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土の魔道士はモブで生きたい  作者: Pinekey
第2章 ガルム土国編
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第25話 ディータの残した悪事

少年はゆっくりと語り始めた。


「1週間くらい前、家に1人の男が訪ねてきたんだ。

見た感じ良い服着てたから、領主から依頼されて税金でも巻き上げに来たのかと思ったらいきなり金を渡されて...

俺の家、貧乏だから喜んで受け取っちゃって...

でも、そしたらいきなりその男がよくわかんない黒い魔法でお母さんを......殺...して...」

「...」


どう考えてもディータだよな...

あいつ...死んでも迷惑な奴だな!


「それで、その男が狙いを俺達に変えた時に、驚いて何も出来なかった俺を庇ってエリス...俺の妹が黒い魔法を受けちゃったんだ。

俺はエリスのおかけでほとんど喰らわなかったけど、エリスが呪いで苦しんでるのに俺、何も出来なくて...

金を渡されたけど、その金は偽物で...家に呪いを治せる薬草を買う金は無いし、街に出て冒険者っぽい人に手当り次第声掛けたけど、そんな金は無いって...」

「それで、自分で探しに来たのか...?」

「そう...でも、食べ物も水も無いから...もう、エリスも俺も限界で...せめて...せめてエリスだけでも...」

「そうか、辛いけど良く話してくれた。これは僕の責任でもあるからね。

僕がその薬草を見つけて来よう。と、その前に食べ物と飲み物だな。」


食べ物は保存食がアイテムボックスにいくつか入っている。

水は魔法で出せるしな。

土魔法で作ったコップと皿をだして...


「ほい、パンと干し肉とそれから..."ウォーターボール"」

「え?」

「それでも食いながら待ってて。それと、これの中にまだ食べ物がいくつかあるから足りなければこっからだしてね。それで、その薬草はこの森にあるんだよね?」

「うん、本で見たから間違いない。」

「見た目はどんな感じ?」

「光ってて、三日月の形をした葉っぱが4枚ついてる。」

「わかった。それじゃ、みなさん。行ってきますね。」


あ、みんな何も口出ししてこなかったけど...


「あっ、ちょっと土屋様!エルバートさんとリネさんはここに残っていてください!私も探してきます!」

「お、おう。」

「わ、わかりましたわ。」


大丈夫そうだ。


ーーーー


早めに見つけて帰んないとまずよな...あの子、かなり衰弱してたし。

くっそ、洸大がいれば...


「土屋様!あれ!」

「お!あれか!」


見るとそこには光を放って三日月の形をした葉っぱがついた草が生えている。

ただ...


「なんか地面膨らんでるし、葉っぱが3つしかない気がするんですが...」

「確かに葉っぱが3つしかないですね。」


擬態する系の魔物か?

鑑定!


ーーーー

三日月クローバー

光属性の魔力を貯める不思議な薬草。

希少な為、とても高価で取引される。

三日月の形をした葉っぱに呪いを浄化する効果がある。

ーーーー


名前...まんまだな...

じゃあ、あの地面の膨らみはなんだ?

もう一度鑑定。


ーーーー

ルートパラサイト

根の部分に寄生する寄生虫。

養分を吸われた植物は、成長が遅くなり、痩せ細ってしまう。

冒険者ギルドではAランクの魔物として認識されている。

ーーーー


危なっ!あの子ひとりでここに来てたら殺されてたかもしれないな。

まぁ、土の中にいる=俺に倒してくれと言っているようなものなんだけどな。


「"土操作"」


三日月草の根っこについているルートパラサイトの周りの土だけを固めていく。


「わわっ!なんか地面がうねうねしてます。」

「いま、そこにいる虫を倒すからちょっと待ってて。」


固めた土を針状にして...


「わわっ!なんか地面が一瞬ビクッてなりました。」

「今、倒したからね。」

「それじゃ、三日月草を回収して...」

「つ、土屋様?」

「ん?」


どうかしたのかな。


「何故、そこに虫がいると分かったのですか?それに三日月草の名前も...」


あ、やばい。完全に油断してた。

隠すの忘れてたなぁ...鑑定の事とかなら話しても大丈夫かな...


ヘカーテさん。

ーなんでしょうか。


鑑定の事は話して大丈夫?

ー問題ありませんが、大事になる可能性が高いと予想されます。


うん、それは大丈夫だ。

よし、メイティにだけは話しておこう。信頼できるし、これからうっかりやらかしそうになった時にメイティなら上手くサポートしてくれる気がする。


「実はですね...」





「さ、さすがは土屋様です。」

「まぁ、大した事じゃないんだけど、あまり公にしたくないから、この事は秘密でお願いします。」

「はい、わかりました。」

「それじゃ、さっさと戻りましょうか。」

「はい。」


案の定さらっとメイティは受け入れてくれたので、さっさと戻ることにした。

ーーーー


「薬草持ってきましたよ。」

「おお!土屋!早くしてくれ!この子がさっきより苦しそうにしてる!」

「ちょっとまって!」


どうやって食わせるの!?


「貸してください。」

「は、はい。」


リネさんに三日月草を渡すと、三日月草の葉っぱを水で満たしたコップに付ける。

すると、三日月草から水へと、光が移っていく。


「できましたわ。」

「おぉ。」


リネさんが光っている水を女の子に飲ませていく。

すると、さっきまでの苦しそうな様子が一瞬にして収まった。


「ふぅ、とりあえずは安心ですわね。」

「あ、あの!」

「ん?」

「エリスを...いや、俺達を助けてくれてありがとうございます!」

「さっきも言ったけど、これは俺にも責任があることだから。

罪滅ぼしをしただけだよ。」


俺を脅す材料にでもするつもりだったんだろうな。

この兄妹には悪い事をした...


「それじゃ、とりあえず今日はもう寝ますかね。」

「そうですね。」

「あぁ、そうだな。坊主は見張りしなくていいぞ。俺達が守ってやっからな。」

「はい、ありがとうございます!」


とりあえずはディータの残した悪事を1つ片付けた。

ただ、もはや確信してるよ。

この依頼のグレートワームも絶対ディータの仕業だよな。

読んでいただきありがとうございました。

よろしければ評価、感想、誤字指摘をよろしくお願いします。


自分で世界観縮めたせいで、書きたかった事や土屋にやらせたかった事が出来なさそう...次回作で頑張るしかないか...馬鹿な事したなぁ...

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