第10話 アリス様
今回ちょっと短いです。
申し訳ない
翌日、朝起きてすぐに王様のところへ出向く。
「おぉ、土屋殿。」
「おはようございます、アルデノ王。まだ王女様は...?」
俺の問に対して王様は渋い顔をする。
ちなみにアルデノ王とはこの国の王様の名前だ。
「昨日の晩から捜査隊が王都中をさがしまわっておるが...成果は芳しくない...」
「そうですか...わかりました。では僕達は...あ」
「どうかしたのか?」
「少し心当たりがあるというか、ちょっと確かめたいことがあるんですけど、いいでしょうか。」
「あぁ、頼む。なんとしてもアリスを見つけて欲しい。」
だいたい王女失踪イベントが起きる時は、こっそり抜け出して森へ遊びに行くパターンが多い。
だから、とりあえず森に行こう。
あとアリスというのは王女の名前だ。
ーーーー
王都から最も近い森の目の前に立つ。遠くから見た感じだとそんなに大きくはないと思う。だが、テンプレからして過去にいる可能性は高いはずだ!
てなわけで
「土操作!」
いつぞやの盗賊のアジトを見つけたあの魔法である。
範囲は森全体。外側から囲うように波を進めていく。
お、誰かいる!でもこれ...
「魔物に囲まれて...る!!?」
「お、おい!土屋!?」
「つ、土屋様!?」
付いてきたエルバートとリネさんを置いて走り出す。
これはまずい。王女じゃなかったとしてもこのままじゃ死者が出る可能性がある。
間に合え!
「だ、だれか助けてぇぇええ!」
いた!背中を木に預けて、5体のゴブリンに囲まれてる女の子、多分王女だ。
ゴブリンが棍棒を振りおろそうとしている。
だが、その前に!
『大地よ。我が力を糧に聖なる槍を作り出せ。その力を持って神敵を貫け!"アースブリューナク!"』
ガイアの欠片によって強化されたアースランスの上位魔法がゴブリンに飛んでいく、その数10本。
1本めが振り下ろされようとしていたゴブリンの右手に当たり右手が弾け飛び、2本目がゴブリンの頭を貫き、木に突き刺さる。その後、続け様に残りの8本の槍がゴブリン4体を蹂躙し、戦闘終了。
「大丈夫ですか?王女様であってますよね?」
「は、はい。私がアリス・マコト・ガルムです...あなたは?」
「アルデノ王より、アリス様の搜索を頼まれた、土屋 俊太です。
無事で良かった。あと少し遅かったら手遅れになっていたかも知れませんからね。」
「え...と。土の勇者様?」
「えぇ...勇者ではないと思うんですがアリス様の言ってる人物は、多分僕です...」
「あ、あの!ほんとにすいません!土の勇者様がこの国にいらっしゃる日に私っ!!...」
「あぁ、いやいや。そんなこと気にしてませんから。だいじょうぶですよ。」
これはやっぱり森に遊びに来ていたパターンかな?まぁ、攫われてたとかじゃない分マシだと思うけど...
「おい、土屋!何先に走っていっちまっ...て......
「つ、土屋様...はやすぎます...わ......
『王女様!?』
ハモったな。まぁ、目的の王女様がこんなに早く見つかったんだ。良かった良かった。
「土屋よぉ...お前ほんと......すげぇよ...」
「いや、ただのゴブリンでしたし。」
「にしてもだ。」
「いやー...あはは、ありがとうございます。」
ただ、人の反応を見つけて走ってゴブリン倒しただけなんだけどな。
「あの...土屋様...?」
「なんでしょうか?」
アリス王女がおずおずと聞いてくる。
「父上に頼まれて、と先ほど仰ってましたがもしかして今、行方不明扱いになっています?」
「あ...そうだった、早く戻らないとですね。歩けますか?」
「すいません、コブリンから逃げる時に足首をくじいてしまって...」
「えぇと...じゃあ...」
おんぶしましょうか?って言おうと思ったけど王女様をおんぶってどうなんだ!?
「背負ってもらってもいいでしょうか?」
「!はい、わかりました。」
おんぶ→背負う、って言い方変えるだけで大分感じ方が変わるな、これ。
はじめからそう聞けばよかった。
「......王女様をおんぶって...」
台無しだよ!エルバート!あと、小さく言ってるつもりかもしれんが聞こえるんだよ!
ーーーー
「土屋殿。この度のアリスの搜索、そして保護。誠に恩に切る!
褒美としてはなんだが、金貨を100枚進呈する!
受け取ってくれ。」
「金貨100枚!?」
この世界の金は
金貨1枚=10万円、銀貨1枚=1000円、銅貨1枚=10円と同じくらいの価値で、金貨1枚=銀貨100枚=銅貨10000枚となっている。
その上で金貨100枚ってことは...
「1000万円相当...」
これもう、この世界で暮らしていけるんじゃ...ん?まてよ?
「土屋殿?金貨100枚では少なったか?」
「いえいえいえいえ!多すぎるくらいです!」
「むぅ、だがこれは会議で決まったことなのでな、是が非でも受け取ってもらうぞ。」
「は、はぁ...わかりました。」
仕方ないので金貨100枚が入ったアイテムボックスを受け取る。
このアイテムボックスめっちゃいいやつじゃん...
「それでは土屋殿、2ヶ月間よろしく頼む。」
「はい、是非とも魔王を討伐して見せましょう。」
そんなやりとりをして、謁見の間から出て行く。
最後の言葉はお偉いさん方に示しを付けるためだ。
まぁ、魔王は倒すけどね。
そんなことを考えながら部屋に戻ろうと廊下を歩いていたら、部屋の前に12歳くらいの一人の少女。この世界では珍しい黒髪にぱっちりとした目。10人が見たら10人がかわいいというであろう容姿をした少女。王女アリス様が待っていた。
「あ、あの!土屋様!」
「は、はい。なんでしょうか。」
「わ、わたし...」
「?」
「わ、私を貰ってください!」
「へ?」
またこれか
読んでいただきありがとうございました。
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ヒロイン候補2人目登場です。
あ、1人目はメイティです。
あくまで候補...ですがね。