表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/22

レストア王子・沢木という男。

ここからはしばらくレストア王子・沢木のターンです。


王子、痛い変態です。美形でも変態俺様、ついでにマザコン疑惑浮上。


それでも大丈夫な方はどうぞ!

レストア王子、沢木美人という男。


 世間はゴールデンウイークに入り、社会全体がウキウキしているにもかかわらず、レストア王子・沢木は非常に機嫌が悪かった。


「くそっ! なんであいつは…この俺の美容指導を拒否するんだ! 直々に綺麗にしてやると言ってるのに、きっぱり断りやがって…しかし、なんであの体型であんなに健康なんだ…? 絶対バランスおかしいだろっ、丸茄子みたいな体型のくせに」


 ぶつぶつとぼやきながらも、毎朝恒例の鏡の前での全身チェック(全裸)は欠かさない。


「ふん、長い時間をかけて作りあげたこの俺の美貌と体型。やはり俺のレストアは素晴らしい! この良さを絶対に有沢に叩き込んでやる。連休開けたらまた指導のアタック再開だ。くくくく…」


 鼻息荒く意気込む全裸のレストア王子・沢木美人。

 狙われた瑠璃が聞くと、ドン引き間違いないだろう。


 そうはいっても、自慢するだけあって沢木の体型はもはやギリシャ彫刻の日本人版である。

 身長180センチ、体重65キロ、体脂肪15~19%、BMI17~20をキープしている。

 顔は元ミスユニバースの母の血を濃く受け継ぎ、小さな頃は女の子と間違われたことも多かった。

 日本人なのにどこかエキゾチックな顔立ちは、歳を取るごとに美しくなっていった。

 髪の色は濃い茶色(地毛)、鼻は品よくスッと高く、目はくっきりとした二重で眼力もすごい。

「睨まれると本当に動けなくなるんだ…」とは同僚の証言だ。

 口を開かなければ…きっと極上の男、それがレストア王子・沢木美人である。


 性格は…父親の血を多分に受け継いでいるに違いない。

 俺様気質な沢木は、血の気も多く喧嘩することも多かった。

 母はほんわかとした性格だが、いろいろぶっ飛んでいる性格なので、父の俺様気質と母のぶっ飛んだところを足して、倍にしたのが彼である。


 会ったことはないが、きっとそうだと沢木は思っている。

 母は産む前に父と離婚して、それ以来連絡を取っていないらしい。

 息子がいることも教えていないらしい。詳しくは知らないが、いまさら父に会うつもりはない。

 母親は父の代わりもこなし、女一人で立派に育ててくれた。

「美」にこだわるのも元モデルの母親からの影響である。


 小さな頃は女の子みたいな容姿のせいで、同級生からよくからかわれ泣いたこともある、今では想像もつかないが。


「どうして僕の名前は、美人なの? 友達にオカマって言われたよ…うわーん」


 こう問われた彼の母は、独自の理論でこう諭した。


「あのね、よしくん。美は世界共通なのよ? 美しさが世界を制するといっても過言ではないわ。よしくんには世界をアッと言わせる存在になってほしくてね、美人よしひとって付けたの。よしくんが生まれた時はみんなから、こんなに綺麗な赤ちゃんは見たことが無い!って言われたのよ。 ママ、嬉しかったわ~。よしくんはオカマなんかじゃない、立派な男の子よ。そうね…きっと、その子はよしくんが好きだから意地悪するのよ。よしくんは、名前に負けない美人になるとママは信じてる。ね、だから泣かないの…」


 よしよしと、泣く彼をなだめる母のセリフにいろいろツッコミたいところだが、母と息子の二人きり。

 誰も彼女の教育方針に口を挟む者はいない。

 彼の母の独自の美の理論、「美しさは世界を制す」「美しさに男女の壁はない」「よしくんは世界一の美人になれる」「よしくんは美の探究者」などなど、こうやって子供のころから美についての洗脳に近い教育を受けたのである。そののち彼の母は、美に関しての会社を立ち上げ、成功している。

 今では女社長として、日々海外を飛び回っている。

 高校に入るころには母子二人の暮らしは格段に良くなり、沢木が自分のレストアを始めたのもこの頃からである。

 頭はよかったので、成長期の分も計算し食事・運動などを細かく決め大人になった時点での自分の理想の体型を夢描いていた。

 そして、大学の就職活動のあたりにはほぼ彼の理想とする美の基準に達して、それを維持しながら就職先を探した。何気に首席だったりするのでたいした苦労もなく、好きなところに就職できたのも彼の幸運といえるかもしれない。どちらにしてもいずれ母の会社を手伝うつもりなので、「美」に関する企業にしたのもそのせいである。

 母は気にせず、好きなことをしなさいと言うが恩返しはいつかしたいと彼は思っている。


 だから、彼は自分が正しいと信じて疑わない、今までの幸運が全て母から教わった「美しさ」のおかげだと思っているから。

 彼のゆくゆくの夢は、世界中のすべての女性を美しくすることである。

 それが彼の使命だと信じている。

 だが、とりあえず生きていくには仕事をしないといけないし、レストアもそうそう時間をかけれない。

 結局、そこそこ大手の会社で「美」関連部門があり、なおかつ女性社員の比率の高い会社をいくつか選び、さらにそこの社員食堂の一番おいしい会社を選んだ。


 入社してから5年、じっくりと吟味してレストアしがいのある女性社員を選び、美容指導をしてきたのだ。100%の確率で綺麗に変身する女性社員をどんどん生み出す彼に、セクハラ疑惑も吹き飛んだ。

 社長からも一目置かれ、最近はレストア志願の女性社員が殺到するほどだ。

 だが…誰でもいいという訳ではない、彼の独自の「選別」にかからないと美容指導をする気は起きないのだ。


 久々に全力でレストアしたい!と腕の鳴る素材に出会えた。


 それが彼の部署に配属された新人・有沢瑠璃だった。


「くくく、有沢~、お前の生活態度と、食生活は絶対におかしい。俺の勘がそう告げている。健康的に問題はなくても、美容的には大問題なんだ。さあ、どうやって攻めよう…?」


 全裸のレストア王子にそんなことを言われてるなんて、微塵も思っていない瑠璃は連休を利用してB級グルメを満喫していた。

おうふ、王子、変態です。自分大好きナルシスト。


しばらくこの変態王子にお付き合いください。


今回、書き方の練習を兼ねて視点を変えてます。読みづらかったら申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ