第21話 猫人族の村
更新遅れてすいません。
課題等が片付くまで更新が金土日のみになりそうです...
「うーん、こまった。」
オークの死体が多過ぎて処理が困る。
見た目は2足歩行の豚なんだけど食えるのか?これ。
「なぁ、エルバート。」
「ん?いい処理方法でも思いついたか?」
「あ、いや。オークの肉って食えるのかな...って。」
「さぁな。今まで食ったとかいう話は聞かねぇな。食えないんじゃねぇか?」
「うーん...そっかぁ。」
まぁ、燃やせば解決するんだけど勿体無いんだよね...
持ち帰ろうにも人手が足りないし。
そう思っていたところで、見覚えのある人 (?)物が、姿を現した。
「あ、あ、土屋様っ!」
「ん?あぁ!ミリーさん。」
そう、あの猫人族のミリーである。
そういえば森の向こう側に集落があるとかなんとかって誰かがいってたっけ?
でも、なにをしにきたんだろうか。
「あの...そこのオークの死体の山は...」
「ん?あぁ、僕達が討伐しました。
なにやら大きな集落が形成されていて、その上知能も高く危険視されていたので。」
「そ、そうでしたか。ありがとうございます、本当は私達の村の討伐隊が討伐する予定だったのですが...」
「ん?じゃあミリーさんはなんで...って、そもそも族長のお孫さんじゃないんですか!?こんなところにいてもいいんですか!?」
「あ...えーと、私こう見えてもそれなりには戦えるので大丈夫です。流石に魔人族には敵いませんでしたが...あ!その説は本当にありがとうございました!」
ミリーがまた土下座する。
てか、エルバートがすごい微妙な表情でこっち見てるんですが!?
10分間土下座だったか...長いな...
「姫様ー、何処に......き、貴様!姫様に何を...!」
なんか森の奥から出てきていきなり言いがかりを付けられた。
護衛の騎士とかだろうか。
ミリーは白猫の猫人だと思うけど、出てきた奴は見た感じ豹だ。
ライオンとかも猫の部類に入るのか...?
「ビリー、いいのです。この方はこの度私を魔人族より救ってくれた土の勇者様なのです。」
「しかし姫!いくら勇者といえど...!」
「ビリー!」
「はぃ...」
なんかプライド高そうな奴だな...
ミリーに命令されたら逆らえないっぽいけど。
「土屋様。」
「何でしょうか?」
「人間の冒険者の方はオークの素材を捨てると聞きました。もし良ければそちらのオークを頂けませんか?
勿論、相応のお礼は致します。討伐をして頂いたお礼も含めて。」
「えぇ、全然構いませんよ。僕達も処理に困っていたところなんで。」
「そうでございますか!良かったです。では、私達の村にお越しください、そちらの方も御一緒に。」
「お、俺もいいのか!?」
エルバートが驚いてるけど、ビリーの方が...
「姫様!土の勇者はともかく一般人を招き入れるなど!!」
「いいのですビリー。父には私から説明いたします。」
やっぱりな、こいつなんか面倒くさいこと起こしそうだなー。
注意しとこう。
「では、こちらです。ビリー、討伐隊の方達にはオークの回収命令をお願いします。」
「...わかりました、姫様。」
ーーーー
「おぉ...」
正しく村だ。なんかこう...想像通りというか、テンプレっていうか。
最初に訪れたあの盗賊のアジトを広げた感じ。
...あの盗賊団、相当大きかったんだな。
てか、なんかめっちゃ見られてる気がするなぁ...
「あれ...人間と姫様が一緒にいるぞ...」
「なんで人間が...」
「俺達をこんなところに追いやった癖に...」
うーん、なにか因縁があったのか。
今度アリス様にあったら聞いてみるか。
あれ以来ちょくちょく廊下で待ち伏せされてるんだよな...
主に風呂上りとか。
「着きました。父と話をしてくるので、少し待っていてください。」
「はい。」
そう言うとミリーは中に入っていった。
ほかの家に比べてたしかに大きい。さすが族長か?
そういえばエルバートは...
「ん?どうかしたか?」
「いや、あんまり動じてないな。と思ってさ。」
「まぁ、お前がいれば最悪の事態ってこたぁねぇだろ。ったく、護衛が守られてどうするんだって話しだ。」
なんか愚痴られた...そんなもん知らんわ!
ガイアの欠片とかむしろ迷惑なんですが。
「おい。」
ミリー遅いな。もう入ってから割と経つけど...
「人間風情が!俺を無視するか!」
「え?あぁ、僕に話しかけてたんですか?」
「貴様...!」
なんか偉そうに話しかけてきたけど...こいつ、ライオンだ!
鬣が逆立ってる。
これは怒っているってことなんだよな?
腰に下げた剣に手を掛けてるし...
「ちょっと待ってください。僕達はミリーさんに呼ばれてここに来ました。
無駄な争いはしたくないので取り敢えず剣を下げてもらえませんか。」
「姫様をさん呼びだと?様を付けろ!無礼者がっ!!!」
ちょっ!いきなり切りかかってきたぞ。
まぁ、気絶させても...いや、めんどくさい事になりそうだし動きを止める程度にしようか。
「はぁ、『アースシールド』」
キィン!
目の前に出した盾で攻撃を防ぐ。
こいつ、殺しにかかってきやがったな。
「『アースバインド』」
この2つの魔法はかなり使えるんだよな。詠唱ストックしといて良かった。
「ぬ!話せ!卑怯者めが!」
「いや...魔道士に至近距離でいきなり切りかかってくる貴女がいいますか。」
「知らん!人間如きが偉そうに語るな!」
ダメだこいつ...さっきの奴と同じく話が通じないタイプだ...
「土屋様、どうぞ...ってゴルバス!何をしているのですか!」
「姫様!人間を招き入れるなど何をお考えですか!」
「落ち着きなさい、今から話をします。丁度いいですから貴方もきなさい。土屋様、拘束を解いてあげてください。」
「ん。」
良いタイミングで来てくれたぜ。
あのままだと周りの目が痛すぎた。
中に入って...あ、靴脱ぐのね。
普通の家に入ったのはじめてだからあれだけど、この世界では家に入る時に靴を脱ぐのかな?
やっぱり日本式か。
中世ヨーロッパに和を混ぜると変な感じになる...
コンコン
「良いぞ。」
「父様、失礼致します。」
実の父親でも他人行儀な感じて話さなきゃいけないんだな。
いやー、族長とか大変そうだな。
「其方が土の勇者か。まずはミリーを救ってくれたこととオークの討伐については感謝する。」
「お礼を言われる程ではありません。どちらも善意で行ったものです。」
「ふむ、聞いていた通り其方は他の者とは違うらしいな...」
他の者がどれを指すかわからんな。
他の勇者か?それとも王国の人間って事か?
「王都の者は我ら猫人族を見ただけで軽蔑し、唾を吐きかけるような者ばかりでな。そちらにいる剣士もそうではないか?」
「エルバート...」
「いや、俺はそんな細かい事気にしないな。大体、耳や尻尾が付いてるだけで差別するのが意味わからん。
俺は所詮男爵だからそういう事は知らんが...
上の貴族共は自分の事しか考えてないからな。
そういった事をするんだ奴らが今も昔も減らないんだ。」
「ふむ、貴族にもそういった考えができる者もいるのか。
疑ってすまない。」
「いや、今まで奴らがやってきた事を考えれば当然だ。むしろここまで招き入れてくれただけでもびっくりしている。」
俺を抜いて話がどんどん進んでく。
ミリーも微妙な顔になってるし...
「父様。」
「おぉ、そうだった。ミリーの救出とオークの討伐に関して礼をしたい。希望があれば言ってくれ。」
「うーん...っていっても、今は充分満ち足りているんだよなぁ...あ。」
こういう時っていい事思い付くな、俺。
あ、でもいいこととは限らないかも知らんが。
「じゃあ、この村に出入りする権利をもらえませんか。」
「「「な...」」」
「む、それは其方の仲間も含めてという事か?」
「いえ、僕だけでも構いません。
これから僕はこの国に深く関わっていく事になると思います。なので、少しでも国とこの村の関係をよく出来たら、と思いまして。」
「おい土屋、それは厳しいと思うぞ...?」
「そうかな?アリス様経由で王族にもコネがあるし、魔人族を倒した勇者の名声があればそのくらい訳ないと思うけど?」
「ぐ...そうだが...貴族連中がな...」
使えるコネは使わなきゃな。
ガイアの欠片がある以上、俺は地球に帰れない可能性もあるし。
「くく...はははっ!本当に面白い事をいう人間だ。良いだろう、その権利を認める。
この事は村全体に伝えておく。
それとだが、1人までなら同行も許可しよう。」
「ありがとうございます。必ずや僕がこの関係を良いものにしてみます。」
よし、コネが広がったぞ。
コネを使ってコネを広げるって言うのも...まぁ、普通か?
「それじゃ、僕達は帰りますね。ミリー様も次に王都に来る時はナンパに気をつけてくださいね?」
「あっ、土屋様それは...」
「ん?ミリー、何の事だ?」
んん?もしかしてあれ、秘密で行ったのか。
あぁ、王都じゃ蔑みの目で見られるから行っちゃダメとか言われてるのかもな。
「まぁいい。後で詳しく聞こう。では土屋殿、この度の件、誠に感謝する。」
「いえ、お礼を言われるほどではありませんよ。では。」
そういって俺達は猫人族の村を出た。
族長の家を出る時にミリーの悲鳴が聞こえた気がするけど...たぶん気のせい。
気のせい...気のせい...
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