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神様・・・・って、間違ってない?

第二話目です。

イロイロ間違った気がするww


「よ~しよし・・・うん、とりあえず理解した。私、死んだんだあそこで・・・」



あの時は咄嗟の出来事だったために理解できなかったが、確実にあの乗用車に跳ね飛ばされたのだろう。

そして、死んだ。

でなければ、こんな所にいる理由がわからない。



「まさかの夢オチって事は無いわよね?・・・・ここは死後の世界?」



もう一度辺りを見回してはみるが、相変わらず真っ暗な空間が広がっている。

そこには三途の川もないし、向こう岸すらない。地獄かとも思ったが、閻魔王がいるわけでも、自分の他に死人らしき人間もいない。



(どうしよう・・・せめて三途の川くらいないと、いつまでたっても浮幽霊じゃないの)



そういえば、親よりも早く死んだ子供は賽の河原とやらで石を積み続けないといけないと聞いたことがある、石を積んでは鬼に壊されるのを繰り返すらしいが、いつになったら終わるんだろうか?そこに行くのは嫌だなぁ・・・。



「・・・・随分と冷静だな」



急に背後から声をかけられ、ぱっと振り返った。

宙に浮いてはいるが、どういう理屈か、体は声のほうへと振り向いた。

そこに立っていたのは、いうなればヨーロッパの神話に出てくる神様のような格好をした男だった・・・いや、訂正しよう、絶世の、いや人外の美しさを持つ男だ。なんか光ってる。

年の頃は二十代前半、髪と目は共に金の色をしていた。はっきり言おう、異常だ。

確実にカラコンではないと思うのも、この異常な空間が示していた。



「・・・・どちらさま?」

「ふむ・・・いわいる神様といわれる存在だな」



いろいろと聞きたいことはあったはずなのだが、男の存在のせいでちょっと吹っ飛んだ。


(神様・・・か、私の家はたしか浄土真宗だったはずだから、少なくともこんなヨーロッパ風な神様には何の縁もなかったはずなんだが、仏教の神様人手不足か?)



「違う、別に人手不足じゃない」


「うわ、人の心の中読み取るとか!プライバシーもなんも無いじゃない」


「・・・・死んだ人間にプライバシーとやらがいるのか?」


「いるに決まっ・・・やっぱ死んでるんだ私」



自称 神様にツッコんだはいいものの、死んでいるという発言にさすがにショックを隠せなかった。

今まではハッキリとした感覚がなかったが、言われてから初めて『死んだ』感覚が芽生えた。

思いっきり夢から覚めたような感覚だ。



「そうだ、お前は車に跳ねられて死んだ・・・」


「そっか・・・・・・で、天国に行くの?それとも地獄?あっ、賽の河原のほう?」


「立ち直りが早いな・・・」


「死んだものは仕方ないじゃないの、好きで死んだわけじゃないけどさ・・・・」



思わず死ぬ瞬間を思い出し、盛大にため息を吐いた。

なんで、どうして?と言いたい事は沢山ある。

しかし、起きてしまったことをぐだぐだ言ったところで仕方が無いだろう。



「そのことなんだが・・・」



なにやら言いにくそうに、困ったように頬をかく自称 神様 神様も人間みたいなことするんだなぁ~なんて、思っていると。



「悪い、間違って死んだんだ、お前」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」



たっぷり数秒は、何を言われたか理解できずに無音の空間が続いた。

今なんと言ったこいつ・・・?



「いや、本当ならあの時間、あそこには誰もいない予定だったんだ、事故を起こしたトラックの運転手と、乗用車に乗っていた二人は確かに死亡予定になってたんだが・・・なんの因果かはしれんが、お前も一緒に死んでしまったというわけだ、いや不思議だな」



「・・・・・・・・・・・・・・・・いや、いやいやいや!はっ?何それ、何うっかりみたいな事と言ってんの、それでも神様な訳!?」



いかにも申し訳ないという雰囲気だったが、最後の一言に憤慨してしまったとしても責められる謂れはないだろう。

さっきは、天命とかだから仕方がないとか、寿命的なものだろうからと、納得していた。

しかし、なんだその、うっかりというか、間違ってというか。そんな理由に納得できるわけがないだろう。



「お前がどう思おうとも高位の神だ。それから、うっかりとは言っていない、ただお前の運が天文学的数値よりも遥かに越えて運が悪かっただけのことだ、そもそもこんなこと初めてだ。他の連中にも聞いてみたが全員驚いた顔をしていたからな」



「ふっざけないでよ、私の人生返しなさいよ!」



「・・・・無理だ、お前はあの世界ではもう死んでいる。なんならお前の死体を見せてやろうか?こう言っては何だが、見られた物じゃないぞ車の一部に腹を引き裂かれて中身は出てるし、頭も血まみれだし、手足も変な方向に向いてるからな」



非難の言葉も空を切り、神に言われたその惨状を思いうかべ、息を呑んだ。



(自分の死体の状況など誰が知りたいと思うものか!)



怒りと例えようのない怖気さに、顔を赤く染めたかと思うと一気に青ざめる。

震える体を手が白くなるまで抱き締める。

唇を噛み締めブツリという嫌な音と共に口内に鉄の味が広がる。



「お、おい?大丈夫か?さすがに死体は不味かったか…」



流石に神もルミカの様子がおかしいことに気がつき、慌てたように近寄ってきた。



「・・・・・・・ね・・・・・」


「な、なんだ?よく聞こえ――――」


「死ねやこの糞神ぃぃぃぃぃぃーーーー!!!」


「ぐっ!!!!」



まさに一瞬の出来事であった。


ルミカの小さな呟きをいまいち聞き取れなかった神が、心配そうに顔を覗き込もうとした瞬間だった――――プロも真っ青な速度で繰り出されたアッパーがものの見事に顎にクリーンヒットしたのは。

舌をかんだのだろう、無様にひっくり返った神は口元を押さえてもんどりうってのた打ち回っていた。



「ちっ、そのまま気を失っとけば良かったのに」



そこには美人といわれた顔をどこぞのチンピラよろしく歪めたルミカが吐き捨てて言った。

もはや、誰だこれは!と、いわんばかりの変貌振りであった。

彼女の性格の悪いといわれる由縁はこの辺りにあったりするのだが、神に知るよしもなかった。



「ら・・・らにをしゅる!?」

「はっ、どこのバブちゃんよ」



未だに舌が痛いのだろう。神は若干涙を浮かべながら抗議をしたが、残念なことに舌を庇ったせいで赤ちゃん言葉になっていた。

神々しい美形だが今ので、だいぶ残念な美形にランクダウンしていた。

赤ちゃんと揶揄されたことに衝撃を受けたのだろう、起き上がったは良いものの、凍り付いて固まっていた。



「とりあえず、私の気が済むまでサンドバッグね?」


「どうしてそうなる!?と、とにかく落ち着け!話し合おう!」


「私から話はないから、っていうか、そっちがまず謝れ、そっちの都合で私の人生終わってるから、ね?

ほら私の魂があんたに消される前にちょっと痛い思いするだけだから」


「そのお前の人生に関してだ!!」



あと少しで回し蹴りが当たるという寸前でピタリと止まった。

怒りは未だに身を焼け付くさんばかりに燃え上がっていたが、なんとか留めた。

ついで、足が下に下りていくのを認め、ようやく神は安堵の息を吐いた。



「何?私を生き返らせてくれるってわけ?」


「いや、お前をあの世界には帰すことはできん」


「じゃあやっぱりサンド―――」


「最後まで話しを聞け!!・・・・・・お前を皇 ルミカとして生き返らせることはできん。あの世界に戻すとすると、今のすべてを浄化してから転生という形でしかあの世界には戻すことは不可能だ」



ようは、ルミカのいた世界に戻りたいのなら、ルミカという個人ではなく全く別の人間とでしか戻れないといいたいのだろう。



「・・・・・・あの世界には、って言ったわね、それってどういう意味?」


「察しが良いな・・・・・・お前のいた世界には戻せぬが、別の世界になら皇 ルミカとして送り出すことはできる」



訝しげなルミカに神は少し感心した様子で続けた。



(あの世界ということは、他にも世界があるという事なのだろう、けど送り出す?)


「お前のいた次元とは異なる世界になら肉体と魂の両方が存在し、今のまま送り出すことが可能だということだ」

「あぁ、心の中も筒抜けだったわね・・・・なぜ私の世界では存在できないの?」



すっかり忘れていたが、さっきまでは頭が沸騰しそうになるほど激怒していたので頭で考えるよりも先に口から全て出ていたので、ここでは頭の中で考えていることがそのまま分かってしまうことをすっかり忘れていた。

とはいえ、頭で全て話をするのは違和感があったのでやはり口頭で話はするが・・・。



「あの世界にはお前の肉体がすでに存在している。しかも、すでに修復が面倒な上に魂も離れている」


「神様でしょ?体ぐらい治せないの?」


「体が修復できたとしても、魂が戻ることができない、すでに肉体と魂の繋がりが切れてしまっているからな・・・・・・お前の世界に臓器移植というのがあるだろう、型が合わないと肉体が拒絶するという奴だ。それと同じで、一度魂の離れた肉体には二度と魂が戻ることはできん、肉体と魂が拒絶する」



肉体を修復することができるというのは嘘ではないらしい。

できるなら葬式のためにせめて臓器と手足くらいは直して欲しいところだ。

さっき言われた状態の私を両親や友人達が見たら絶対に卒倒する。


ともあれ、私はもう戻ることは無理なようだ。

もう少し粘って神を脅しつけようかと思ったが、そろそろ私の中で諦めモードが入っている。

これは諦めよう。



「諦めるのは別にいいのだが、そこでお前に二つの道を示す」


「二つの道?何のこと?」


「まぁ、少し待て、詳しい話をすると長くなるからな、茶でも飲むか」



半ば諦めていたので、急に二つの道なんていわれて首をひねるルミカをよそに、神は一つ指をならすと何もなかった空間に突如として白いテーブルとイス、それから紅茶と茶菓子が用意されていた。

呆気に取られたものの、ここはすでに自分の知る常識とはかけ離れていることを思い出し、小さくため息をついた。



「どうした、座らないのか?」



立ちすくんでいるルミカに不思議そうな顔をする神は、そのままイスに座り、優雅に紅茶を飲み始めた。

無駄に考えるのもアホらしくなってきたルミカも勧められるまま席に着いた。

席について紅茶を一口飲むと先ほど心が落ち着いた。


「そういえば、今更だけど、神様って名前あるの?」


「本当に今更だな・・・私の名はベルゼビュートだこれでも高位の神だ」


「ベルゼビュート・・・・無駄に長い!ベルゼでいっか」


「そこは普通本人に確認を取るところじゃないのか!?」



神様のほうはルミカのことは既に知っているようなので、自己紹介なんかはしないことにした。

・・・・・・・主に面倒くさかっただけだが。

それに今更神様が高位だろうがなんだろうが、敬う気にもなれず、今までと同じように話を進めた。



「いいじゃないの、そんな細かいこと気にすんじゃないわよ」


「名前というのはお前が考えているよりもずっとだな・・・・・」


「分かったから、とりあえずさっきの話の続き話してくれる?」



いまだに「これでも高位の神様なのに・・・」とかぶつぶつ呟いていたが、これ以上ルミカと不毛なやり取りをするのが嫌だったのか、わざと大きく咳払いをして姿勢を正した。




「うむ、本来なら死亡する筈のない者が死ぬというのは前代未聞でな、他の者達と話し合った結果、お前には二つ選択肢を用意した。まず、一つ目だが、先ほど言ったとおりお前の世界に転生を行う、その場合はお前には必ず善いこと舞い込むように我らからの祝福が与えられる」



「祝福って?」


「簡単に言えば幸運だな、宝くじを買うと必ずあたるとか、天災が起こるのがわかったり、少なくとも今度こそ事故やらで死ぬことはなくなる。まぁ、要するに確実に幸せな人生を約束されているというところだな」


「へぇ・・・、それは確かに便利だけど、それってある意味超能力って言わない?」


「そうなるのか?必要なら念じれば物を動かしたり、遠い距離を見たり聞いたり、人間達の間では超能力といわれるものもつけるが」



あまりに便利すぎる能力の数々であるが、現代日本においてそんな能力ありがたいを通り越して確実に迷惑ということになるのではないだろうか。

今までのルミカがやってきていたことでさえ奇異や畏怖の眼差しで見られることがしばしあったのだ。

これ以上変な能力をつけられて日本に誕生したら確実に化け物扱いである。

ベルゼの言う転生は少し考え直してもらう箇所がいくつかありそうだ。



「ちなみにもう一つって・・・・・・・?」



「ん?あぁ、もう一つか・・・・・・・・・



            ―――――――お前異世界に行ってみる気はないか?―――――――


                                                                   」



これから神様とのグダグダな会話になります。

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