宿屋の前=ストレス
第24話~!!
え~っと・・・遅くなってすみませんでした。
遅くなった理由なのですが、PCがご臨終しそうです。
A~」 までの列が入力できません、十回に一回くらいの確立で押せるという状況なので、更新がかなり遅れます・・・ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんが、PCを修理に出すので、直るまでお待ちください。前書き書くだけなのに10分かかりました・・・orz
そろそろ日も暮れ始めたことなので、宿屋に戻ることになった。
カインには申し訳ないのだが、フード付のローブを目深まで着てもらい、念のために魔術で外から見えないように小細工をしていた。
宿屋に戻る途中、二人はカインに自己紹介をしたのだが、エノーラはともかく、ルミカの説明になった時にカインが呆れたのは言うまでもないだろう。
魔術も使えて武器もつかえる記憶喪失の身元不明女、しかもありえない金持ち。
「お前、やっぱねぇよ・・・・・」
「それは言わない約束よ・・・・・・!」
「ですが、悪い方ではありませんよ」
「エノーラ・・・・・・!!」
「怪しいですけど」
最近エノーラは天然毒舌吐きになってきたのか、嬉しさに満ち溢れたルミカをどん底に落とすことを簡単にやってのける。
非常に心が痛い、グサッと来る時もあれば少しづつ削られる時もある。
「くっ!!でも私めげないわ!!」
「お前、なんだかすげぇ残念だな」
「カインに言われたくないわよ」
楽しい帰り道を帰っていたのだが、宿屋の前にいる人物に気がつくと途端に口元が引きつる思いであった。
先日と同じようにクレメンスが宿屋の前に陣取っていたのだった。
「エノーラ・・・・・・」
「はい・・・・・・・、ルミカとカイン君は先に中へお願いします。私はクレメンス様と・・・・・」
エノーラも若干緊張していたのか声が硬くなっていた。
ルミカとエノーラの緊張具合から宿屋の前にいるのがもう一人の旅の連れというのが分かったのだろう、カインからも緊張した空気が感じられる。
「た、ただいま~、クレメンス!」
「あぁ・・・・・、で、その小さいのは何だ?」
早速バレてらっしゃる!!こんなにすぐに聞かれるとは思わなかったものだから、心の準備ができていなかった。
「クレメンス様、そのことについては後ほどお願いします。先にご用件がおありだったのでは?」
「・・・・・・そうだな」
「それじゃぁまた後で!!ほら、行くわよ!!」
「うぉっ!!」
エノーラが話を逸らしてくれたのを確認すると、カインを引き連れてそそくさと宿屋の中へ避難した。
「あ~心臓に悪い・・・・・」
「あれがもう一人の連れか?」
「そうそう、ちょっと厳しいところあるけど、いい奴よ・・・・あっ」
ルミカの視線の先には、宿屋の女将さんがいた。
カインの部屋が空いているのかを確認する必要がある。
「女将さ~ん!」
「あぁ、お帰りお嬢ちゃん!どうかしたのかい?」
「ちょっと聞きたいんだけど、部屋ってまだ空いてるところある?」
「うん?その子の部屋かい?」
女将さんはルミカの隣にいるカインに視線を向けて、不思議そうな顔をしていた。
外にいるのならまだしも、こうして中に入ってまでフードを目深にしていることを不思議に思ったのだろう。
「ええ、この子も明日一緒に出るんだけど、宿が無くって困ってたの」
「あぁ、そういえば明日出るんだったね、寂しくなるねぇ」
「またウォルスに来たらここに泊まらせてもらうわ」
「そうかい!っと、その子の部屋だったね~。ちょうど良かった、さっき一人出て行って空いてる部屋があるよ」
「じゃぁ、その部屋をお願いします」
「はいよ~、部屋はあんたの隣だからね」
気のいい女将さんは特に詮索することも無く、部屋を貸してくれることになった。
女将さんに鍵と今日の合言葉を聞いて、カインに用途を説明しておいた。
都合がいいことに部屋はルミカの隣らしいので、カインを促すと黙って付いてきてくれた。
カインにも空気を読むというスキルはあったようだ。
階段を上がった二人は、先にカインの部屋へと入ることにした。
部屋の造りは同じなようで、ルミカの部屋と違う点は、ベッドの造りが少し違うぐらいであった。
「良かったわね~、部屋空いてて」
「それはいいけどよ、ここの金どうすんだよ」
「私が払うから別にいいわよ」
「・・・・・・・お前、何でそんなに金持ってんだよ」
「しょうがないじゃないの、持ってるもんは持ってんのよ」
まさか神様から準備金としてお金貰ったら、遊んで暮らせるぐらい貰っちゃいましたなんて・・・・・言えるわけが無い。
部屋についてからようやくフードを取ったカインだが、顔に殴られた痕がくっきりと出はじめていた。
「あ、そういえば殴られてたわね」
「まぁな、お前が割り込んだおかげで今日はこれだけで済んだけどな」
「今日はって・・・・・・」
「こんなん奴隷には日常的なもんだ」
「・・・・・・・・・・・嫌な日常ね」
聞いているだけでも嫌な話だが、それは置いておこう。
「ちょっとそこに座って」
「今度はなんだよ?」
文句を言いながらもカインは素直にベッドに腰掛ける。
自然と上目遣いになっているのだが、これが可愛い女の子ならば萌とやらを体験できただろう。
なんだか昔ミナに同じようなことをするように言われてやったら《萌え~!!》と叫ばれたことがあった気がするのだが・・・・今ではいい思い出だったと処理しておこう。
ルミカは集中するとカインの顔に手を当てて、それを治した。
「はい、終了!これでもう痛くないでしょ?」
「何したんだ?」
「神術ってやつ?」
「・・・・・・・そうか」
驚いたのは一瞬で、ペタペタと自分の顔を触っていた。
腫れた頬も痕すら残さずに治したので、痛みも無いはずだ。
「多分二人の話が終わったら呼びに来てくれると思うから、それまで待機ね」
「分かった」
言い残して、ルミカもカバンの中身を整理するために一度自分の部屋へと戻ることにした。
明日は旅立ちの日なので、必要なものを取り出しやすいようにする必要がある。
「そういえば、カインってどうしよう・・・・・・」
自分のことばかり考えていたので、カインの装備について全く考えていなかった。
ルミカが持っているものをカインにあげれば足りるだろうか?いや、まずカイン用のカバンとか無いけど、どうしようか?武器は?防具は?
「しまった・・・・・、クレメンスをクリアする事とカインの頭隠す事しか考えてなかった・・・・・・」
エノーラもそのことで頭が一杯だったのだろう、その話題については触れられることが無かった。
明日になればウォルスを出てしまうので、買い物に行く余裕は無いだろう。
予定では朝には出発だったはずだし、その時間に店が開いているとは思えない。
「後で相談しないといけないか~・・・・・問題山積みね・・・・」
本当はカインの髪の色も変化させようかと思っていたのだが、先にエノーラに黒髪であるのを見られている。
すでにルミカが異常な魔術を使っているのはなんとなく感づいているのだろうが、それでもまだルミカ=異世界の人間と気づかれるのはなんとなく躊躇われる。
そう、その《なんとなく》が問題なのだ。
ルミカは昔から勘が鋭かったのだが、その勘が二人には今はまだ話さない方がいい、と言っている気がするのだ。
今まで一度も勘が外れたことが無い身としては、その勘に信頼をおいている。
しかも、その勘は《今はまだ》と言っているので、いつかは話してもいいのだろうが、今はまだ早いと知らせているのだ。
「本当の事話してスッキリしたいんだけどなぁ・・・・・・はぁ」
これから先のことを思うと非常に気分が重たくなるルミカであった・・・・・・・。
右手が疲れるので今回は省略!!