未知と魔術と神様と
第8話・・・・・、書けたけどこんな話でもいいのだろうか・・・・?
あ~・・・・文才が欲しい。
現れた三つ目の蛇は巨大だった・・・・それはもう、動物園にいるような蛇なんて微笑ましく可愛らしいと言えるくらいに・・・・・。
ざっと見たところ体長は5メートル程だが、地球の蛇なんかよりもその横幅が太かった。
大人の人間二人ほどの太さで、さらによく観察してみると後ろの尻尾は二つに裂けている。
色なんか黄色と黒で構成されていて、見ていて毒々しい印象である。
この世界の蛇を見たことは無いが、これが一般的とかだったらどうしよう・・・なんて、考えながらルミカは刀の柄に手を伸ばした。
さっきまでいたはずの精霊たちはすでに逃げ去ったようであるが、気配らしきものは感じていた。
「ミナのやつ、嘘教えたわね、異世界トリップした勇者が最初に戦うのはスライムか狼とかの肉食獣系って言ってたじゃないの、いきなり蛇とかハードル高すぎんのよ!」
蛇には毒があるものがいるらしいが、これはどうだろう・・・・いや、どう考えても毒があるだろう。接近戦はどう考えたって不利だ。
念のために刀を抜刀して構えるが、頭の中では魔法を展開するべく想像をフル回転させていた。
炎で燃やす、のは森が近いから延焼した時が恐ろしいのでやめておく。
(となると、安全なのは氷で固めることか)
昔から友人達とその手のゲームをやっていたのが幸いして、ルミカはすぐに魔法を想像することができた。
不穏な空気を嗅ぎ取ったのか、蛇は恐ろしい勢いでルミカへと近寄ってきた。
口をパカッと大きく開け、牙からは毒らしき液体が滴っている。
できればこの先二度と見たくない光景であった。
「氷の檻っ!!!」
想像していたものを口にすると蛇のまえに堅牢な氷の檻が展開され、蛇はその中に閉じ込められて凍りついた。
「おぉ!うまくいった♪」
氷で固めただけであるので、死んではいないが、動くことも出来ない。
《あら、すごいわね、氷の魔術なんて・・・》
「ん?あぁ、水の精霊か、すごいのこれって?」
《そうよ、水の魔術を使えるのは結構いるけど、氷はほとんどいないわ》
「へぇ、そうなんだ・・・・、あ、とりあえずここから離れよ?そこのまだ死んでないから」
そういうと水の精霊もルミカについて歩いていった。
水の精霊がなんとも言えない表情でルミカを見つめていたが、それは気がつかなかったことにしておいた。
仕方ないじゃないか、この世界での魔術がどういうレベルのものなのか知らないんだから!
しばらく川沿いを歩いていると、他の精霊たちも戻ってきた。
《さっきは吃驚したぁ!》
《クルガンって音も無く近寄ってくるからね~》
「クルガンってさっきの蛇?」
《はい、クルガンは音も無く近寄り、獲物を食らう魔物です》
そうか、さっきのが魔物であっていたのか、さすが魔の山の麓・・・・やはり安全ではなかったようだ。
「とにかく、日が暮れる前に人間の町に行きたいわね~」
《僕らが手伝ってあげるよ!》
《それじゃぁ、俺と風の出番だね~》
何が?と聞く間もなく、急に地面が動いた。
「へっ?何これ・・・・・」
《僕と風が考案した移動魔術だよ!》
《人間が歩くより少し速いくらいだけど、立ったまんま移動できるんだ~》
エスカレーターというべきなのだろうか、地面に足は確かについているのだが、勝手に前へ進んでいく。なんて便利な魔術なのだろうか!今度使ってみよう。
「ありがとう」
お礼を言うと二人は嬉しそうに笑った。
《そう言えば、先ほど聞き忘れたのだがなぜこんなところに召喚されたのだ?》
「あ~・・・・ちょっと訳アリで召喚される場所を変えてもらったのよ」
《召喚する場所を変えてもらうって誰にだ?》
(これは困ったな)
ベルゼからは特に喋ってはいけないとは聞いてはいなかったが、この精霊たちに喋るということは、この世界の根幹に属している精霊の王にも伝わるということで・・・。
確認する必要があるか・・・・。
「ちょっと待って、確認してみる」
《確認って誰にするん?》
精霊たちは不思議そうにルミカを見たが、それを無視して耳についたイヤリングをいじる。
「もしも~し、こちらルミカ、聞こえたら返事して欲しいんだけどベルゼ」
【急にどうした?というかまだそっちに送って数時間しかたってないぞ】
ついさっきまで聞いていた声が急に頭の中に響き、驚いたものの、イヤリングの性能に感嘆せざるを得なかった。
「おぉ!すごいわねこのイヤリング・・・、あっ、ちょっと聞きたいんだけど、私があなたと知り合いだって精霊に知られても平気?」
【そんな事か、別に構わないぞ?というかお前の好きなようにしろ、知ったところで何か出来るわけではないからな】
「あっそ、了解。それじゃぁ、またなんかあったら連絡する」
【あぁ、ではな】
イヤリングから手を離すと、それを最後にその後何かが聞こえてくることは無かった。
「許可が出たから話すけど・・・って、どうかした?」
何やら不思議な生き物を観察するかのような視線に流石のルミカも仰け反った。
《・・・一体何と話をしていたんだ?》
指摘されて初めて気がついたが、そういえば会話は頭の中であったために、傍から見ていると急に独り言を喋りだしたかのように見えていたのだ。
それって、かなり痛い人間にしか見えないのではないだろうか。
《私たち精霊、という訳ではなさそうですね》
「あ~・・・・、ちょっとこれから荒唐無稽なこと話すけど、って荒唐無稽なんて解んないか、夢物語みたいな事話すけど、全部事実だからそこのとこ宜しく」
こうして私の事情説明が始まった。
全てを聞き終わった精霊たちは驚いてはいたが、信じてくれたようだった。
それは私が魔術を簡単に扱ったことと、今までの異世界の人間達とは違っていたからであった。
《それでこんな森の中にいたんだ》
「そうそう、あ、こんな森に召喚したこと文句言うの忘れてた・・・!ちっ、今度たっぷり言うしかないわねこれは」
《なんだか神様が哀れね》
《アーディナル神よりも位の高い神様のはずなんだけどな》
いかにも哀れと言わんばかりであるが、そのせいで散々歩かされたり魔物と戦闘なんてことになったのだ。全くもって哀れでもなんでもない。
長々と語っていたので、いつの間にか森の出口付近まで来ていた。
「ようやく外か・・・」
《せやな、・・・うちらとはここでお別れや》
「え?そうなの?」
《我らの管理しているのはこの森一帯だからな、精霊は管理地からは余り動くことが出来ないのだ》
《またね~ルミカ、街までいったら他の精霊たちに会えるよ~》
《そうそう!ちゃんと伝えておくからね!》
「それはあんまり嬉しくないわねぇ・・・・・」
未だにルミカには同じ存在という生き物を理解できなかった。まぁ、どの道この性格の精霊たちのことだ。
街まで行ったら勝手に来るだろう。
《それでは、またお会いしましょうルミカ》
《なんか有ったら俺達に言えよ!》
《うちらも協力するからね》
《俺らはどこにでもいるからね~》
《気をつけてね、それから、あんまり氷の魔術は多用しないことをお薦めするわ》
《そうだな、余り強力な魔術を行使すると目をつけられるぞ》
《皆心配しすぎだよ~!じゃぁね、ルミカ!僕らは君の味方だからね!!》
「ありがとう皆!それじゃぁ、また、ね?」
こちらに来た理由から何から話したこともあり、若干心が晴れていたルミカは笑って森の外へと出て行った。
こんな森の中に飛ばされたことは非常に不愉快であったが、精霊たちと知り合いになれた事だけは感謝してもいいかもしれない。
神様とか精霊とかこんな性格でいいのかな?
特に雷の精霊なんてどこの方言ですか?って自問自答してたよ、うん、多分関西?
ってかいろんなのが混ざってて意味不明ですが、いつも通り気にしないでください。
多分明日は一話アップする予定です。ではでは・・・・。