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自己紹介って大切です・・・よね?

第25話!!

残念なことにPCは今だに直りません・・・、ってか金が無い!・・・仕方が無いので弟のを借りて執筆中ですが、やっぱり今度新しいのを買うことにします。まぁ、お金が溜まったらなので、また更新が遅れるかもです。



ルミカがうんうん唸っていると、程なくしてドアをノックする音がした。



「ルミカ、終わりましたよ」


「ん~、分かった」



予想通りエノーラだったので、すぐに扉を開けて外に出た。

エノーラに、カインが隣の部屋にいることを伝えると、そのままカインを呼びに隣の部屋をノックした。



「カイン、終わったわよ~」



しかし、ルミカの呼びかけにも虚しく返事は返ってこなかった。



「あれ?寝てるのかしら?」


「そうかもしれませんね、今日は疲れたでしょうし・・・・・」



なにせ奴隷から自由の身に変わったばかりで、非常に精神的疲労があったはずだ。

しかし、とりあえず話をしないといけないので、申し訳ないが起きてもらわなければ非常に困る。



「どうしよう・・・・・あ、そういえばカインの部屋の鍵私が持ってたままだ」



勝手に部屋を空けるのはどうだろうかと思ったのだが、迷ったのはほんの一瞬で、すぐに鍵を差し込んで扉を開けた。

部屋の中は一部を除き、先ほどと変化は無かった。そう、一部を除いては・・・・・・。

部屋の中を見渡すと、ベッドの上に倒れこむようにして寝ているカインを除いては・・・・・。


ルミカ達が扉を開けたことにも気づかないようで、ぐっすりと寝込んでいるようだ。

ちょっと悪戯心が湧いたルミカは、こっそり気づかれないようにカインに近寄った。



「ルミカ?何して・・・・「しっ!」」



人差し指を口元に持っていって静かにするように言うと、エノーラは首を傾げながらも従ってくれて、同じくこっそりと近づいてきた。


そうして二人はこっそりと近寄ることになったのだが(エノーラは故意ではない)、一向に目覚めることが無い。

ルミカにとっては好都合であった。どうせなら普通に起こすのではなく、ちょっと驚かせてやろうなんて、大人気ないことを考えていたのだ。

ちょっと調子に乗って驚かせようとした時に、もぞもぞとカインが身を捩ったことで、一瞬固まった。

エノーラもなぜか一緒に固まっていたのには思わず笑ってしまいそうになったが・・・・。

そうして、気を取り直そうとした時に、それは聞こえてきた。



「っ・・・・・かぁ・・・・・さん・・・・・」


「っ――――――!!」



寝言だったのだろう、苦しげに眉を寄せたかと思えば、その目から一筋の涙が顔を伝っていくのを見てしまった。

声にならない悲鳴をあげたルミカは途端罪悪感がひしひしと襲ってきて、思わずエノーラの服を引っ張って部屋の外へ出てしまった。



「うわっ、うわっ!!ど、どうしようエノーラ、私、こういうのダメなの!!どうしよう、カインと今顔合わせたら大変なことになる!!」


「お、落ち着いてください!そ・・・うですね、私も見ちゃいましたし・・・・・」


「あああああっ!!あの時の私!なんで部屋に入ろうなんて考えた!?さっきの自分本当に死ねばいい!!」


「ううっ・・・・・・私も止めなかったですし・・・あぁ、どこかがキリキリ痛む気がします・・・・」



顔を青ざめたルミカは、絶叫しながら頭を抱えて座り込んだ。

エノーラも気まずさから、胃だか心臓だかが痛むようであった。

それよりもルミカの狂乱ぶりを止めてくれる存在がいないことが、問題であっただろう。

いくら部屋が区切ってあるとはいえ、廊下でこれだけ叫べば他の宿泊客にも迷惑がかかるというものであるが、今の二人にそれを気にする余裕は無かった。



「おい・・・・・こんなところで何を騒いでいるんだ」



いつの間にやってきたのだろうか、困惑と呆れを含んだ表情のクレメンスが二人の前に立っていたのだ。

この時の二人の心境は間違いなく一致していたことだろう。

救世主現る!!!・・・・・・まさにこの一言に尽きる。



「な・・・・何だ?」



声をかけたのはいいのだが、二人のただならぬ気迫に押されてクレメンスは一方後ろに下がった。

それもそのはず、ルミカとエノーラはちょっと目を潤ませて祈るように手を前に組んだままにじり寄って来ていたからだ。



「クレメンス・・・・・ナイスタイミングね・・・・!!」


「これもアーディナル神の思し召しかもしれません!頑張ってくださいクレメンス様!」


「だから、何の話だ!?」



喜色の色を隠そうともしない二人は、異様なテンションでクレメンスの腕を引っ張ると、そのままカインの部屋の前へと引きずっていった。

無論、クレメンスは訳も解らないために抵抗したのだが、下手に振りほどくと怪我をさせてしまうことを考えて、それは僅かなものであった。



「いやぁ、ちょっとウチの子起こしてきてくれる?」


「はぁ?なんだそれは・・・・?ウチの子ってさっきの小さいのか?」


「そうです、ちょっと起こしてきてください」



反論する機会を持たせずにサクサクと話を進めつつ、ドアに手をかけたルミカを見咎めて、クレメンスは唇を引きつらせた。



「まて、俺はまだそいつと会ったことがないんだぞ!?」


「大丈夫よ!さっきあっちは顔見てるから!」


「そういう問題じゃないだろう!?」


「お願いします、クレメンス様!」


「エノーラ!!お前もか!?」



ドアを大きく開いて、部屋の中に突っ込もうと押し出されて、なんとか踏ん張るクレメンスに追い討ちをかけるようにエノーラも押し出しに協力し始めた。

いくらクレメンスと言えども、大した抵抗もせずにいたものだから、エノーラが加わったことでとうとう部屋の中へと押し出されてしまった。



「・・・・・・何してんだ?」


「「「あっ・・・・」」」



当然扉を開けてここまで騒げば相手も気がつくというもので―――――、何が起きているのか分からないといった表情で三人を見つめているカインが立っていたのだ。

いつ気がついたのかは不明だが、その顔には涙の跡は残っていなかった。



「お・・・・・・おはよう、カイン」


「おお・・・・・で、何してんだ?」


「ちょっと、話し合いみたいな?」


「ここでか?」



胡乱気に辺りの―――自分の部屋を見渡したカインは、どう考えてもここが話すことに適しているとは思えなかった。

それはルミカも理解しているので、冷や汗をかきながら微妙な顔をしていた。



「あの、すみません・・・・・これにはちょっと事情があるんですが・・・・」


「それはともかく、クレメンス!これがカインね!カインもさっき見たと思うけど、これがクレメンスね!」



エノーラが余計なことを言う前に遮ったルミカは、お互いをかなり適当に紹介した。



「あ、初めまして・・・・・カインです・・・・」


「ああ、クレメンスだ」


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


「・・・・・・それだけ!?」



二人のあまりに短い自己紹介に即座にツッコミをいれたルミカは、さっきの自分の紹介を完全に棚上げしていた。



「というより、俺は他の説明を聞いていない、どうしてこの子を連れてきたんだ」


「おお!そういえば何も説明してなかったっけ?」


「すみません、クレメンス様忘れていました・・・・・・・」



さっきエノーラが呼びに来たのも、それを説明するためであったのだが、それをすっかり忘れていたのだった。



「まぁ、その髪を見れば大体想像はつくがな・・・・・」


「っ・・・・・・・・・」



ちらり、とカインに一瞥をしたクレメンスは、小さくため息をついてルミカに向き直った。



「お前が買ってきたのか?」


「わかるんだ」


「当たり前だ、エノーラはそんな真似はしないからな、だとすればお前だろう」



呆れは含んでいるが、そこに嫌悪とか侮蔑という色は全く無かった。

予想通り、クレメンスには偏見が無かったことに少し安堵した。



「いやぁ・・・・・つい」


「はぁ・・・・・それで、お前は納得したのか?」


「お・・・・・・俺ですか?」



クレメンに話を振られると思わなかったのか、カインは使い慣れていない敬語を使いながら尋ねた。



「他に誰がいるんだ?先に言っておくが、この女は見た目よりも意味の分からない生き物だからな、魔術は神術は使えるが記憶喪失で身元不明の女だからな、こんなのを主人にしていいのかと聞いている」


「ちょ!!酷くない!?」


「いや、全く」



本当に酷いと思っていないのだろう、しれっと言い放ったクレメンスに抗議の声を上げたのだが、軽く流されてしまった。

すぐ傍でエノーラが笑いをこらえて震えているのが見えた。

なんだか今日はエノーラの表情が二転三転するのをよく見かける気がする・・・・・・。



「いや、てか・・・・主人じゃないし」


「買ったんじゃないのか?」


「買ったけどさ、もう自由の身だし」



そう言ったところ、もう一度カインに・・・・主に首元に視線を向けたクレメンスはそこにあるはずのものが無い事に気がつき、またしても大きな溜め息を吐いた。



「・・・・・・アレはお前がやったのか・・・・・・」


「紐の事?取っちゃったけど?」


「あのっ・・・・・クレメンス様、・・・・・・ルミカですから・・・・・!」


「・・・・・・・そうか」



いかにも頭が痛いと言わんばかりに額に手を当てたクレメンスは、エノーラの言葉に納得したのかしなかったのかは不明だが、それ以上のことは言わなかった。



「それでね、自由の身にしたのはいいんだけどさ~、カインまだ14歳だし行くところも無いって言ってたから連れてきた」


「つまり、こいつも連れて行くといいたいのか?」


「そうそう!わかってるじゃん♪で、いいかしら?」


「クレメンス様!私からもお願いします・・・・駄目、ですか?」



ルミカとエノーラが、いやエノーラからのお願いに弱い身としては、きっとお願いを聞いてくれるだろう。



「わかった・・・・ただし、ルミカお前がちゃんと面倒を見ろよ」


「分かったわ!」


「おめでとうございますルミカ!良かったですねカイン君!」


「いいのか?それでいいのか・・・・・俺の扱い・・・・?」



若干どこかのホームドラマかと思うようなやり取りが発生したが、カインの扱いが子供が犬か猫を拾ってきたような感じで纏められてしまい、ちょっと微妙な顔をしていた事は三人の知らぬところであった・・・・・・・。











カインとクレメンスは師弟関係みたいにできたらいいな~と思っています。

お互い相方?がちょっと常識からズレているので、よきツッコミになれれば(笑)

次の更新も遅れるかもしれませんが、これからも宜お願いします。


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