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REGEND系列

LEGEND content

作者: まめ太
掲載日:2011/06/17

フィルリア魔道士研修所発行『魔道と世界の成り立ち』



『全ての魔力が ただ一つの種より発生した』


 この本のコンセプトはジェファーソン・グラミーの提唱する『ラント仮説』に基づいています。

 ラント仮説とは、これまでの概念を大きく打ち破る、まったく新しい世界観と生態系を謳ったものなのです。

 従来の説と大きく異なる点は、「最初に現われたのは魔族ではなく、人間だった。」とするところです。歴史の暗黒点と呼ばれる白紙の200年、それ以前の歴史は断片的に解読されつつありますが、おそらく、このラント仮説の正当性の証明に終始するであろうと言われています。


 人間の歴史がまず有り、その後、彼等の呼ぶところの「ミュータント」という異形の生命が誕生しました。

 それが多くの分岐を経て、魔族や妖魔、魔物などに分裂していったのです。

 今、世界には数千から数万種ほどの、魔力を備えた生命が溢れ、繁栄しています。

 それらの多くは人間と同じ姿を取り、擬態をする習性を持っていますが、これは人間を餌として捕獲していた頃の名残りであろうとも言われているのです。

 よく知られるのは、ドラゴンの習性です。彼等は人間を食べることは稀ですが、古の習性が名残として残っており、今でも人間の姿で人間の街をうろつきます。彼等が人間を好んでハントする事も報告されており、竜と人間の混血が際立って多いことの理由でもあるのです。

 彼等のハントは懐柔策から脅迫まで多岐に渡り、正体を隠す、誘拐するなど、目的を遂行する為のどんな努力も厭いません。第1級犯罪の多くがドラゴンの仕業と言われており、その動機のほとんどがハント絡みなのです。

 凶悪さではドラゴンが、狡猾さではエルフ族が共に軍配を上げているところです。

 また、ドラゴンとエルフの両者共が、人間に注目し、現存する実験データの多くは彼等の研究機関から提供された事を明記しておかねばならないでしょう。


 注目すべき点はもう一つあります。

 遺伝の法則が魔族と人間の掛け合わせにおいては複雑となり、第一世代では魔族の血が優性遺伝として現われやすく、その後、第二世代、第三世代と下がるにつれて、人間の遺伝子の方が大きく現われるようになるのです。

 混血同士の掛け合わせ実験によると、魔族の血が受け継がれるのは10分の1以下、というデータが検出されました。

 人間の、劣勢と思われる遺伝子が多く残される事については、今後の研究を待たねばなりません。


 古代からの化石、「人間」が現在に至っても生存し続ける理由は、その旺盛な繁殖力と、適応力の他に、こういった進化の謎に支えられての事なのです。

 我々、魔力を持つ生命の多くは繁殖という点で、人間にはまったく及びません。

 ほぼ一年周期で子供を産む人間の生命力は、この世界で一番と言えるのです。

 また、ドラゴンやエルフなど、その繁殖力を種族繁栄に結び付けようと、特別の研究機関を設けている種もあります。

 ドラゴンは、数十年に一度しか卵を産まぬ種などもおり、種の存亡を賭けたプロジェクトとして、混血の研究に力を注いでいるのです。稀少種と呼ばれるこれら、竜族などは、寿命や魔力の強さによって、固体数に制限が掛かるのだろうと考えられています。

 この世界において、常に一定以上の繁栄を続けている者……それが、「人間」なのです。

 ゆえに、人間は「魔力を持たぬ覇者」と呼ばれるのです。



 この世界には、大きく分けて三種類の種族が存在します。

 「魔族」、「人間」、「混血」です。魔族と混血の境目は無いに等しく、人間と魔族の二種のみとする考え方もあります。両者の違いを簡単に言うならば、魔力の有る無しに集約されます。この項目については別ページを参照してください。

 また、魔族と大きく区分けした中にも、「エルフ」、「ドワーフ」、「ドラゴン」、「ヴァンプ」、「人魚」……等、細分するなら、膨大な種類を挙げる事が出来るのです。

 それらの種類においても、異種交配による混血などが存在し、上記の銘は純種に限られる事を明記しておきます。

 どちらにせよ、混血の血統を残す事は難しく、せっかく作り出された優れた性質も、一代限りとなりがちです。

 思考錯誤を繰り返し、我々魔族の種は現在の膨大な数にまで発展したのです。

 また、人間の遺伝子操作による魔族の劣悪種も作り出されており、さらに生態系は複雑化しているのが現状です。

 劣悪種は、「奴隷魔族」や「培養魔族」として人間の間で売り買いされ、多くの純種に反感を買い、国交に亀裂を生じさせる原因にもなってきました。

 けれど、グールやコボルトが人間を襲うことを止めないように、人間が劣悪種の売買を止めることもないでしょう。


 このように、種による性質、魔力の分類は意味を為しません。

 ヴァンプは一般に最弱の魔族とされますが、例外的に強大な魔力を持つ者も、その存在を確認されていますし、ドラゴンは、最強種ではあってもその混血は亜種と呼ばれる魔力の低い種にしかなりません。

 それでも例外のように、純種に匹敵する火竜の亜種が確認されているのです。面白い事に、この亜種は、培養ドラゴンの第二世代でもあり、人間の一王国内で誕生した事が知られていますが、現在は所在が掴めていません……。

 多くの混血や、それに連なる人間、魔族など、自身の素性を知らぬままに過ごしている者も珍しくはないのです。


 これから、この研修所で、魔力についての研究に従事する皆さん。

 以上の事を念頭に置いて、くれぐれも、「不明の怪物」を刺激しないように注意を払って、諸事を行うように心掛けて下さい。無力な人間と思った者が、突然、強大な魔力を放出する事もあるのです……。

 我々は、探求者としての目でそれらの事象をいち早く解明し、起こる事故を未然に防ぐ事を目指さねばならないのです。




魔道士研修所 所長

レブランド・グロウ


注:「歴史の暗黒点」

歴史上のある時点において、資料等がまったく発見されない期間が存在しており、白紙の二百年、あるいは歴史の暗黒点と呼ばれている。

それ以前には人間種のみで文明が栄えていた記録が残されており、現在も発掘調査が続けられている。

暗黒点より数千年……文明が途絶えたのか、劇的な変革を迎えたのかは不明であるが、以降、多くの魔族が出現、分岐、発展している。

この不明の二百年に関して、多くの研究者の論説が発表されているが、どれも仮説の域を出てはいない。


「種の分類」

魔力の有無では魔族と人間の区分しかなく、魔族同士の種族判定はとても曖昧である。特徴的な性質によって大別が為されているが、遺伝の法則は解明されておらず、混血流入など血統による区分も宛てにならない為、個々に現れる形質によっての判断に委ねられている。エルフは耳や容姿など、ヴァンプは不死性などで種族判定が為される。

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