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異世界なんて中ニまでかと思ってた

第三話、タイトルは常々作者が思っていたことです。

残念なことに作者は当の昔にそこは越えてしまってますが・・・・・・。


―――――――お前異世界に行ってみる気はないか?―――――――



異世界・・・・と神様である彼は言った。

先ほどからベルゼは確かに私のいた世界以外にもほかにも世界があるようなことを仄めかしていたので、ある程度は予想していた。


異世界―――――、漫画や小説の中での一種のカテゴリーであった。

よくあるのは、一般の学生達が魔王を倒して欲しいが為に国に召喚され、勇者と崇め奉られ、魔王を倒しに涙あり青春ありの世界を旅をし、魔王を倒し、勇者は元の世界へ戻る、もしくは国へ残って結婚するハッピーエンドというのが王道らしい。


ミナがしきりに今度の新作の一つに異世界もののを作ろうかと相談に来ていたので良く覚えている。

逆ハーがおいしいだとか、異種族って素晴らしいとか、王侯貴族とかなんて萌え!!

なんてことを、今にも叩かれるじゃないかと言わんばかりのテンションで語っていた。

そんな萌えが今私の現実に目の前にちらつかされた。



「驚かないんだな」


「ある程度は予想してたから、・・・・・・・でも異世界って何で、理由は?」


「理由か・・・・・理由としては3つある。まず一つ目だが、今のままのお前をそこに召喚させることができるから、と言うのが最初の理由だ―――――これは先ほど言ったな、次の理由はその世界であれば私もお前にかなり優遇することができるからだ」


「優遇って、さっきの転生でもかなり優遇されてなかった?」



聞いていた限り、あれ以上の優遇というのはないんじゃないかと思う。

少なくとも生活に困ることも、事故やらに遭うことも、必要なら超能力もつけてもらえるのだから、これ以上はないと思うが、それ以上の事というのが想像できず、疑問符を浮かべる。



「まぁ、確かにお前のいた世界ではかなりの優遇だが、それとは少し違う優遇だ」


「ふぅ~ん、で、3つ目の理由は?」


「実に簡単なことだ、――――――暇なんだよ、主に私たちが」



・・・・・・・・・・・・空間に静寂が訪れた・・・・・・・・・・・・



「え?あぁ、そう」


「驚かないのか?」


「いや、もう、なんて言うかさ、あんたたちの感性が分かったから、気にしすぎたら負けみたいな?うん、面倒くさい」



もう、この際どうにでもなれという一種の諦観があった。

ベルゼ達が神様だろうがなんだろうが、この連中は少なくともルミカたち一般の人間達とは感性が違うということを理解した。


この連中、命に関しての感情が希薄なのだ。

先程ルミカが死んだということを話している時でさえ、命云々の大切さとかがすっぽ抜けているのだ。

彼らにとっては自分達は管理しているものの一部にしか過ぎない。

つまりは、そういうことなのだろう。



「なんだ、つまらん」

「何よ、まさか怒って罵倒して欲しかったわけ、まさかのマゾ?神様なのにマゾって、世界中の皆様に土下座して謝ったらちょっと快感になるかも―――――「違うっ!!」・・・冗談よ」



そうは言ってもやはり腹は立つのでちょっとした意趣返しのつもりで、言ってみたのだが、速攻でツッコミが返ってきた。

図星だったのかもしれないと思うとやっぱり残念である。



「いい加減私も怒るぞ」


「あぁ、それはシツレイ♪それはいいとして、異世界についてもっと詳しく話してくれない?そんな曖昧じゃ選びようがないじゃないの」


「はぁ・・・・・わかった、説明するぞ。まず始めに言っておくが、お前が送られる世界だが、人間達がこれから召喚魔法を行使して異世界の人間を召喚しようとしているところにお前を飛ばす」


「え、それって本気?」


「あぁ、そうだが・・・それがどうかしたのか?」



召喚云々は結局漫画や小説の中だけかと思ったが、どうやら違うらしい。

現実は小説より奇なりとはいうが、実際に私の現実として目の前に突きつけられている現実があるのは、私以外にもそれを体験した人間が居たからなのだろうか。

それとも、現代世界の人間の逞しい想像力の産物ではあるが、実際に生じたことを褒め称えるべきなのだろうか。



「ほう、人間も素晴らしい想像力をしているものだ」


「今までに召喚された人間っているの?」


「いるが、確か・・・・誰一人として元の世界に戻ったものは居ないな」



意外な一言であった。

なら、現代世界の人間の想像力は素晴らしい、というのは分かったが、なぜ戻れないのだろう?



「召喚できたんなら帰せるんじゃないの?」


「そもそも呼び出す側は呼び出した人間達を帰すつもりがはなから無いからな」


「は・・・・?帰すつもりがないってどういうこと」


「そのままだ、大体召喚の理由はどうしても倒すことができない国や種族を討伐するために召喚されるのが普通だからな。考えても見ろ、異世界から召喚された者にはある程度の能力は与えられるが、そんなにすぐに討伐ができるんなら初めからできている。召喚を行っても、結局全てを片付けるのに20~30年はかかるんだぞ?それから帰すなんて手間のかかることをするか?第一、人間の持つ力では召喚を行うには少なくとも50年に一回が限度だからな」



なんだか、酷い言われようではあるが、深層を突いているのだろう。

小説のように全てが全てハッピーエンドにはならないのは最初から分かってはいたが、最初から帰すつもりが無いなんていうのは流石に酷いと思う。


召喚された人間は帰れると信じて、全く何も分からない世界で生きているのだ。

帰ることができないと知った時の彼等は一体どうしたのだろうか?絶望したのだろうか、仕方がないと諦めたのだろうか?それとも神を、世界を呪ったのだろうか?私には理解できないところである。

とはいっても、これから召喚されるかもしれないのだが・・・・。



「人間のもつ力では、ってどういうこと?何で50年に一回なの?」


「召喚というのは次元を超えて人を呼ぶものだからな、魔力はかなり消費され、召喚に使われた魔術師はほとんどが死に絶えるし、召喚を行うには必要な道具がいくつかあるのだ、それを用意するのが容易でない年月が必要になる」



確かに、それならば帰ることができないのも納得できる。

魔力消費のせいで魔術師が死に絶えるというのはかなりハードな内容だ。

それだけ切羽迫っているのだろうが、つまるところ、召喚が行えるレベルの魔術師を育成するのにも時間がかかるし、帰すためだけのために貴重な魔術師達を死なせるわけにはいかないということだ。

更に、召喚に必要な道具を揃えるなんていうのまであると来たら、決定的だろう。



「ちょっと待って、人間のってことは他の種族もいるのよね?他の種族が召喚することってないの?」


「それは無いな、人間以外の種族はそもそも自尊心が強く、召喚をするということ自体嫌悪を抱いている」


「なるほど・・・人間だけが行う裏技みたいなものなのね召喚って」



他種族と違い力の無い人間だからこその裏技というのが正しいようだ。

召喚についてなんて詳しく考えたことは無かったが、いろいろと大変なようだ。



「・・・・・・・それって、私が今から召喚されるとしたらやっぱり死ぬのよね、その人たちって」


「無論だ、それがその国の決定だから仕方が無いだろう。そもそも、今お前を召喚しなかったとしても、他の人間が召喚されることに違いは無いからな」



・・・・・・存外に思っていたよりも責任が重大な決定になりそうだ。



「それで、転生と召喚、どちらにする?」

「決定を聞くの早くないかしら・・・そう、ね・・・・・・」



安全性を考えるのなら転生だろう、しかし、それでは今の皇 ルミカはいなくなってしまう。


それは、怖い。


自分が死んでしまったことは理解できる、本来なら潔く転生するべきなのだろう。


だが、自分という存在が、意識が、記憶が、想いが、消えてしまうのは怖い。


たったの16年しか生きてはいない、まだ子供扱いされていた。


両親や友人達は優しかったし、理解もあった。


楽しかった、悲しい事もあった、どうして生まれてきたのだろうかと絶望したこともあった。


でも、それ以上に幸せだった。


この記憶を、失うのは、嫌だ。




「・・・・・決めた、私異世界に行くわ」


「もう少し悩んでも良かったんだぞ?異世界に行くとなれば魔物や人を殺すこともある、今のお前の世界よりも理不尽なこともまかり通っているような、そんな世界だぞ?」



殺す・・・のは、確かに怖い、魔物は見たこともないし、人間を殺すことなんてもっと覚悟がないだろう。

でも、それでも、私は――――――



「行くわ、異世界へ――――――そこで私は生きていく、皇 ルミカとして・・・・」




神様との会話まだまだ続きますので、まだ当分飛びませんww

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