こっそり練習
第19話~これでようやく3日目とかww
どんだけ時間の経過遅いねん!!しかも3日目はちょっと長い・・・かも?
ちょっといろいろ盛り込んだら長くなりそうな気配がする・・・・、どうしよう、ちょっと削ったら少なくなるかな・・・・?
朝日が室内に入り込み、ルミカの顔を照らし始めると、あまりの明るさにルミカは目を覚ました。
そういえば、昨日は眠たくて仕方が無かったからカーテンを閉め忘れていたのを思い出したルミカは、顔面に当たる光から逃れるように身を起こした。
ベッドから飛び起きたルミカは時間を確認するために窓から朝日の傾きを確認したが、約束の時間まではまだ時間がありそうだった。
いそいそと身支度を整えたルミカはいつものように下に降りて女将さんに朝食を頼んで朝食を食べた。
今日の午前中は魔術の練習予定なので、普通の人間が近付かない所へ行く必要がある。
二人に忠告されたが、昨日のお姉さんの反応を見る限り、やはり異常なのだろう。
しかし、使えない魔術というのも考え物であるので、一般人にも怪しまれない程度の魔術の練習をしようと思っている。
無論それには教師が必要であるが、ルミカには頼もしい教師達がいるのでそこは安心だ。
ウォルスから出たルミカは、とりあえず離れた奥深い森を目指して歩いた。
幸いここを上空から見たことがあるので、人が寄り付かなそうな場所は見えていた。
森の奥深くへ向かうたびに何やらザワザワとした落ち着かないものが身の回りに集まってくる感じがした。
視線・・・・・・だろうか、この感じには覚えがあった。
付近に何もいないことを確認したルミカは何も無い空間に向けて言い放った。
「いつまでそうやって覗き見してんのよ」
《あは、ばれてた~?》
《バレバレやん!折角うまく尾行しとったのにぃ~》
ブツブツと文句を言いながら出てきたのは土の精霊と雷の精霊であった。
さっきの視線はどうやらこの二人が寄越したものらしい。
「他の精霊たちは?」
《今はいないよ~、ちょっとお仕事中~》
《今暇なんはウチらくらいなもんや、光のが行ってきてもいいって言ったけん来たんよ》
どうやら今ここにいるのは二人だけらしい。
森の奥に来たら教師役として呼ぼうと思っていたのでナイスタイミングである。
二人に教師役をお願いすると大いに喜んで引き受けてくれた。
二人の説明によると、この世界の魔術を行使するには二通りの方法があり、それは詠唱する方法と、陣を書いて魔術を行使するものの二通りがあるそうだ。
戦闘の際には詠唱のものが使われるそうだが、大掛かりな・・・・・それこそAランクの魔物を討伐する際などにはトラップとして魔術陣を描いて詠唱では発動できない強力な魔術を行使するらしい。
しかし、そのどちらも魔術と精霊の意味、象徴的なものを理解したうえでしか使うことができないという、なんとも面倒な代物らしい。
他の人間に意味や象徴を聞かれたときに困るために、二人に説明してもらったのだが、思っていたよりも分かりやすかった。流石に精霊といわれるだけある。
あとは、一般人に怪しまれないようにするためにも詠唱を覚える必要があった。
詠唱は一度覚えればなんとかなりそうなので、その詠唱の魔術の効力などを聞いて、言いながら魔術を想像して発動することを頭と体に叩き込む必要性がある。
この世界で一般的な魔術を教えてもらったので、とりあえず試してみることにした。
「えっと・・・・・暁に燃ゆる焔よ、彼のものを燃やし尽くせ」
これは昨日発動したような火球を生み出す呪文らしく、難なく発動した。
すぐさま空中でそれを消し去ると、次は水の魔術を実行してみる。
《なんだか・・・・・すごいね~》
《せやなぁ・・・・・》
ルミカの魔術練習を眺めていた二人は思わずそうもらした。
確かに、ルミカには想像魔術という恐ろしいほどの能力が備わっている。
が、先ほど魔術の意味や象徴についても少し教えただけであったのだが、今ルミカが行使している魔術はそれを全て理解した上での、完璧なこちらの魔術であった。
すごいのは、それを本人が全く気がついていないことだ、恐らくルミカは未だに想像魔術を行使していると思っているのだろう。
いくらこの世界の言葉が最初から分かっていたとしても、一朝一夕では理解できないソレをたったの数分レクチャーしただけで覚えて、理解してしまう才能に彼らは感嘆とした息を漏らすしかなかった。
《これ、後で他の連中にも説明せなあかんな》
《【風の】なんかそれを知ったら煩そうだよね~》
《にしてもなんや、楽しくなって来たんとちゃう?うちルミカの事めっちゃ気にいったわ》
《そうだね~、俺も面白くなってきて嬉しいよ~、最近暇だったしね~》
どこかの誰かが同じようなことを言っていた気がするが、悠久の時を過ごす彼らにとっても退屈と暇は恐ろしく面白みの無いものであった。
その変化をもたらす存在に、彼らが浮き足立ったのも仕方が無かっただろう。
彼らにとっても人間や他の種族がどうなったところで、ほとんど関係が無いのである。
彼らの仕事はこの世界の神であるアーディナルに、世界に、大いなる傷がつかなければどうだっていいのだ。種族一つ滅んだところで全く動揺はしないだろう。
《そういえばさ~、最近【闇の】が変なんだけど知ってる~?》
《【闇の】?知らんけど・・・・・変ってどういうことなん?》
《俺も詳しく知らないんだけどさぁ~、昨日【樹の】やつが【闇の】が最近姿を現さないでなんかしてるって言ってたんだ~》
《へぇ、なんやおもろそうやな、今度探ってみん?》
土の精霊の言葉に興味津々な雷の精霊であったが、それは丁重にお断りをさせてもらった。
闇の精霊は普段ダラダラとしてはいるが、その力は他の精霊よりも強く、ブチ切れた時の力の使いようは恐ろしいものであるからだ。触らぬ神に、いや精霊に祟りなしである。
それを伝えると、雷の精霊も諦めたようだった。
「ねぇ、こんな魔術作ってみたんだけど」
二人がそんなことを考えていることを知らないルミカは、新しいオモチャを発見したかのように輝かしい笑顔を浮かべてソレを二人に見せた。
それは術によって白い霧を作る呪文らしく、何でもニンジャという生き物から想像して作ったそうだ。
本来は煙なのだそうだが、折角なので水の術として製作したらしい。
気象の勉強をしたときに霧の発生の仕方なんかは授業でやっただろう、あれを再現したまでだ。
その次に見せてくれたのは光を使った術で、光を一点集中にするとそこに存在していた石に瞬時に穴を開ける術だった。
昔理科の教科書で見たことがあるだろうが、虫眼鏡やガラスなんかで太陽の光を集めるというものだ。ただ単に虫眼鏡でやったことを術に転用しただけの簡単なものだ。
ルミカからしてみれば小学校の頃の理科であったが、二人に聞くと、こういった術を見たことは無いらしい。
これもあまり使えないそうだ。
「なんだ・・・・・残念」
ちょっといじけた様に唇を尖らせると他に使えるものが無いかと考え始めた。
それからしばらくすると、時間が迫ってきたようなので、ルミカはウォルスへ戻ることにした。
「今日は付き合ってくれてありがとう」
《大したことじゃない~、また何かあったら俺達に言ってよ~》
《うちらもルミカに呼ばれたらすぐ飛んでくよ!》
「あはは、嬉しいね♪なら、また魔術の練習とかに付き合ってもらおうかな~」
森から戻る途中、三人で和気藹々とした会話を楽しみながら戻っていった。
「そういえば、この間水と火の精霊ができるかぎり不干渉って言ってたけど・・・・?」
《あぁ、アレな、うちらもよう知らんけど【光の】があんまり迷惑かけんようにって言いよったんよ》
《そうそう~それで俺らも必要最低限、近寄ったらダメ~!だって~》
二人はそれに不満らしく、難しそうな顔をしていた。
その事はちょっと嬉しいが、光の精霊に感謝したいところであった。
確かに、この世界での知り合いが少ないので精霊たちは心強い味方ではあるが、如何せん一般の人間に精霊の姿が見えないので、傍から見れば独り言を言っている危ない人間にしか見えないからだ。
エノーラに確認を取ったが、こうして精霊と話すことができるのも実は極一握りだけで、人間ではほんの数人ほどしかいないらしい。
なので、ルミカとしてはあまり大っぴらに来られても困るところであった。
「えっと・・・・それは残念だけど、何かあったらすぐにでも呼ぶから、その時はよろしくね」
《まっかせてよ~その時は俺らはりきっちゃうよ~》
《誰呼んでもすぐ来ると思うけんね!》
珍しくルミカが頼る発言をしたのが嬉しかったのか、二人は機嫌を直してくれたようだ。
森を抜けたところで二人は別れの挨拶を言うと姿を消した。
エノーラとの約束の時間はすぐなのでルミカも図書館へと向かうことにした。
魔術の意味とか象徴とか分かりにくいんですけど、なんとなくわかってやってください。
ようはイメージと理論的なものと、創造力的な代物みたいな感じだと作者は思っています。
ここ最近書く時間がなくて遅くなっております。
次の更新は木曜か金曜になると思います。