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第2章 #11.5 (リーゼからカノンへの手紙)

投稿頻度を上げるため、今後一話あたりの分量を減らします。

カノンへ


相変わらず、心配をかけたままでごめんなさい。

私は今、ミスラの王都に帰ってきています。といっても、自分の家ではなくて、ローザンヌ家のお屋敷に居候することになりました。前に話したと思いますが、ローザンヌ家は代々優秀な魔術師を輩出している家で、ミスラ王家とは非常に親密な関係にあります。そういう訳もあって、こうなったのだと思います。

ごめんなさい。そうはいっても、一体どうしてこうなったのか、全く分からないですよね。

事ここに至るまでの経緯を少し説明します。

私がいなくなったあの日は、王国からの迎えが来ていて、ほとんど連れ去られる形でトヴァリの町を去ることになりました。それから、彼らと共にミスラまで帰りました。ただ、帝国領内では自由に移動できず、途中で事件も起きました。途中で立ち寄った町で悪魔に襲われたりしました。私にとってはもっと大きな事件があったのですが、これはミスラ王国とハイベルク帝国間の外交にかかわることであったので、話せません。

ミスラ王国の領内に戻ってからも、こそこそ隠れるように移動していました。私の疑いが完全に晴れるまでは、これも仕方ないでしょう。私が今王宮に戻れていないのも、同じ理由のためです。


これからの予定ですが、私は自分の無実を示すための裁判を待つことになります。それがいつになるのかは、私は知らされていません。

正直なところ、私はまだ怖いと感じています。今回の陰謀(少なくとも私の周りの皆はそう見ています)の全容は分からないままで、この後も、私の身が安全である気がしないのです……。


こんな話題はやめにしましょう。再びローザンヌ家の話になりますが、そのご息女、リーリヤのことも以前話したでしょうか。彼女は、私より二つ年上ではありますが、ミスラ王国でも屈指の魔術師です。私は彼女の魔術の話はよく分かりませんが、貴女なら彼女の話を聞いて得るものがあるかもしれません。




貴女にこの手紙で伝えたいことは以上ですが、最後に、貴女にお願いがあります。

司教のクラウスさんとアーベルには、王女として正式に書面を送る、あるいは送らないかもしれない、ということになると思いますので、貴女の方からそう伝えていただけないでしょうか。


                              リーゼ




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