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土の魔道士はモブで生きたい  作者: Pinekey
第2章 ガルム土国編
13/31

第12話 テンプレ

タイトル通りテンプレ回

物語が軌道に乗るまでもう少しかかりそうです。

人で溢れかえる大通りの裏路地。

目の前には地面に埋まっている大男3人と土下座している女性。

どうしてこうなった...



ガイアの祠から戻った後、部屋の前にはメイティがいて、今日は何処に行くんですか?と聞いてきた。

買い物にでも行く。と言うと案内しますと言われ、大通りまで来た。

2.3時間いろんな店を見て回り、そろそろ昼飯にしようかという所で大通りに人が溢れ返り、メイティとはぐれてしまった。

とりあえず人の少ないところに出ようと思って歩いていたら暗い建物の影から女の人の声が聞こえて、行ってみたらチンピラに絡まれていた。

助けようと思ったけど、いくらチンピラとはいえ怪我をさせるのはなんか嫌なので(というよりまだ危害を加えてないので)魔法で地面を沼にして、土操作で首から下を埋めてから元に戻した。

ーーーー

その時のやり取り

「おうおう、なんだ兄ちゃん。痛い目見たくなかったら見なかったふりして回れ右しな!」

「俺達に関わるといいことないぜぇ?」

「そうそう、黙って見てるだけで済むんだからよぉ」

「そういう訳にもいかないんだよなぁ...『マッドグランド』」

「うおぁ!」

沈んだ時の衝撃と沈んでいく恐怖で三人のチンピラは気絶

ーーーー

それを見て顔を真っ青にした女性が土下座してきた。

ちなみに今更だが、この世界の魔法は事前に詠唱をしておく事で、擬似無詠唱魔法ができるとのことだ。(歴代の土の勇者の記憶より)



ほんとに何故こうなったのかわからない。

てか、テンプレかっ!誰かこの状況何とかしてくれ...


「あ、あの...土下座はやめてくれませんかね。僕がいたたまれなくなるんで...」

「いえ!そういう訳には行きません!これが私たちの種族の決まりなのです!」

「この国にはそんな決まりがあるんですか?」

「いえ、私達獣人族の掟です!」

「あ...」


フード被ってて気づかなかったけど確かに猫耳だ。悪いが俺はケモナーではない。


「えっと...その土下座はいつまで...?」

「最低10分です。」


長ぇ...


「そ、そろそろ10分たったんじゃ?」

「まだです。獣人には正確な体内時計があるのです。現在8:42です。」

「そ、そうですか...」


いたたまれない。埋まってる3人が気絶してるのはせめてもの救いだな。


「あの...土屋様?」

「メイティさん!」

「さんは要らないです。呼び捨てでお願いします。」

「あ、はい。」


メイティが来た。謎のやり取りをしていたら獣人の女性が立ち上がる。


「ありがとうございました。猫人族のミリーと言います。改めて礼を言わせてください。」

「あ、いえいえ。僕が放っておけなかっただけなんで」

「土屋様...土屋様は正義の味方だったのですね...」

「あの?メイティさん?なんでそんな目でこっちを見て...」

「土屋...?珍しい名前ですね。」

「あぁ...えっと...僕、ちょっと前にこの世界に来た土の勇者なんです。土屋は苗字で俊太が名前です。」

「え...」


ミリーさんが絶句する。やっぱりこの国で土の勇者の立ち位置は凄いのだろうか。

暫くして、顔を青ざめながらミリーさんが再び土下座した。


「あ、あの...本当に申し訳御座いません。勇者様のお手を煩わせた上に、10分も呼び止めてしまって...どうか、命だけはご勘弁を...」

「殺さないよ!?」

「ひぃ!?」

「あぁ、ごめん。急に怒鳴って...えっと、大丈夫なので顔を上げてください。僕としてはただ、人助けをしただけなので、迷惑でしたか?」

「いえ!そんな訳ありません!」

「ならお互い良かったじゃないですか、これで解決ですね。」

「あの、本当に有難うございます!」

「いえいえ、それじゃまたいつか。」

「あの!」

「はい。」

「猫人族の村に来る時は私の名前を出してくださって構いませんから!」

「えっと...はい。わかりました。」


表通りに戻る時にちょっとだけ後ろを振り返ってみたら、最後まで土下座していた。



「にしても、テンプレなやり取りだったなぁ...」

「てんぷれ?」

「えっと、僕が元いた世界には一応異世界転移とかそういう概念はあるんだ。でも、実際に自分達で起こせる事じゃないから創作物としてね。

それで、その創作物のストーリーって大体話の進み方が決まってて...」

「その進み方がテンプレという物なんですか?」

「そうそう、ガラの悪い人が路地裏で女の子を襲ってて、それを主人公が倒すっていう......

はっ!俺は主人公じゃない!!」


※主人公です


「わわっ!ど、どうされましたか」

「あ、ごめん。えっと...どこまで話したっけ」

「主人公が女の子を救って...」

「そうそう、それでその救った女の子っていうのは物語の中では重要人物...具体的には王女様とかヒロインとか...」

「ヒロイン...」

「まぁ、そんな感じかな」


メイティが渋い顔してるけど、まぁそのうち立ち直るだろうからスルーして、さて次はどこにいこうか。と考えていると前から人が来る。


「すいません、ここらで青いフードを被ったマントの女性を見ませんでしたか?」

「その人の名前ってもしかしてミリーですか?」

「はい、ミリー様で御座います」

「はは、ミリー"様"か。族長の孫とかですか?」

「ええ、なぜ知っているのかわかりませんが、ミリー様と認識があるようですので、指摘はしないでおきましょう。」

「ミリーならそこの路地裏にいました。まだ近くにいると思います。」

「わかりました、有難うございます。」



「こ、これが...」

「テンプレですね」


にしてもあの執事の爺さん何者だよ。ステータスみたらこんなんだったぞ


ーーーー

ディータ

身体自動修復、魔力回復量上昇 大、隠密、暗殺

魔法適性

基本値200

火:3

水:2

土:0

光:0

闇:5

ーーーー

隠密と暗殺はやばいだろ。本当にミリーの執事なのか怪しくなってきたぞ。


「メイティさん。」

「なんですか?」

「ちょっと気になることがあるのでミリーのところに戻りませんか?」

「え...えと、気になることとは?」

「たまにあるんです。この後に実はああいう人が悪者のパターンが」


嘘ではない。ただ、平和に解決することが多いだけだ。


「そうなんですか。まぁ、城に戻るにはまだ早いですし、そうですね。行きましょうか。」

「わがまま言ってすいませんね」

「いえ、土屋様のやりたい事がわたしのやりたい事ですから」

「そ、そうでございますか」

「どうして、固くなるのです?」


ちょっとメイティも怖くなってきたぞ


ーーーー

「あれ?」

「ミリーさんいませんね...」


さっきまでいた路地裏には既にミリーの姿は無く、ディータの姿もなかった。

普通に執事で一緒に帰ったのか?

いや、なんか嫌な予感がする...


「っ!土屋様!これ!」

「...血の跡!しかもまだ新しい!」


これはミリーの身が危ない気がしてきたぞ...

だが、追うにしても手がかりが...

思い出せ!テンプレならこの後どうなる!?

......

......

......


「...メイティさん、この近くに使われていない既に潰れてしまった店ってありますか?」

「テンプレだとそうなのですね。近いところから虱潰しに案内します!」


さぁ、ミリー救出作戦開始だ。

読んでいただきありがとうございました。

よろしければ評価、感想宜しくお願いします。


P.S.作品を二つ新たに投稿しました。

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