。

春の陽気な暖かさのようだ。

服を着替えて、朝食を摂りに1階へ降りる。

母が朝食を作ってくれている。

母が『あんた、また遅くまでゲームしてたの?ほどほどにしなさいよ?』

『私』は母にわかってるよと返事する。

朝食を終え、大学へ行く準備をする。

元々就職したがやりたいことを見つけて就職から4年後退職して大学に通っている。

歳は22だが今年から大学に通っている。


行く準備をして、家を出る際に自転車の鍵と家の鍵を持って『行ってきまーす』と言って出る。


自転車に乗り、最寄りの駅へ向かっている。

大学では、学校の先生になるために通い始めた。

毎日が忙しいが楽しく過ごせている。

学校が終わると家に帰りゲームをつける。

売上が気になる。


黒いヘッドギアの電源をつけて頭にはめる。

今ハマっているゲームは『アース』という地球に似た世界でのんびりライフもよしレベルを上げて強敵に挑むもよしという自由度の高いゲーム。

このヘッドギアをつけると自身がその世界で動いてるようにゲームができる。

VRゲームの一種だ


ヘッドギアをかぶり、仰向けに寝て、目を瞑る。

目を覚ませば、ゲームにinできるのだ。

『私』はガクという名前でゲームをプレイしている。

本名 北条ほうじょう がくから取っている。

このゲームでは

キャラメイク時にランダムで職業が3つ現れ、そこから1つ職業を選択し、アイテムロールという職業にあったお助けアイテムや武器、防具を配布してくれるのだ。

なぜ、アイテムロールというのがあるかというと。

商人などの非戦闘は素材集めするまでは何もできないので戦闘職業との確執が生まれてしまうための救済措置のようだ。


大概のプレイヤーは格安の宿屋でログアウトする。

街の中でのPKは不可能となっており、ログアウト中に金品を奪う等の行為はできないように設定されている。


『私』は自身の店を持っている。

アイテムロールでお店を開くための物件を買う資金を得たのだ。

このゲームにおいて史上最弱のクソ職業というものがある。

それはアルケミスト(錬金術師)という職業。

錬金術師と聞けば、自動人形ホムンクルスを作ったり、魔法などを生成する戦闘職業に見られるがこのゲームでは完全な非戦闘職業として確立されている。


職業 アルケミスト

【非戦闘職業の上位互換。

鍛冶職人、商人、木工職人、革職人などの非戦闘職業の能力をすべて使うことができる。

ただし、戦闘スキルを一切持っていない。】

アルケミスト以外の非戦闘職業は多少の戦闘スキルを持っているが、この職業は一切戦闘スキルがないため。

フィールドに出ることも出来ないクソ職業と呼ばれている。

また、キャラメイク時に職業を選ぶことができるため選ばれることがないのだ。

そんな『私』の職業はアルケミスト。


この職業の能力を使って

『私』は【よろず屋 くろがね

といういわゆる何でも屋を開いている。

私の店に初めて来る人は私の職業を鼻で笑い、哀れな目で見てそして帰る。


ゲームが開始して半年の月日が経ち、プレイヤーも増加してある程度儲けも出てきている。


うちの店では基本的になにかを作って欲しければ素材を持ってくるように言っている。

初期の頃はフィールドに出て、モンスターに出会う、逃げる、囲まれる、ゲームオーバーになると繰り返したので素材を取るのもままならない。

アルケミストを選んだプレイヤーは少しはいたがクソ仕様のため運営が職業転換のオーブというアイテムを全員に配布し、補填とした。

私は使わずにアルケミストとしてプレイしている。

そんな物好きはわたししかいないだろう。

ただ、スゴいプレイヤーでもないので話題にもならない。


ログアウト時はNPCが店を切り盛りしている。

NPCにありがとうと伝えると

『また御用の時は教えてください』と言って消える。


今日も『よろず屋 鐡』開店いたします。

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