第15話 メイティの武器を創ろう 中編
本当は前編と後編で終わらせるつもりだったけど終わんなかった...(というより区切らなきゃ無理だった...)
「それで...話を戻すが...お前何しに来たんだ?」
「えっとですね...武器を作ってみたくて...」
「武器って...剣とかか?」
「いえ、武器を作れるスキルを手に入れたので試しに。」
「そうか、素材を買いに来たならこっちだ。」
エルバートはそういって、俺をギルドの地下1階に案内する。
外から見た限り3階くらいあったからかなり大きい組織なんだと思う。
「魔物の素材には痛みやすいものも多くてな。こういった所でちゃんと管理しないとダメにしちまう。」
「アイテムボックスに入れておけばいいんじゃ?」
「どうしてもってやつはアイテムボックスで保存されてるぞ。ただ、アイテムボックスは高ぇからな。っと、おーい、おっさん!」
何も置いてない、使われなくなった酒場のような場所に来るとエルバートが誰かを呼ぶ。出てきたのは正におっさんだった。
「なんじゃ、素材を買いに来る奴は珍しいな。最近は売る奴ばっかりおる割に買うやつがいなくて暇じゃったわ。」
「売る場所はここじゃないんですか?」
「素材の買取は1階でやっとる。まぁ、他の冒険者へのアピールの為じゃな。んで、お前さんが素材を買いに来たんか?」
「はい、杖の素材になる柄の部分と魔石を買いたいんです。杖の素材は初心者が使うようなものと金額20枚位で変える最高の者、魔石も同じくらいのもので火属性でお願いします。」
「うーむ、火属性となるとサラマンダーで、金貨10枚が最高の素材じゃな。それ以上は今は無いわい。柄の方はマグマトレントの亜種で金貨15枚がいまある最高クラスじゃ。」
うーむ。マグマトレントにサラマンダーじゃ全く同じになるな。でも亜種なのか...
「亜種はノーマルのやつと何が違うんですか?」
「まず、水属性に対する耐性が高い事から冒険者に嫌われておる。あとは甲皮の硬さが少しだけノーマルに優っているぐらいかのう。」
ちょっとだけ優れた感じになるのかな?ただそんなに使える感じはしないなぁ...まぁ及第点かな。
「そうですか...じゃあその2つでお願いしますあ、初心者用の方は...」
「そっちは合わせて銀貨10枚じゃな。」
「わかりました。これでお願いします。」
「うむ、確かに受け取った。少し待っておれ。」
待つこと5分程、奥に引っ込んだおっさん...名前聞いてなかったな...おっさんが戻ってきた。
「ほれ、これで全部じゃ。」
「ありがとうございます。また来るかも知れません。」
「うむ、また来てくれんとこっちも仕事が無くなりそうなんでな。」
真面目でいいおっさんだな。発言は少し年寄り臭いけど。そう思いながらアイテムをアイテムボックスにしまっていく。(傍から見ると吸い込んでいるように見えるが...)
「それじゃ、帰りますかね...あ、そうだエルバート。」
「どうした。」
「ここら辺で魔法使っても大丈夫な場所ってあるかな?」
「あー、森の手前にちょっとだけ開いた場所があるぞ。そこなら多分...いやまて、お前どんな魔法使うつもりだ?」
「いや、ただ武器創るだけですって。」
「あぁ、ならそこで大丈夫だ。」
ギルドの1階に戻り、武器を創りに行こうとしたのだが、なにやら皆の空気が重い。
エルバートもそれを感じ取ったのか、他の冒険者に問いかけている。
「おい、何があった?」
「今...Bランクの冒険者パーティ"アースウルフズ"が森から戻ってきたんだが...なにやら巨大なサラマンダーが出たとかで...」
「巨大なサラマンダー..."グレートサラマンダー"か?」
むむ?これはもしやいい感じの素材ゲットのチャンス?
「あぁ、だが水の魔法が全く効かなかったらしく、命からがら戻ってきたんだと。今はまだ森にいるらしいが、いつ動き出すかわかんねぇってんで急遽討伐隊を出すことになったんだが...」
「それに対応できる冒険者となると...」
「Aランク以上である俺達のパーティとエルバート。あとは土屋さんくらいだ...」
「他の奴らは?」
「つい昨日湖で"グレートシャーク"がでたってんで殆どいねぇ...今から街にいるやつを集めるにしても時間が足りねぇ」
「そうか...よし、お前らは俺と土屋と来い。それとBランク以下のてめぇら!今すぐAランク以上の奴等を街に行って集めて来い!何が何でもだ!」
完全に先頭に参加する流れだが...まぁそれはいい。それよりも聞きたいことがある。
「なぁ、エルバート。」
「なんだ。もう、行くぞ。」
「そのグレートサラマンダーって、倒した時に手に入る素材は貰っていいのか?」
「それぞれの働きによってもらえる素材は変わるが...まぁ、貰えるな。」
「よし、さっさとそいつ倒すぞ。んでもって武器創る。」
「お、おう。誘っておいてあれだが勝てるのか?相手は火属性だぞ?」
「やるしかないだろ。倒さなきゃどのみち大変なことになるんだし。」
「まぁ...そうだな。よし、急いで向かうぞ!」
こうして、グレートサラマンダー討伐作戦が決行された。
「でっ...けぇ...」
グレートサラマンダーの大きさは10mくらいあった。
普通のサラマンダーが3m位なので、その大きさはかなりの物だ。
「なっ!デカすぎる!普通はグレートサラマンダーでも5mくらいしかない筈だ!」
うん?普通はそのくらいなのか。つまり今回はかなり異例の事態なのか?
「だけど、やるしかないんだよな?エルバート。」
「あぁ、その通りだ。先制攻撃はお前に任せる。土屋。」
「任せられた。」
何を放つべきだろうか。アースボールはまず通らない。風系魔法も今はまだ大して強いのが無いし、ダメだろう。それに水属性も効かないんだったか。
ん?でもおかしいぞ、あのグレートサラマンダー...
「あいつ...闇の魔力を纏ってる...」
「闇...だと?」
「どういうことだそりゃ?」
闇魔法は魔人族が得意とする属性の筈だ。つまりこのグレートサラマンダーは
「魔人族の仕業...か?」
「魔人族だと!?」
「お前、昨日倒したんじゃ...」
「あぁ、倒したさ。だがその前に細工でもされてたか。あいつ、妙に手回ししてたみたいだったし、もしかしたら湖に現れたっていうグレートシャークも...」
「くそっ!そんな悠長に話してる暇は無さそうだぞ。あいつ動き出しやがった。」
見るとグレートサラマンダーはゆっくりとだが動き出している。体がでかいので進む一歩もでかく、割と早く街に到達しそうだ。
だが...なんだろう。正直に言うと...
負ける気がしない。
『大地よ!神の力を以て守護の力を与えよ!ディバインブースト︰守!』
まずは自分に防御の魔法をかける。次の魔法が闇の魔力に侵蝕されないようにする。
あのグレートサラマンダーをおかしくしたのがディータなら問題ない筈だ。
さらに面白いことを考えたので実行してみる。
「皆さん!少し離れていてください!ちょっとだけ本気出します!」
「はっ...?おい!お前ら逃げろ!潰されるぞ!」
「なっ、はっ?ええええ!!」
「流石にそこまでしないけど...」
なんか下手に誤解させたみたいだ。後で謝っとこう。それよりも...よし、イメージはあの時と同じだ。いける、あの時よりも魔力の最大値は増えてるしな。
『地よ!我が呼び声に応え、仮初の命を持って我を守護せよ!"土魔人精製!"
地よ!その力で我が敵の攻撃を止め、身を守れ!"アースシールド!"
大地よ。我が力を糧にし、その力を与えたまえ!その力を持って神敵を切り裂く剣となれ!"グレートアースソード!"』
『合成魔法!"守護土魔人!"』
地面から、盾と大剣を持ったゴーレムが現れる。だが、今回は更に防御魔法で強くなっている。
「なんだありゃ...」
「合成魔法...?」
「そんなの初めて聞いたぞ...」
後ろの奴等のつぶやきは無視だ!
「やれ!守護土魔人!」
守護土魔人...ゴーレムがグレートサラマンダーに向かって進んでいく。当然だが、操っているのは俺だ。
......思ってる以上に操作が難しい。前は簡単な動作だったから良かったが、今回はそうもいかない。盾と大剣があるから攻撃する事も防御する事も考えなければならないので大変だ。
いや、当たり前のことだけどさ。
流石にあのゴーレムの接近は危険だと悟ったのか、グレートサラマンダー......トカゲが炎息ブレスを吐く。その炎には黒い魔力がまとわりついているが、防御魔法でコーティングされているゴーレムには効かない。
...にしてもブレスが長い。効果は無いが、かれこれ1分近くブレスを吐きっぱなしだ。これ、魔力枯渇で相手倒れるんじゃ?あ、でも魔物って魔力切れを起こしても大丈夫なんだったか?
「お、おい土屋。あれ大丈夫なのか?」
心配なったのかエルバートが聞いてくるが
「大丈夫大丈夫、あんなの効かないよ。ただ、攻撃できないのはちょーっと面倒臭いな。そろそろブレスが...お、止まった。」
トカゲは炎をあれだけ吐いていたのに、あまり疲れている素振りは見られない。
だが、ブレスを連続で吐くのは無理みたいだな。
今のうちに決める!
ゴーレムを操って剣を振りかぶる。サラマンダーが尻尾を振って阻止しようとするが...
『アースシールド!』
常時ストックしておいたアースシールドで防ぐ。
ゴーレムの剣はというと...
ーーサクッ
「えっ」
「「「「「えっ...」」」」」
グレートサラマンダーの首をサックリと切り落とした...アッサリと...
「...と、とりあえず討伐は完了かな?」
「「「「「いやいやいやいや、まてまてまてまて」」」」」
「突っ込まないでください...俺も自分に突っ込みたい気分なんですから...」
「「「「「アッハイ...」」」」」
なんで俺が戦うといろいろと締まらないかんじで戦いが終わるんだろうか...
読んでいただきありがとうございました。
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