プロローグ ~嘆きの鎮魂歌(嘘)~
細々と活動していきますので、よろしくお願いします。
上から鉄骨が落ちてきた。
今日は極端についてないな、俺。
……人生、なにがあるかわからないね。
朝。俺の家に爆音が鳴り響いた。
「…あー…またか……」
俺はそんな爆音に驚くことも無く、普通にベッドから起き上がる。
すると、部屋のドアが開いた。入ってきたのは俺の姉さんだ。
「…弟よ、朝ご飯が爆発した……」
「だろうな。朝っぱらからこんな住宅街で爆音を鳴らすような朝飯は、あんたの朝飯だけだ」
姉さんは、朝飯を作るのが下手だった。
下手というか……テロ行為だ。
いや、『あまりにも酷すぎて食えない物を作る的な意味』のテロ行為じゃなくて、爆発するからテロ行為なんだ。朝飯に対する意図してないテロ行為なんだ。『もはやテロ行為』じゃなくて、『これはテロ行為』なんだ。なんかもう、朝飯を作ることに変な革命起こしちゃってるんだよ。
ちなみに、下手なのは朝飯であって、料理ではない。あくまで朝飯なのだ。
理由は解らないが、昼食や夕食は作れるのに朝飯だけ作れないのだ。
なんかの呪いに掛かってるのか?
「ごめんな…。朝ご飯だけが作れない姉で…」
「いや、そんなに落ち込まないでくれよ。いつもの事じゃないか。また学校行く途中にコンビニにでも寄って朝飯買うから…」
「本当にゴメス…」
姉さん、謝る気持ちがあるならちゃんと謝ってくれ…。
やあ、俺の名前は桐江憂17歳。謎要素が多すぎる姉が居る、極普通の男子高校生だ。
え?毎回朝飯を爆発させる姉の居る奴のどこが極普通なんだって?いいじゃないか。大抵どこの人間にも、身内にそうゆう奴が一人はいるだろ?
ほら、たとえば、
妹や弟が天才すぎるとか、
親父が実はどこかの世界の魔王だとか、
母親が北●神拳伝承者とか、
親友がバイだったとか。
な?あるだろ?…え?無い?
まあとにかく、そうゆうのに比べたら謎要素が多すぎる姉なんか普通じゃないか。それに、おかしいのは姉であって、俺ではない。
例えいくら俺の家系が異常でも、俺は普通の普通の極々普通の男子高校生なんだよ。わかったか?
あ、ちなみに、今は俺と姉で二人暮しだけど、母さんや父さんはよく仕事で遠くに行ってるだけだから、別に両親が他界してるとか、そうゆう小説でありがちな主人公みたいな設定はないからな?
だから言っただろ?俺は普通なんだって。
さて、爆発後の処理をし終わり、学校に行く支度をして、そんなこんなで家を出た俺はまず、
自転車に轢かれた。
そのあと、起き上がろうとしたらバイクに弾き飛ばされた。
弾き飛ばされた先の家の二階にあった鉢植えが頭に落ちてきた。
向こうで鉄骨を運んでたクレーンが強風に煽られて倒れた。
そして、クレーンが運んでいた鉄骨が落ちてきた。
すまない…姉さん…。俺はもうダメみたいだ…。
ああ、今までのことが走馬灯のように……見えてこねえや…。
最後にもう一度、手作りの朝飯が食べたかったな…。
だが、これだけは言わせてくれ。
「どうしてこうなった」