第七作『仮面ライダーカブト』/第八作『仮面ライダー電王』/第九作『仮面ライダーキバ』
〇第七作『仮面ライダーカブト』 おすすめ度:★★☆(2)
2006年1月~2007年1月放送。主人公の天道総司(天の道を往き、総てを司る)役は水嶋ヒロさん。かなり知っているという方も多いのではないでしょうか。
変身するライダーのモチーフは全て虫。『仮面ライダーカブト』も、カブトムシがモチーフだからカブトです。
個人的にいいなと思う点を挙げていきます。一つ目は主題歌。これもまたかっこいいです。というか全体的に平成ライダーの主題歌はかっこいいし人気のものが多いです。最近のだと仮面ライダーエグゼイドの主題歌だった三浦大知さんの「EXCITE」もかっこいいですよね。
二つ目は主人公はじめ登場人物のキャラの濃さ。カブトと次の電王、そしてその次のキバをひとまとめにしたのも意味がないわけではなくて、この三作品はギャグ要素がふんだんに盛り込まれていて、クスッとくる場面が多いことが一つ特徴のように思います。カブトではいわゆる『地獄兄弟』と称される、闇落ちした二人組が登場するのですが、その二人組が闇の世界の住人になった経緯はさておき、やることなすことほとんどネタという仕様になってます。小説でもキャラ一人一人に背景や過去をつけてキャラを濃くし、読者の方に印象付けさせるのは大事だと僕は思っているので、この辺りが参考になるんじゃないかな、と思います。
キャラの濃さで言えば主人公も負けず劣らずです。「天道語録」で調べた方が早いんですが、主人公の天道には数多くの名言が存在します。それがまとめて天道語録と称されるのですが、結構なるほどな、とうならされるものからなんじゃそりゃ、とズッコケそうになるものまで様々。また第二の主人公的な存在である男は正義感に燃えた熱血漢と、この辺りもキャラの作り方がすごいな、と思います。
ストーリー自体は相変わらずシリアス寄りなのですが、前述の通りかなりネタ要素が盛り込まれていますので、それほど見ていてしんどさは感じないと思われます。また怪人側のドラマ、苦悩も描かれていて納得はいきますし、大切な人との別れなど、なかなかに泣かせてくるシーンも多いので、単純にドラマとしても楽しめます。そこまで言うなら星三つにしろよって話なんですが、やはり平成一期ライダーの中で一番見てほしいのはファイズなので、その次に見てほしいといったところでしょうか。本音を言うなら星2.5くらい(あくまで個人の感想です)。
ちなみにカブトあたりを推すのにはもう一つ理由があって、それは僕がちょうど物心がついていて、かつ一番仮面ライダーを見ていた時期だからです。どんな話だったか、ファイズあたりより記憶に残っているので、それだけよかったとも思いやすいのかもしれません。
〇第八作『仮面ライダー電王』 おすすめ度:★★★(3)
2007年1月~2008年1月放送。主役は今もよくテレビで見かけるイケメン俳優・佐藤健さんです。
まずどうして見て見て!と言ったカブトは星二つ、本音言えば星2.5とか言っといて、次の電王はしれっと星三つつけてるのかというと、圧倒的に見やすいからなんです。
仮面ライダーはそもそも悪役怪人と正義の味方(と、一般的にはみなされやすい)ライダーとの戦いですから、その過程で死人が出るのはある種必然のことです。ファイズやブレイドでもガンガン人死んでましたし、カブトに至っては敵怪人が人間を殺してその人間に擬態し、何事もなかったかのように生活を送る形をとりますから、もっとえげつないです。
でも今これを読んで下さっている方の中には、人が死ぬのは苦手だという方もおられることと思います。そんな方に、この仮面ライダー電王をお勧めしたいのです。
「どうせ仮面ライダーなんだし、人死ぬんでしょ」
実は死にます。一般人を巻き込みますからどうしても死人ゼロというのは不可能だったようなのですが、他の仮面ライダー作品に比べ、この仮面ライダー電王はダントツで犠牲者が少ないそうです(Wikipediaより)。そもそも電王は過去の世界に未来の世界と、現在だけでなくいろいろな時間軸を巡って戦っていくのですが、例えば過去に怪人によって殺された人がいる、という事実があったとしても、電王がその過去に行って怪人を倒すと歴史が修正され、その人は死ななかったことになる、という特殊な設定があります。この設定のおかげで”死んだという過去の事実が覆った”人が多く存在し、結果として”現在の時間軸でもなお死んだままの人”は少なくなる、ということになります。この設定は非常に画期的で、今なお人気が高いことや、劇場版の制作された回数が他のライダーシリーズに比べダントツに多いことがそれを物語っていると思います。また犠牲者が圧倒的に少ないことの影響か、ストーリー展開の重苦しさも一番少ないです。重苦しいシリアス展開はたいていメンタルをえぐられる原因になりますが、電王はそれが最も抑えられていて、仮面ライダーを見たことない人でも楽しめると思います。
またキャラの濃さもかなり強い方だと思います。敵怪人はイマジンと呼ばれ、人々の願いを聞く代わりにその人の過去に飛び、過去の世界を荒らすのですが、それを止めるために仮面ライダーがイマジンと戦います。その中で仮面ライダーの味方をするイマジンがいるのですが、それぞれにしっかりしたキャラ付けがされていて、その点も非常に楽しめます。
あとはこの仮面ライダー電王が、電車をモチーフにしているということです。「仮面ライダーはバイクに乗るからライダーなんやろ!?」というご指摘はごもっともなのですが、バイクよりも子どもにとって身近な乗り物と言えば電車、ということで採用されたらしいです。設定の節々にも電車を意識しているところがあって、たまらん人にはたまらんのです(ちなみに主人公たちが時間を移動する手段が電車で、電車の中に収納されたバイクで電車を運転します。ここまで来たら訳分からん感じもしますが)。
序盤から申し上げている悪役側のドラマというのは少なめだと思われますが、単純に楽しめるし、キャラ作りの参考にもなるんじゃないかということで、おすすめさせていただきました。
ちなみにこれは最近知ったことなのですが、主題歌がAAAさんと、現在ではかなり有名なグループです(当時どうだったかは分からないです)。そしてまたかっこいいので、一度聞いてみてはいかがでしょうか。
〇第九作『仮面ライダーキバ』 おすすめ度:★★☆(2)
2008年1月~2009年1月放送。主役は瀬戸康史さん。瀬戸康史さんも今でも時々テレビで見かけますね(ここまで来ると大してテレビを見てないせいでそう思うだけなのかもしれない)。電王までの流れを受け継いでシリアスな展開が根底にありながらも、時々あるギャグ展開でその色を薄めているところがあります。
敵怪人はファンガイアと呼ばれ、人間を襲ってそのエネルギーを吸収し、しかも普段は人間に擬態している存在。そんな邪悪なファンガイアを主人公が変身するライダーが倒していくのが基本の流れです。
特徴的なのは現在の世界と、22年前の世界のストーリーが並行して描かれ、やがて現在での何気ない事実が実は過去の世界で重要な意味を持つ、など二つの世界のストーリーが絡み合うところです。子どもが見るとあっち飛んだりこっち飛んだりで訳が分からなくなりそうなものですが(実際昔見ていた僕も訳分からなかった)、大人になればさすがにそう混乱することはないと思います。創作でも時間を越えてストーリーを絡ませる、なんてことができたら味が出ますよね。
悪役側も普段は人間に擬態している身ですから、悪役なりのドラマが描かれていてそこは参考になると思います。ただ、僕自身があまりストーリーを覚えていないのと、ファイズに比べると少し弱いのかな(主観ですが)と思われるので、おすすめ度を2にしました。ただ、見てほしい度は高めです。