旅は道連れ世は情け
第10話~・・・・最近眠くて仕方が無いです・・・・。
話が全く進みません、未だに異世界1日目ってどーよww
それから、しばらくお互いに質問を繰り返していたところにクレメンスさんがやってきた。
右手には皮袋のようなものを持っているが、中身は恐らく見ないほうが良いだろう。
幸いにも返り血を浴びたような跡は無いが、独特の血臭が彼からしている。
それに気がついたエノーラは急いで彼の元へ走った。
「クレメンス様、大丈夫ですか?」
「あぁ、そっちこそ大丈夫なのか?」
「見ての通りですから、ご心配いりません。あっ、そうでした・・・クレメンス様ご相談があるのですが・・・・」
ルミカからちょっと離れたところで二人は話を始めた。
ちょっと居心地が悪いような気がするのは、さっきから二人がチラチラとこちらを見ながら話しているからだ。
エノーラの説明がどのようなものになるのかは分からないが、クレメンスさんの方は頭痛がするかのように柳眉な眉をしかめていた。
身元不明の怪しい女だが、この先彼らについて行くつもりならば後である程度使えることを示す必要があるかもしれない。
そんなことをボンヤリ考えていると、二人がこちらへやって来た。
「さっきはすまなかったな、エノーラから聞いたが記憶が無いとか?」
「えぇ、全く覚えていないんです」
「名前と魔術は覚えいるそうだが?」
「はい、そのおかげで魔物からは逃れていたんです」
あくまで声は優しげであった。
・・・・・そう、あくまで、だ。
目は口ほどに物を言うとは言うが、彼の場合はそれが顕著で、瞳の奥底は凍りつくほど冷たかった。
エノーラの建前酷いことを言うのを憚っているのか、表面上は説得に応じたように見せかけている。
(やるじゃないの、この野郎・・・・)
「そうか・・・俺達はこの先のウォルスへ行くんだが、そこまで共に行くか?」
「いいんですか!ありがとうございますクレメンスさん」
(そちらがその気ならこっちだって受けてたってやろうじゃないか)
私たちの表面上にこやかな遣り取りを、エノーラは嬉しそうに見ていた。
そうして、なんとか町まで二人と行くことになり、3人は街道を歩き始めた。
その間にお互いの自己紹介を一通り行った。
二人の名前はクレメンス・アーチボルトとエノーラ・カサンドラ
年齢は驚いたことに二人とも18歳、はっきり言って確実に20歳は越えているものだと思っていたのはご愛嬌というものだ。
そのことを二人に伝えると、逆にルミカの年齢のほうが驚いたと言われた。
彼らからしてみればルミカはまだ子供の年齢くらいに見えるらしく、大体14歳くらいだと思われていたらしい。
クレメンスが親について聞いてきたのもその為であった。
少なくとも日本では年齢以上で見られることが多かったので、ある意味新鮮だったが、ということは、この世界では大人っぽい人間が多いということか。
二人は旅をしながら傭兵として働いているらしく、立ち寄ったウォルスのギルド依頼で、討伐を行うことになったそうだ。
二人の関係は恋人とか甘い関係なのかと思ったが、違うとクレメンスさんにすごまれた。
エノーラのほうもブンブンと首を左右に振り思いっきり否定された。
なら、この二人いったいどういう関係なのだろうかとは思ったが、クレメンスさんが視線で人も殺せそうなほど睨み付けてきたのでこれ以上詮索するのはやめた。
ギルドは、世界各地にある何でも屋を斡旋する派遣会社のようなもので、薬草や鉱物の採取から、魔物の討伐、さらには各国の王からの依頼なんかを請け負っているらしい。
ゲームや小説の中と同じ働きのようでちょっと安心した。
ギルドに登録すると、それが身分証代わりになるらしく、町に着いたらひとまずギルドで登録をすることになった。
登録されると依頼を受けたりすることが出来るのはもちろん、図書館で本の閲覧ができたり、武器などを買ったりするときに割引されるらしい。
図書館なんて、知識が欲しいルミカにはちょうど良かった。
「そういえばクレメンスさん」
「クレメンスでいい、一体なんだ?」
「えっと、左腕大丈夫なんですか?」
歩きながらも思っていたのだが、やはり左腕は負傷しているらしく全く動く気配がなかった。
「そうですよクレメンス様、せめて簡単な手当てだけでも」
「必要ない、町に戻ってからでいいだろう」
エノーラの言葉にもそっけなく答えたクレメンスはそのまま歩いていく。
(おのれクレメンスの奴、私はどうでもいいけどエノーラにまであんな態度ってどうなのよ、バカなの、死ぬの!?むしろ殺るか!)
なんて、ルミカが始めたが、エノーラに怒られそうなのでやめることにする。
聖女を泣かせるような真似はさすがに出来ない。
「仕方ない・・・・クレメンス!」
面倒くさそうに振り返ったクレメンスに満面の笑顔を向けて―――――――思いっきり加速をつけて左腕を引っ張った。
「っ~~~~~~!!!」
余りの痛さに声にならない悲鳴を上げるクレメンスに慌てた様に駆けつけるエノーラ。
エノーラに何か言われる前にルミカは口を開いた。
「はい、治ったでしょ?」
「え?」
呆気にとられたエノーラが視線をクレメンスに戻すと、クレメンスは驚いたようにしげしげと自分の左腕を見つめていた。
「クレメンス様、本当ですか?」
「あ・・・あぁ、治ってる」
腕をふるって動くことを確認したクレメンスはルミカに訝しげな視線を向けていた。
それはそうだろう。
この世界の神術といわれる代物をことも簡単に扱ったのだから。
「ん?どうかしたの?」
「なぜ神術を使える?」
「ちょっと前に魔物から逃げてる時に怪我して、それを治すために使ったんだけど、そっか、これが神術なんだ」
もちろん【そうなんだ、知らなかったわ~】とう雰囲気は壊さないように言えば、クレメンスは難しい顔をして押し黙った。
記憶の無い女が魔術と神術まで使いこなすということに違和感を感じているのは間違いなかった。
エノーラはやっぱり気がついていないのか、単純に凄いと褒めてくれたが。
「ルミカは神術も使えるんですか?」
「そうみたい」
なんて和やかな会話をエノーラと楽しんだ。
この二人、全く性格が違うのだが、よくこれで旅が出来るものだ。
「そう言えばさっきの魔術も凄かったですね、あれは樹の魔術ですか?」
「ああ、あれは樹の蔦を対象物に巻きつけて動きを封じる術なのよ・・・・」
そう言ってもう一度樹の蔦を魔術で作り出した。
地面から突き出した蔦はハートマークを作り上げて動きを止めた。
「すごいな・・・・」
「え、そうなの?」
訝しげな表情をしていたクレメンスもこの魔術には興味津々のようで、素直に一言を漏らした。
「えぇ、樹の魔術は確かにありますけど、こんな魔術は初めて見ました」
ルミカが危惧したようにやはりこの世界には樹をこんな風に使う魔術はなかったらしい。
これはひょっとしたらゲームなんかで培った魔法やら超能力の知識をフル活用してノウハウを売ったら大儲け出来るかもしれない。
「・・・・・・ルミカ、こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、その魔術と神術は私たち以外の前では出来るだけ使わないほうがいいでしょう」
さっきまでクルクルと表情を変えていたエノーラは、急に真剣な面持ちでルミカに言った。
それはルミカも思っていたことで、気をつけねばならないと思った。
ではなぜ、彼らの前で術を使ってしまったのかというと、この世界で初めて出会った人間の彼らには何故か知っていて欲しかったのだ。
クレメンスの方は街についてからどうなるかは分からないが、この先一緒に旅をしようとエノーラは言っていた。
エノーラに甘いクレメンスがそれを違えるとは思えず、このまま秘密を多く抱えるよりも、ちょっとでも外に出しておいたほうが有利に事を運ぶことが出来るかもしれない。
まぁ、今は全てをまだ話すべきではないのだろうが・・・・・・・。
「わかった。ごめんねエノーラ、負担をかけちゃって」
「いいんですよ、何かあったらすぐに私に言ってくださいね」
「・・・・・・・・・おい、どうして俺にも言わない」
「え?あ・・・・あぁ・・・・、ゴメンネ~♪」
エノーラには最上級の礼でもって、クレメンスにはおざなりな礼で済ませた。
やはりこのクレメンスの態度が気に食わなかった。
「はぁ、・・・・・・別にいいがルミカ、見えてきたぞ」
「ん?あっ・・・・・・・」
クレメンスは年上の余裕らしきものを見せ、それからまっすぐ先を指差した。
街道を抜けた先にウォルスの城下街が姿を現した・・・・・・。
明日も一話アップしたいけど・・・・ちょっと忙しくて無理かもしれません。
暇とか言いながら忙しいって何だよ!ってことは言わないでください。
イロイロとあるんですよ・・・(泣)