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美少女(物理)  作者: 蘇芳春海
2/11

第一話『転生するようです』


「…どこだ?ここ」



 目が覚めると知らない所にいた。


 なんか周りが白一色で、壁も床もあるのか判らなくなるような所だ。



「ここ?ここは私の部屋だよ」



 後ろから声がした。振り返るとそこには白いワンピースを着た黒髪のセミロングの少女がいた。


「部屋?」


 おん?なんで俺、いつのまにか人様の部屋に上がってるんだ?

 なんだか良くわからなくて疑問に思っていたら、部屋の扉が開いて、一人の男が入ってきた。


「おい、例の『皮下脂肪が肥大化して爆発するウィルスを国規模で使われたテロ事件』についてなんだが…」


「なにその事件!?怖い!!」


「ん?なんだ、起きていたのか」


 こんな状況下なのにツッコミができる俺は、以外と適応能力があるのかもしれない。


 入ってきた男は黒髪赤目で、着ている黒いシャツには更に真っ黒な炎のような模様が描かれていた。



 ……あれ?あの人って…。



「ルシ●ェル?エル●ャダイの」



 そう、まんま姿がエルシャ●イの某指パッチンの天使なんだ、この人。


「なんだ?私の事か?…フッへへ、私はそんな大それた奴じゃないよ」


 そうなのか…。だろうとは思っていたけど。って、なんだその笑い方。ていうか知ってるのか?


「まあ、それは置いといて、君のことで大事な話があるんだけど……」


 少女はそこのルシフェ●っぽい人に大事な話があるんだってさ。

 多分、俺がその話に加わっていても邪魔になるだけだろうから、空気と化すとするか。正直言って、俺関係無いだろうし。


「………………」


………………


「………………」


………………………ん?


「え?俺のこと言ってたのか?」


「君以外に誰がいると思ってるの?意外とアホ?」


 アホゆうな。


 それにしても、俺の事で?

 なんで見も知らずの人が俺の事で大事な話を振ってくるんだ?


 ていうか…、


「…それよりもここはどこなんだ?確か俺は死んだはずだぞ?なんで俺はここにいるんだ?」


 そうだ、俺は確か鉄骨に潰されて死んだはずだ。なんで生きているんだ。いや、それとも俺は死んでいるのか?あれ?何言ってんだ俺。


「まあ待て、落ち着け、ちゃんと話してやるから」


 そう言って、ルシフェ〇激似の人はその辺にあった椅子に座る。


 少女が喋る。


「まずは自己紹介をしよっか。私は神様の一人だよ。で、こっちのが…」


 男が喋る。


「この子の天使的なアレだ。私の事は……じゃあ、ルイって呼んでくれ」


「『じゃあ』ってなんだ、『じゃあ』って…」


「匿名希望ってことだよ」


 さいですか。

 天使的なアレってなんだろう…。普通に天使でよくね?


「じゃ、話をしよう」


 と少女が仕切る。ていうかその台詞はルイが言った方が良い。絶対に。


「えーと。まず、鉄骨に頭を砕かれて死んだのが二ヶ月前でー………えーと……」


 ふむふむ、死んだのが二ヶ月前か。知らない間に二ヶ月経ってたのか。


「それで?」


「えー……二ヶ月前で……………」



「……………」


「……………」



 ……話が途切れた。


「ごめん。ルイちゃん、あとよろしく」


 ええー!?神がそんなんでいいのかよ!?ていうかルイちゃんって…。


「まったく…、仕方ないな。今回だけだぞ?」


 人がいいなルイちゃん。


「君は自分が死んでいる事に気づいてるかい?」


「あ、ああ、まあ…」


「なら話は早い。多分解ってると思うが、ここは君たちの世界で言うあの世みたいなところだ」


 まあ、死んだ筈の俺がいるんだもんな。


「それでな、君を転生させる為にこの子とは別の神様が君の魂を転生させようとしていたんだけど…、まあ見事に失敗してくれてね。君の記憶を残したまま、君とは全く違う別物になってしまったんだ」


「?言ってる意味がよくわからないんだけど…」


「ふむ…、これを見れば解るかな?」


 そういってルイは円盤状の物体を取り出して、俺に見せた。


 そこには金色の髪を背中にまで伸ばした赤目の少女がいた。


 少々幼さが残るが、俺が見てきた人達の中で群を抜く可愛さだ。歳は13、14くらいか?あの世にはこんなに可愛い子がいるのか…。



「これは鏡と言ってな。君の世界の人類が創り出した英知の結晶だ」



 外見に良く似合う台詞を言わないでほしい、マジでそれっぽい。


「って、え?…鏡?」


「ああ、鏡だ。…私の言いたいことが判るな?」


 まさかと思い、右手を上げてみる。すると円盤の中の少女も同じように手を上げた。

 次に、その手をそのまま顔に持っていき、頬をつねって伸ばしてみる。円盤の中の少女の頬も伸びた。


「いひゃい……」


 流石に痛いから早々に止めた。


「ま、まさか…、これが俺なのか!?」


「そう、それが君だ」


「覗くと性転換した自分が見える鏡とかって事は!?」


「無い。これはただの鏡だよ。言ったじゃないか、人類が創り出した物だと。

それとも、君の世界ではそんなとんでもアイテムを創れる人間がいるのか?www」


「い、いや…」


「だろう?www」


 ルイが取り出して見せたものは鏡で、それに映っている少女は俺だと言う。

 そういえばなんか声が高いような気がすると思っていたが……その所為か。



 ていうか草を生やすな。



「どうして、俺はこんな姿に…?」


「ん?あまり混乱したりはしないんだな…」


 いや、十分混乱してる。


「…まあいい。さっきも言った通り、君を転生させようとしてたら、失敗してしまってね。転生させるにはいろいろと準備をしないといけないらしい。

私は天使だから詳しく知らないけどな。準備を終え、さあ転生させようってところで、

置いておいた『料理』が爆発した」


「ちょっと待て。なんだ『料理』って。なんで転生させる場所にそんな物置いておいたんだ。

ていうかなんで爆発したし」


 ルイは少し考えたような間をあけた。

 なんだよ、そんなに考える必要があること………ではあるな、うん。


「転生させるのに必要な道具の中に、対象の生前の……夢?を具現化したものが必要らしい。

夢といっても、寝ている間に見る夢ではないぞ?

一体なんでそんな物が必要かは調べれば分かるだろうが……すまない、私には興味が無いんでね」


 いや、わざわざ最後に●シフェルの台詞使わなくていいから。


「詳しいことはまたアークエンジェル達にでも聞いてみるんだな」


 居るんだアークエンジェル……。


「とにかく、それが君の場合その『料理』だったんだ」


 なるほど、さっぱりわからん。

 ていうかなんで俺の生前の夢を具現化したのが料理なんだよ。


「あ、料理と言ってもな、名前がちゃんとあったよ。確か、『家庭の手作り朝飯』だったはず」


「朝飯!?なんで朝飯……あ、なんか納得できた気がする!」


 俺はここ数年間、姉さんがことごとく朝飯を爆発させる所為で、家庭の手作りでまともな朝飯を食べていなかった。

 もしかしなくても俺は、おいしい手作りの朝飯を望んでいたのかもしれない。

 だから俺の夢の具現化したものは朝飯だったんだな…。



 でもなんで俺の朝飯(ゆめ)は爆発したんだよ。



「話を戻すが、その朝飯が爆発した所為で転生機能が中途半端に作動してしまったんだよ。それで、君は今のその姿になってしまったんだ」


 なんと厄介なことになってしまったんだろうか…。


「もう一度転生させてみるのは…」


 今度は、少女こと神様が答えた。


「無理だよ。転生に失敗した所為で君の魂はすごく不安定になっちゃってるの。もう一度転生なんかさせたら、魂が壊れちゃう。それに、道具の一つも爆発しちゃったしね」


 ………マジか。


「じゃあ…俺はどうなるんだ…?」


「そう不安にならないで。不良品扱いで君が消えることは無いから」


「そうだ。心配しなくていい」


 そう言うと、テーブルの上に置いてある何枚もの紙に目を通しつつ、ルイと話し合う神様。

 そういえば、さっきからどこからともなく鏡やらテーブルやらが出てきてないか…?



「なんかもうどれでもよくない?」


「いや、流石にそれは駄目だろう…」


「でも正直言って、あの子ならどこに行っても絶対に生きてけるよね?」


「まあなぁ……。彼女ならモビ●スーツと生身で戦って勝てるだろうからな」


 なんだよその化け物。

 ていうかそれ……俺の事じゃないよな…?


「あ、ここなんかどう?」


「そこは前に調整したところだろ。せっかく戦争が終わるように仕向けたのに、戦争が終わるだけに留まらず世界までもが終わりを告げるぞ」


 なにその物騒な話。


「おお、こわいこわい。じゃあ、ここは?」


「そこも前に奇人変人を送っただろ。生態系レベルで超大問題が発生するぞ」


 なにその物騒な話。


「ていうかその辺は私達の管理下じゃないだろう?」


「あ、そういえばそうだったね。勝手にそんなことしたら始末書書かされるわ、ハハハ」


 神の始末書とか、いやだな。


「あー、じゃあ面倒臭いから、もうここで良くない?」


 とうとう面倒臭いとか言い出したぞこの神。


「そうだな。どうせどこへ行ったって生態系に影響を及ぼすのは変わりないしなwww」


「そうだねwww」


 草を生やすな。


「よし、ここにしよう」


「ああ、ここにしよう」


「決まりだね」


「ああ、決まりだな」


「面倒臭いしねw」

「面倒臭いしなw」


 面倒臭いゆうな。あと草を生やすな。



 とりあえず、目の前の神と天使は話し合いを終えた。なんか酷い話し合いだったけど…。


「えっとね、君にはどこか別の世界に行ってもらおうと思うんだけど」


「別の世界?今の会話で大体予想できてたけど、やっぱり俺の住んでいた世界以外にも別の世界はあるのか?」


「ああ、今丁度どこにしようか話し合っていたところだ。君が行くところは……剣と魔法のファンタずぃーな世界だな」


 ファンタずぃーな世界だと!?


 ………なんだファンタずぃーって。


「君がいた世界よりも不便かもしれないが、まあ大丈夫だろう」


 なにが大丈夫なんだろう。


「本当に大丈夫なのか…?行ったそばから魔物に襲われて死んだりとかしないか?

ていうかマジで魔物いたりする?」


「いるけど大丈夫だよ。君は簡単には死なない」


「なんでそんなこと言えるんだよ」


「転生に失敗した後遺症で、身体能力が半端なく上がっているんだよ。足も、X●-70 超音速戦略爆撃機ヴァ●キリーよりも速いはずだよ。ていうか、伏字が追いつかないw」


「例えがわからねえよ」


 ていうか伏字ゆうな。


「ああ、●B-70 超音速戦略爆撃機ヴァル●リーは、とある爆撃機のことでね、マッハ3、つまり音速の3倍で飛ぶんだよ。って、ばっちゃが言ってた」


 なるほど、ばあちゃんの知恵袋って訳か。嫌な知恵袋だな。


 まあ、確かにそれなら魔物に遭っても逃げ切ることはできそうだな。

 ……できそうなのはいいけど、周りへの被害が大きくなりそうだな、おい。


「じゃあ、そろそろいい?」


 え?なにが?

 ああ、その世界に飛ばしていいか聞いてるのか。


「ああ、えーと……、いまいちまだ事態が飲み込めてないけど、多分大丈夫だ」


「そう。あ、そうだルイちゃんから贈り物があるんだよね?」


 贈り物?爪楊枝かなんかか?


「あ。すまん、忘れてた。…あー……そうだ、これだ」


 そう言うとルイは、ポケットの中から小さな青い剣を取り出した。

 ん?ああ、いや、小さな青い剣の形をした髪飾りか。


「これをあげるよ。この柄の部分を思いっ切り引っ張ると音が出るから。音が出て5秒くらいで私か知り合いの天使的なアレが来るから」


 聖☆●兄さんのウ●エルかよ。っておい、勝手に髪に着けるな。

 それから、知り合いまで天使的なアレかよ。


「よし、贈り物も渡したことだし、もう行ってきなさい」


 そう神様は言い、指パッチンをした。すると、俺の前方の床に真っ黒な穴が開いた。

 ていうか、アンタが指パッチンするのかよ。ルイがしろよ。


「ここを飛び降りれば異世界だよ。さっきの髪飾りを使えばルイちゃんとかが来てくれるから、何かあったら遠慮無く頼っちゃっていいよ」


「ああ、わかった」


「それじゃあ、頑張ってね」


 俺は穴に近づき、


「あ。あと、…ありがとう」


 そう言い残して、俺は穴に飛び込んだ。



 メタな発言は今後減らしていくつもりです。


 聖☆お兄さ●の中で好きなキャラクターは阿修羅さんです。

 でもゾウさんの方がもっとs(ry


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