食事はとっても大切です。
第26話〜( ´ ▽ ` )ノ
パソは使えなくなりました。仕方がないので一生懸命iPadと弟のパソと携帯で入力してます。
変な部分があったら誰かツッコミをお願いします!
クレメンスの許可も下りたことで胸をなでおろすことになった三人は、急におなかが減り始めた。
ストレスがなくなった今食べるご飯は、きっと美味しいことだろう。
「憂いも無くなったことだし、ご飯にしましょ!」
「そうですね、私もおなかが減ってきました」
「さっきそれを呼びに来たんだがな・・・・・・」
ちょっと最近保護者化し始めてしまったクレメンスはそう一人ごちたのだが、それに反応して済まなさそうにしているのはエノーラだけであった。
「なぁ・・・・・、俺も一緒に食って良いの、か?」
「はぁ?急にどうしたの?」
「いや、金ねぇし・・・・それに・・・・・」
未だに奴隷の習性が抜けていないのだろう、まぁ、そう簡単に抜けるものではないというのも分かるのだが、そんなに妙な反応をされても困るというものだ。
「あのねぇ、お腹減ってるんでしょ?」
「そりゃあ・・・・、飯なんて1日1回だったし・・・・・」
「ほら見なさい!今更変な気回しするんじゃないわよ、ほらフード被って」
「ちょっと、待てって!!押すなよ!!」
慌ててフードを被りなおしたカインはルミカに怒鳴りながら文句を言っていた。
「あれが普通か?」
「あれが普通です・・・・・ふふっ」
さっきまでのカインは、初対面でしかも今後の旅の責任者ということもあり、かなり緊張をしていたようなので、固い表情を浮かべていた。
「・・・・・・・お前は大丈夫なのか?」
「えっ・・・・・・?・・・・・・・はい、大丈夫です」
「なら、いい・・・・・」
普段はそっけないクレメンスであるが、同行者のエノーラのことに関しては非常に気を使っていたりする。
最も、エノーラはそれが分かっているので、クレメンスを心配させるような行動をしないようにしている。
クレメンスがエノーラがカインを買うはずが無いというのはそこから来ていたりする。
無論、その他にも理由はあるのだが・・・・・・・。
「行きましょうクレメンス様、早くしなとルミカが煩いですよ?」
「そうだな、・・・・・・いつの間にかあいつが中心に物事が進んでると思うのは俺だけか?」
「ふふっ、そうですね。・・・でも私、今すごく楽しいですよ?クレメンス様はどうですか?」
「面倒だ・・・・・・・・・まぁ、悪くはない、な」
二人は顔を見合わせると小さく笑みを浮かべて先に行った二人を追いかけるべく部屋を後にした。
部屋から先に出ていた二人は先に下に降りて女将さんに四人前の食事をお願いしておいた。
程なくして降りてきた二人は、ルミカたちが陣取っていた席へと着いた。
「今女将さんにご飯お願いしといたからね」
「そうですか、ありがとうございます」
「あっ、そうそう、ちょっと二人に相談したいことがあるんだけど・・・・・」
「なんだ?」
そこでルミカは、カインの実装備がほとんど無いことを伝えると、納得したような顔をしていた。
「カイン・・・・だったな、何か武器か魔術か使えるか?」
「えっと・・・・・魔術は、少し・・・・武器は剣ぐらいなら・・・」
「本格的に扱ったことはあるか?」
「弱い魔物を倒すくらいなら、できます」
クレメンスと話すことに未だに慣れないのだろう、固い敬語のままであったが、いくつか応答を重ねていくうちに随分とスムーズになっていった。
「なんか、面白いわね~あの二人」
「確かに、・・・・・クレメンス様も少し楽しそうです」
「・・・・・・・あれで楽しそうなの?」
ルミカにはクレメンスの表情の違いが少ししか分からないため、エノーラの言葉に首を傾げるしかなかった。
二人の様子は見ていると面白い、なぜならば二人の関係が師弟関係とか、親分と舎弟のような関係に見えるからだ。
カインがクレメンスのことを《師匠》とか《兄貴》とか呼び始めたら面白いかもしれない。
「はいよ~おまちどうさま!」
「あ!ありがとう、女将さん」
「残さず食べるんだよ~」
そうこうしているうちに、女将さんが今日の夕飯を持ってきてくれた。
相変わらずとても美味しそうだ。
ぐうぅぅぅぅぅぅ~~・・・・・・・・・
「ん?」
「あ」
音のした方向へ視線を向けると、フードで姿は見えないが恐らくご飯を凝視しているであろうカインがいた。
・・・・・・・・・・そういえば、1日1回食だったと言っていたな・・・・・・・・。
「か・・・・・・カイン・・・・・・?」
「まだだ・・・・・・、まだ・・・・・・・食べちゃ駄目だ、食べちゃ駄目だ・・・・・」
フードの中からブツブツと呪詛のような呟きが聞こえてくる。
二人も何事かと思っていたのだろうが、それが分かると口元を引きつらせていた。
いち早く立ち直ったのはクレメンスだった。
「カイン」
「は、はい!」
「食べていいぞ」
「あ・・・・・・はい!」
許可が出るや否や、カインは一気にご飯を食べ始めた。
その勢いに唖然としていると、クレメンスが小さな声で「お前もさっさと食べろ」と言ってきた。
確かにご飯が冷めるのは嫌なのでいただきますを言ってからご飯を食べ始めた。
なんだか異様にクレメンスは立ち直りが早かったが・・・・・・・・。
クレメンスは少し遠くを見るように、そう・・・・どこか懐かしい記憶を見るような視線を・・・。
エノーラは少し泣きそうな顔をしながら、静かに目を閉じていた。
この空間に水を差すべきではないのだろう・・・・・・ルミカも少し静にご飯を食べた。
それから少し時間が経って、カインが落ち着くと、我に帰ったのか挙動不審になって辺りを忙しく見ていた。
「お・・・・・・俺としたことがっ!!」
「あ~・・・・・・そういうこともあるって、ね、気にしな~い気にしない!」
慰めるつもりで言ったのだが、余計にカインを傷つけたのか小さく呻いていた。
「気にしないでください、お腹が減っている時は仕方がありませんから」
「ほら、エノーラもこう言ってるんだから気にすんじゃないわよ」
「くっ・・・・・!わ、分かった・・・・・・」
エノーラも言ってくれたおかげでなんとか納得したのか、さっきよりかスピードは落ちたもののご飯を食べ始めた。とはいえ、その量はもうほとんど無い。
「カイン他に食べたいものは無いのか?」
「えっ!?い、いや・・・・・・」
「あるんなら言いなさいよ、育ち盛りに食べないと身長伸びないわよ」
「う・・・・・・じゃ、じゃあ・・・・・・・」
クレメンスに促されてカインは他に何品か追加オーダーをすると、嬉しそうにしていた。
「ところで、結局実装備ってどうなったの?」
「俺が持っている剣一つをカインにやることにした」
「え、あの剣の他にまだあんの?」
「当然だ、万が一折れたり欠けたりしたときの予備だがな」
「あ~・・・・・・なるほどね~」
そう言われてから初めて気づいたが、予備というのは確かに必要かもしれない。
最も神様がくれたあの銘のわからない刀が、そう簡単に折れたり欠けたりするとは思えなかったが・・・・・・・。
「んじゃあ、他は?」
「お前も野宿に必要なものや旅に必要なものは持ってるだろう」
「うん、エノーラと買いに行ったし」
「それを当分はカインに使え。マーレイまでは徒歩で2日の距離だから、そう時間は掛からないからな・・・・他に必要なものはマーレイで買えばいい」
「ふ~ん、分かった」
マーレイまでの時間を聞いていなかったために、旅は恐らく何日も移動することになると考えていたが、2日ならそう時間は掛からないだろう。
それまでの保存食や薬草なんかは十分にあった。
今日買った装飾具を渡しておけば、少なくとも魔術はほとんど効かないはずである。
「よしよし、これで明日までの案件は終わったわね、明日ってどれくらいの時間に出るの?」
「そうだな・・・・・・日がでるくらいにしておくか」
「・・・・・・早起きしなきゃ・・・・・」
この世界に目覚ましが無いことが非常に悔やまれる。
むしろこの世界の住人達はどうやって時間通りに起きているのだろうか、いや、確かに昔は日本だってそうだったが、現代人には辛い・・・・・・・。
「私が起きた頃にお起こしに行きましょうか?」
「是非お願いします!!」
なんとも嬉しいことにエノーラから申し出があった。
これで明日寝坊することはないだろう。
「なんだよ、起きるのが苦手なのか?」
「煩いわね~、慣れてないだけよ・・・・って、よく食べるわねぇ」
茶化したようなカインに苛立ちながら振り返ると、そこにはお皿の山ができていた。
こんなにお皿が重なっているのを見るのは回転寿司以来かもしれない。
「・・・・・・食べすぎか?」
「いや、別にいいけど?ちょっと驚いただけ」
やや居心地悪そうになったカインに気にしないようにと、軽く言うと、苦笑を浮かべたがそのままご飯を食べ始めた。
ルミカとしては別に気にせずに食べてもらいたかったのだが、カインとしたは違和感があったのだろう。
「あ、そうそうクレメンス!今日エノーラ大変だったのよ~、若い男にナンパされて」
「ええっ!?ルミカっ、なんてことを言うんですか!」
エノーラとしてはその男を自分で撃退できなかったことが気になっていたのだが、ルミカからしてみればエノーラがアレをかわす事ができないのは仕方が無いことだと思っている。
何せ、良くも悪くも人がいいのだ、エノーラは・・・・・相手をひっじょ~に気遣っているので、かわす事は不可能と言っても過言ではないだろう。
「ほう、ナンパか」
「おっ?何々?ひょっとしてナンパした経験アリか?」
「いや、むしろあっちが寄って来るな」
「・・・・・・・・この無駄に顔がいい男め・・・・・!こう言うのが女の敵って言うのよ!」
少々下世話な話題を吹っ掛けたつもりだったのだが、逆に打ちのめされてしまう結果になってしまった。
無論、この世界では年下に見られてしまうルミカであるが、元の世界では逆ナンなんてものは良くあることであったのだが・・・・・・・。
総じてルミカにしてみれば無駄に顔がいい男は敵と見なされていたのは、幼稚園から付き合いの男がムカつく程の美形であった事が大きいのだが、それを三人が知ることは無かった。
「全部断ってる。・・・・・何でそんなに憎々しげに見られないといけないんだ」
「ふん!なんとなくよ、悪い!?」
「・・・・・・・・開き直ってるぞコイツ・・・・・」
身を刺すような視線に辟易したクレメンスが呟くと、ルミカは完全に開き直って言い放った。
横でカインが呆れた顔をしていたが、それは見えなかったことにしておく。
こうしてワイワイ騒ぎながら本日の夕食は進んでいったのであった・・・・・・・・・。
更新が遅れまして申し訳ありません、次のパソが買えるまではこれからも更新が遅れますがお待ちくださいm(_ _)m