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土の魔道士はモブで生きたい  作者: Pinekey
第2章 ガルム土国編
22/31

第20話 弱点

昨日、祠に行ったら弱点を見つけてこいと言われた。

魔力が多すぎるのが弱点ってのもおかしな話なんだけど...

昨日1日リネさんと話しながら考えたけど何が悪いのか全くわからない。

とりあえず、それっぽい縛りで魔物を狩りにでも行こうか。

部屋から出たらちょうどメイティも出てきた。


「あら、土屋様。何処かに行くのですか?」

「あ、メイティ。ちょっと魔物狩りにでも行こうかと。

今のままじゃ、修行をコンプリートできないんですよ...」

「なら、私も手伝いましょうか?同じ魔道士ですし...」

「いや、今回は大丈夫ですよ。ちょっと森で魔物を倒す程度ですから。」

「そうですか。では、気をつけていってきてくださいね。」

「わかってますよ。」


今回ばかりはメイティに頼れない。

そういえば、他の勇者と比較して。って話だったな。

他の3人との共通点ってなんだっけ?

各属性の適正が高くて、魔力の基本地が高くて...あと魔力ドレインが使えるんだったか。

でも魔力ドレインはWAVEが高くなってくると敵に効かないんだよな...

武器変換で戦おうにも盾じゃ攻撃できないし...

魔力で剣を作ってそれで戦うとか?

あ、でもそれはアイテム使用に入る...のか?


「どうした?土屋。」

「あ、エルバート。いや、俺の弱点ってなんだと思う?」


いつの間にかギルドに到着していたらしい。

ギルドの前にいたエルバートに声をかけられた。

なので、試しに質問してみる。


「無知なところだな。」

「失礼な...まだこの世界に来て1週間ぐらいなのに無知も何もねえよ。戦闘の話だよ、連続で敵と戦うと魔力切れ起こすんだけど...」

「そんなもん、魔力回復薬とか魔石を使ったアイテムで魔力補充するしかねーだろう。」

「だよなぁ...」


駄目だ、全くわからん。その後、エルバートとは一言二言話してから分かれた。とりあえず依頼を受けとこう。森で魔物狩るんだから、折角だし依頼を受けとかないと損だしな。

ちなみに、受付嬢はテンプレの如く美人だ。

ただ、メイティとかリネさんの方が...いや、あの2人は比較対象にしちゃ駄目な気がする。


「あの、すいません。森での魔物の討伐依頼とかありますか?」

「あ、はい。えーっと...え、Sランク!?土の勇者様!?」

「あー、えっと...はい。」


こんな驚かれるとは思わなかった。他の席に座ってる冒険者の人達は初めて見る人以外は皆平然としている。

...若干名驚いている初心者っぽい冒険者パーティもあったが。


「あ、すいません!依頼でしたね!...えっと、森で取れる魔物...あ、あります。

どうやら森の奥地にオークの集落ができているようです。ですが、何やらこの集落に住むオークは頭が良いらしく、ファングウルフが飼われていたと、先日返り討ちにあったBランクのパーティより、報告がありました。

そして何より、森の奥地にあるせいで、強力な魔物もいる可能性があります。

...Sランク限定の森でできる依頼ですと、これしか無いのですが...」


なんかやばそうな感じがするし、とりあえず潰した方が良さそうだな。

まぁ...オークだし、なんとかなるだろ。ド〇クエではDランクとかだったし...


「わかりました、それをおねがいします。」

「えっと...同じパーティの方は...」

「あ、僕1人ですけど。」

「「「「えっ...」」」」

「「「「は...?」」」」

「え?」


...何この沈黙...?みんな呆然としてるけど...


「さ、流石に危険すぎます!」

「で、でもオークですし...」

「オークはBランクの魔物ですよ!?」

「え!?そうなの!!?」


まさかこの世界のオークが強いとは...でもBランクなら...倒せる気がするけどね。

なんとか理由をつけて1人で行きたいな...


「と、とにかく。1人では危険です...勇者様が強いのは知っていますが...」

「んじゃ、俺がついていこう。」

「え、エルバートさん!?」


お、エルバートがいいところに来た。エルバートなら事情を話せば手を出さないでいてくれそうだし、頼むとしようか。


「んじゃ、頼むよエルバート。」

「おう。まぁ、俺の出番はなさそうだがな...」

「わかりました。では、こちらの契約書にサインを...」

「はいはい。」


割ときっちりしてるんだな。それに、製紙技術とかもしっかりしてるっぽい。紙は割と普通のやつだ。


「これでいいかな?」

「...はい。大丈夫ですね。あと、よろしければ握手とサインを...」


色紙もあんのか...この世界、ちゃっかり地球の技術取り入れてるな。


「ん、はい。どうぞ。」

「わぁ...ありがとうございます!」


あ、サインとかよく分かんないから適当にそれっぽく、土屋 俊太って書いた。

大丈夫...だよね?


「それじゃ、エルバート。行こうか。」

「おう。」


ーーーー


さて、森に入ってから結構歩いたけどそろそろかな?


「ガウッ!」

「うおっ!」


いきなり後ろから狼が牙を剥いて襲いかかってきた。

こいつは...鑑定!


ファングウルフ

Cランク

鋭い牙が特徴の狼型の魔物

強い魔物に従う習性がある。


これってオークの集落が近いってことでいいのかな?

たぶんこのファングウルフ、オークのとこのヤツだし。


「よし、エルバート。実験したいから下がってて。」

「お、おう?でもいいのかよ。こんな雑魚俺が剣ででぶった切れば...」

「いいからいいから。」


実験とは、わざと魔力を枯渇させてメイティから貰った腕輪で魔力を回復して、少ない魔力で戦う。という物だ。

そうすれば魔力が少ない人の戦い方が分かるんじゃないかとおもって...安直すぎるかな?

まぁ、これぐらいしか思い浮かばないからやるけどね。万が一があってもエルバートがいるし。


「よし、腕輪もつけたし準備OK!ふぅ...」


詠唱は先にストックしておいた。

実はちょっとだけ気になってたんだよね。

魔力MAXの状態でどのくらいの槍が出せるか。


『アースグングニル!』

「キャイン!?」


槍を出現させただけでファングウルフが怖じ気ついてる

おお...1.2.3.4......15本くらいか?

あぁ...やべ、維持するのはキツイ。さっさと発射だ。


「おら!喰らえ!」


ドスドスドスドスドス!


槍がファングウルフに突き刺さる。

今更だけど酷い事したな...

腕輪を見ると、光っていた宝石が黒く濁っている。

たまっていた魔力がちゃんと俺に流れ込んできた。

よし!これで戦うぞ。


「お、おい...あんな大技使って平気なのか?」

「あ、大丈夫だよ。魔力が少ない状態で戦う実験をやりたかったんだから。」

「お、おう。そうか...変な実験をするもんだな...」


なんだろう。エルバートは俺と話す時に何かを諦めたように話すんだよな。

なんなんだ?


「お、あれがオークの集落か...でかくね?」

「あぁ、かなりでかい。100匹以上のオークがいる。これはまずいな...」

「ちなみに何がどうまずいの?」

「多過ぎて殲滅戦がきつい。それに、これだけのオークの残骸を持って帰れねぇ。

一日放置するだけでも他の魔物の餌になっちまってここに別の魔物の集団ができちまう。」

「なるほど...まぁ、殲滅戦の方は大丈夫だと思うけど。」


ちなみに一番最初に祠に行った時のあのデビル達はAランクの魔物だった。

あの時は本当に辛かった。考えてみれば、あれも魔力枯渇が原因で勝てなかったな。

うーん、弱点、弱点...


「おい、土屋。」

「んぁ、ああ、何?」

「俺が前で敵を食い止めるからお前は後ろで魔法を打て。」

「了解。」

「よし、それじゃ...行くぞ!」

「おうっ!」




......

...

はっきり言う。これ結構きついわ。

魔力ドレインを使わずに頑張ってアースランスでオークを倒してるけど数が減らない。

いや、減ったそばから新しいオークが出てくる。

範囲攻撃が出来る魔法は魔力めっちゃ使うから使えないし...まぁ、きつくなったら流石に魔力ドレインするけどね?


「くっ、すまん!土屋、一匹抜けられちまった!」

「大丈夫だ!『"アースランス!"』」


また一匹。奥にはまだ80匹くらいいる。

これでも少しは減らしたんだ...


「くっそが!土屋!敵の攻撃を防げる魔法は無いか!?」

「ありますよ!」

「10秒間だけ頼む!」

「おうよ!」


あれ?これもしかして解体用の大剣使う気か?

あれ使ったら楽勝に倒せちゃうんじゃ...

あ、とりあえず盾貼ろう。


『 地よ!その力で我が敵の攻撃を止め、身を守れ!"アースシールド!"』

「ブォォォォ!!」


ガキンガキンとオークが鉈や剣や槌を叩きつけるがそんなんじゃ俺の盾は壊れない。


「よし!OKだ!」


はい、解体用の大剣きましたー。


「おらぁああ!」


スパッ!


「どりゃああああ」


スパスパッ!


めっちゃサクサク切れてく。あいつ、俺の実験って事忘れてね?


「とりあえず、終わりそうだからもういいや。はぁ...結局弱点分かんなかったなぁ...」

『風よ、万物を薙ぎ倒し、立ちはだかる敵を滅ぼせ。"ウインドテンペスト!"』


ゴォォォオ!と竜巻がおこる。

戦闘狂のようになっていたエルバートがそれをみて我に帰る。


「ふぅ、結局何も得られなかったな...」

「いや、金は手に入るだろうが...」

「まぁ、そうなんだけどさ...」

「お前それより、魔力大丈夫なのか?あんなにド派手に技ぶっぱなしてたけど。」

「あー...大丈...夫じゃ...ない...」


あー、やべ、体に力が入んねぇ。魔力枯渇(2回目)だな。近くに敵がいればいいんだが...

魔力って自動で回復するまでに時間かかるからな。

帰りがおそくなっちまう...ん?

待てよ。魔力の自動回復って...


「なぁ、エルバート。」

「お前、倒れたままで...」

「いや、それはいいから。それより、人って魔力が枯渇したら時間をかけて自然に回復するよな?」

「まぁ、そうだな。」

「その魔力はどこから来てる。」

「空気に含まれてんじゃないのか?」

「それだ!」

「ぬわっ!何だ急に。」


なるほど、そういう事か。魔力ドレインが敵にしか聞かないと思っていたけど、違うんだ。空気中にも魔力はあるんだから...


『"魔力ドレイン"』


おぉ...体中に魔力が戻ってくる...


「お、おい?今俺から魔力吸い取ったのか?」

「いや、空気中の魔力を無理やり集めた。」

「あぁ、うん。もうお前の非常識には慣れたぜ。」


いやぁ...最後に思わぬ収穫だ。

今回の実験は大成功だ。

読んでいただきありがとうございました。

よろしければ評価、感想、誤字指摘をよろしくお願いします。


感想の方で魔力の使い方が雑。みたいな意見の人がいましたが、それもありますね。

ただ、今回はこれが正当です。そう決めてあったので...

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