第7話 ガイアの祠
今回から最後にこの世界の世界観的なものを説明してあります。(毎回じゃありません)
物語の途中で不思議に思った事などの理由であったりする場合があるので、見ていただけたら幸いです。
前回のあらすじ...メイティに告白された
現在、俺達は馬車に乗って王城に向かっている。その途中、馬車の中でいきなり告白されるとは思ってなかったが...
まぁ、そのおかけで空気が軽くなって、またみんな話し始めたから結果オーライなんだけどね。
「ところで、土屋」
「ん?」
「さっきからB級の魔術書ずっと読んでるけど飽きねぇのか?
ただ魔法に必要な詠唱とイメージが書いてあるだけの本なんて俺には読む気にならんのだが...」
「いやー、魔法を覚えるのって楽しいんですよねー。自分に出来ることが増えてく!って感じで。」
「わかります!特に、初めて次のランクの魔法を使える様になった時にはとても達成感が感じられます!」
メイティが同調してくる。元からオープンに好意を示してきてたのがさっきの件からかなり露骨になってないか?
「そうかよ。まぁおれは魔法を使える程の魔力を持ってないから、力に頼る他ないんだがな。」
「...」
基本値が増えたという事は魔力最大値が増えたという事と同意だ。
つまり、魔力の最大値は生まれつき決まっている訳ではない?あ、でも"????"の可能性があるからまだなんとも言えないのか
「おーい?土屋?」
「え、あっはい」
考えていたらいつの間にか着いたようだ。
「ここが王城...あれ?バルニア光国城と同じ形?」
「王城をデザインした人物は最初の土の魔道士の"マコト様"です。
マコト様が全ての城を同じ形にするようにと提案して、そうなったらしいです。」
「なるほどね...」
マコトね...日本人なら誠......ていうか十中八九日本人だろうな。それにしても誠か...
あれ?でも待てよ。この城は和・洋の両方のデザインが取り入れられてる...
「あの、魔王って今回で歴史上何人目なんです?」
「確か...20?」
20だとしたら20×200で単純に4000年前後経ってる計算じゃないか。
つまり、こっちの時の進みが無効に比べて早いのか...
あ、何十年前からか日本各地で行方不明者がでてるのって...
「あの...土屋様?そろそろ謁見の間に...」
「あ、うん。そうだね。」
「なにか考え事でしたら、仰ってくださいね?私たちは仲間なんですから。」
「大丈夫。ちょっと元の世界のことを考えていただけだから。」
「そ、そうですか...」
メイティがショック受けてる!元の世界のことじゃどうしようもないと思ったのか...それとも俺が魔王を倒したら帰ると思ったのか...
正直自分でもどうしようか迷ってるんだけど...
「土の勇者様をお連れした。王は既に?」
「あぁ、王は既に待っておられる。」
「そうか、それでは土屋様。どうか失礼の無い様、宜しくお願いします。」
「はい。わかりました。」
もう土の勇者でいいや...うん...
ーーーー
王様はとても気さくないい人だった。失礼の無い様っていってたけど、向こう側から断ってきた。そういうもんなんだろうね。
「ところで、土屋殿よ」
「なんでしょうか。」
「魔王をたおしたら私の娘と結婚してくれんか。」
「「「ぶふぉぉぉ」」」
まぁ言われるだろうとは予想してたが、まさかみんなの前で言うとは...
まぁいい、答えは決まっている。
「残念な事に、まだ僕にはそのような事を考えられません。なので、魔王を倒したらまた考えさせてください。」
「そうじゃな。ではその魔王を倒すためにも、歴代の勇者の修行場に案内しよう。」
「修行場?」
「ついてからのお楽しみじゃな」
もう、話し方がゆるゆるだぞ...孫と話すお爺さんじゃないか
王様に釣れられ俺だけが地下室に来た。
「ここから先の場所は王家の血を継ぐ者、或いは土の勇者しか行けぬ。それに王家の血を継ぐものも中までは行けぬ。故に他の者を連れては来れぬのだ。」
そういう事らしい。
話しながら王様は地下室のあちこちに置いてある小物や壁を弄り始めたかと思ったら壁にいきなり扉が現れる。
おそらく転移系の魔法門だろう。
「さぁ、この先じゃ」
「ここが...」
「"ガイアの祠"王家ではそう呼んでおる。」
転移先は洞窟の中だった。前方には洞窟の幅と高さに合った大きな扉がある。おそらく土の神"ガイア"を模したであろうレリーフととても豪華な装飾が付いている。
これだけでかなりの値段に...いや、やめておこう。
「土の勇者はこの中で死ぬ事は絶対に無いらしい。それを利用して、毎度勇者がレベル上げに使っていると、伝言があったのだ。」
「え、そういえばさっきはスルーしてましたけど、これ僕1人で挑むんですか?」
「うむ」
「いや、普通に考えて無理ですって!」
「歴代の土の勇者達はやって来れたのだ。それに今回の土の勇者は別格だと聞いている。お主なら絶対に大丈夫だ。」
...死ぬ事がないって言っても流石に怖いな...1人は
だけどまぁ、行くしかないか...
「死ぬかもと想ったらすぐ戻ってきます...」
「うむ、それが良いじゃろう。」
ギィィィ
扉を開けて中に入る。中は暗いが見えないほどではない。
10mほど真っ直ぐな通路が続いている。
その先の扉の前に立った瞬間、入口の扉がしまる。
あれ、これ即死系トラップじゃないんだよね?
とりあえず中へ...
ボゥッ
通路を抜けた場所は直径25m程の広さのプチ闘技場みたいな物だった。
するといきなりどこかから声が聞こえてきた。
『これより、土の勇者育成プログラムを開始いたします。土の勇者様は絶対に死ぬことがありませんので、WAVE100目指して頑張ってください。
それではWAVE1を開始します。』
「...は?」
今なんて言った?WAVE1?WAVE100?説明が何も無いんだけど...
なんて思っていたら地面が光ってゴブリンが3体出てくる。
モースターオーブで見てみると
Lv.1 ファイアーゴブリン
Lv.1 ウォーターゴブリン
Lv.1 アースゴブリン
とりあえず出口が閉じてる以上、WAVE100?まで行けば多分扉は開く。もしくは死ぬかのどっちかだ。
なら、戦うしかないな。
『アースボール』
とりあえずアースボールを3発、敵に向かって放つ。
ゴブリン程度ならこれで倒せるだろう。
グギャア!グギャア!グッ!
お?ファイアーゴブリンが耐えたぞ。あぁ、これはあれか。
属性相性ってやつか
この世界の属性は、水→火、火→土、土→水、光↔闇の属性関係にある。
そこの所も含めて、戦い方を学ぶってことか...よし
「かかってこいやぁぁああ!」
ーーーー
あれから5時間程戦っている。WAVEは51、目の前にいる敵は獣型の悪魔。5属性のデビル達だ。
光属性と闇属性の敵は恐らく3属性の魔法を軽減するのか。ファイアーデビルと同じ程度のダメージしか食らっていない。
ここまでの敵は大体D級"サンドストーム"とその上位魔法であるB級"アースストーム"+"アースボール"のコンボで倒してきた。
なのにこいつらは"アースストーム"を食らっても平気で耐えているのだ。それも弱点属性であるはずのウォーターデビルでさえ...
その上WAVE40からの敵は何故か魔力ドレインが効かない。そのせいで魔力量が乏しく、現在の魔力じゃあ、録に魔法も放てないのだ。
あ、そういえば風属性の魔法はまだほとんど覚えてなかったか...それを覚えてたら何とかなったかも知れないってのに...
『アースバインド!』
バキィン!
「クソッ!」
これもダメだ。何故かデビル達には弾かれる。種族特性か?
そう思ってる間に囲まれる、正五角形の形で。
「ギャウ、ギギャ、ギギギャウ!」
あぁ...これは魔物が使う魔法陣魔法か...魔力もないし、魔法陣を使った魔法に対する対処法が無い...ここまでか。
そう思った瞬間に俺は光に包まれた。
ーーーー
目覚めると、既にデビル達はいなかった。恐らく土の勇者が死なないとか言ってたのはこれだろう。
そう思っているとどこからともなくあの声がする。
『今回の土の勇者様の記録はWAVE50です。尚、この祠は11日置きに利用可能です。またのお越しをお待ちしております。』
...やけに丁寧な終わり方だな。プログラムで決まっているのか?それとも人工知能か何かか...まぁいいか、とりあえずここから出るとしよう
そう思っていたら再びどこからか声を掛けられた。
ーー今代の土の勇者よ。我の声が聞こえるならば返事をするが良い。
なんか偉そうに話しかけてきた。唯でさえ魔力枯渇とデビル達に負けてムカムカしてる所にそんな口調で話しかけられたら、ついきつく返してしまうものである。
「なんですか?自己紹介もせずにいきなり命令口調で」
ーーふむ...一理あるな。では教えてやろう、我が名は"ガイア"、土の神である。
は?
ーーーーーーーーーー
この小説にでてくる特別な単語
※多分次回出てきます。
・公爵家交換制度
最初の勇者に仕えていた者達の子孫である、いくつかの公爵家はバルニアと自国の両方に領土があり、100年程ごとに行き来している。長男・長女を除く最も才能のあるその家の子供がバルニアの領土を管理することになっている。
両方の国に領土がある理由は、召喚された勇者の補助に回る公爵家の者が立ち回りしやすい為。
メイティの祖先が"マコト"に仕えていたのにバルニア出身だったのはこの為。
読んで頂きありがとうございました。
よろしければ感想、評価宜しくお願いします。
最後のやつ、わかりにくかったら申し訳ないです。(;´・ω・)




