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第4話:エレオの旅立ち



第四話


**霞月アッシェンヴェイル一日目・鉄曜日**


---


エレオは十二歳になっていた。


キッチンのテーブルに座り、頭の後ろをぎこちなくさすっていた。向かいでは、アビーとルーシーが見つめていた。


「出発する」とエレオは言った。事実を述べるように。


沈黙。


ルーシーは乾かしていた皿をゆっくりと置いた。それからキッチンを横切り、椅子を引いて、何かをどう扱うかを決めている女性の慎重な意図をもって、向かいに座った。


「エレオ」と彼女は言った。「何を考えているか話してくれる」


怒鳴り声ではなかった。頭を抱えるでもなかった。ただ彼女の全注意が向けられた。それがなぜか、もっと重く感じた。


エレオはまばたきした。怒鳴られると思って準備していた。これはもっと難しかった。「俺……世界を見たい。もっと強くなりたい。ここに一生いたら、それはできない」


「一生」とルーシーは繰り返した。「あんた、十二よ」


「一生みたいに感じるんだよ!」


彼女の口元がわずかに動いた。笑顔とは言い切れない。「十二にはそう感じるものよ」と彼女は言った。本当にそう思っているように、自分が十二歳だったときのことを実際に覚えているように言った。「どこに行くの?」


「行きながら考える!」


アビーの耳が垂れた。「でも……なんで?」


エレオは頭をかいた。二人に見られている重さを感じた。「急なのはわかってる。でも俺、ずっとこれをしたかったんだ。行かないといけない、アビー」


アビーは袖を握りしめた。「でも、あんたは私の唯一の友達なのよ、エレオ。一番の親友」


その言葉がパンチのように打ち込んだ。エレオは口を開けたが、言葉が見つからなかった。


アビーの声が落ちた。「初めて会ったときのこと覚えてる?雪が降ってた。二人とも五歳だった。あのいじめっ子のニコが私に絡んでたの」


---


空気は凍えていた。雪がゆっくりと舞い落ちていた。


小さなアビーが一人で立ち、震えていた。周りを囲む子どもたちが笑っていた。先頭に立っていたのはニコ。若いオオカミの子で、にやにや笑いをへばりつかせていた。


「見てみろよ、一人ぼっちだ!弱虫と友達になりたい奴なんていないんだろ!」


子どもたちがくすくす笑った。アビーの耳がぺたんと伏せた。


そのとき――


バチン!


雪玉がニコの顔面に直撃した。


全員が振り返った。


毛がぐしゃぐしゃで、怒りの顔をした小さなバニーキッドが数歩離れたところで、ぜいぜいしながら立っていた。


エレオが指を突きつけた。「おい!彼女をいじめるな!!」


ニコは顔から雪を拭いた。「へえ、ヒーローごっこしたいのか?」拳を鳴らした。「やっちまえ」


エレオの目が丸くなった。「あ」


バン。バチン。ドン。


いじめっ子たちは笑いながら去った。エレオは雪の中に顔から倒れていた。ぴくぴくしながら。


アビーがゆっくりと近づいた。手を伸ばして引き上げた。エレオの顔は腫れて雪まみれだった。


涙が彼女の頬からエレオの頬に落ちた。


「なんで?」とアビーは囁いた。「なんで助けてくれたの?」


エレオは気を失っていると思っていた。


「私が弱いから悪いんだ――」


エレオが飛び起きた。


「あんたがカッコいいと思ったから~!!」


そして即座にまた雪の中に倒れ込んだ。


アビーは固まった。


それから笑った。本物の、驚いた、温かい笑いだった。その日初めて感じるものだった。


---


テーブルに戻って、アビーは目を拭った。「あの日だった。あんたは完全なバカだった。でも、私のバカだった」


エレオは頭の後ろをかいた。「……今もバカだよ」


「少なくとも一貫してるわね」とルーシーは静かに言った。


アビーは息を吸った。「本当に行かないといけないの?」


エレオは立ち上がった。一番自信のある顔をした。「ああ。でも必ず帰る。誓う」


アビーは長い間エレオを見た。「約束する?」


エレオは小指を出した。「指切り」


アビーは躊躇した。それから自分の小指をエレオの小指に絡めた。


「わかった。でも死んだら、生き返らせてから自分で殺してやるから」


ルーシーが手を上げた。「手伝うわ」


エレオは笑った。「その自信、好きだよ!」


「エレオ」とルーシーは言った。「ここで待ってて」


彼女は奥に消えた。食器棚が開く柔らかい音が聞こえ、何かが脇に動かされ、しばらく手つかずになっていた何かを慎重に扱う気配がした。


彼女は腕に折りたたんだ二点を持って戻ってきた。テーブルに置いた。


フーディ。白い、長袖、年を経て柔らかさが増した種類のもの。左の袖口に使い込みによる小さなすり切れがあり、裾は何度も洗われて本物の白からほんのり温かみのある白へ――本当に愛されてきたものの色へ――変わっていた。二点目は濃いグレーのパンツ。清潔で頑丈で、明らかに新品だった。


「フーディはクマのものだったの」とルーシーは言った。「何年も前、彼が若い頃ここに置いていったの。これに着られなくなる前に」袖を一度、親指で撫でた。「ずっと取っておいた。なぜか正確にはわからない。でもいつかこれを必要とする誰かのところに行くと思っていたのかもしれない」ルーシーはエレオを見た。「彼はあなたを鍛えた。あなたを信じた。あなたに持っていてほしいと思うと思うわ」


エレオはじっとそれを見た。


「パンツは私から」とルーシーは付け加えた。「新しいの。必要になるから」


エレオはフーディを慎重に手に取った。手の中で軽かった。布地はルーシーが保管していた場所の香り――ほんのかすかに杉の香りがした。


フーディを着た。


ぴったりだった。袖は手首より長く、裾はヒップまで来て、ちょうど、何か不可能なことをしようとしている十二歳の子どもが少し大きめのお古を着るときのあの着こなし方で。


エレオは自分を見下ろした。それからルーシーを見上げた。


一瞬、何も言わなかった。


「……ありがとうございます、ミス・ルーシー」


ルーシーはエレオを見た。二年前の朝、耳のインクに気づいたときと同じ顔で。何かをしまい込む顔。これをちゃんと覚えておこうとしているような。


「ちゃんと食べなさい」と彼女は言った。「眠くなったら眠ること。そして帰ってくること」


「はい、ミス・ルーシー」


「本気よ、エレオ」


エレオはルーシーの目を見た。「わかってます」


ルーシーは一度頷いた。それから前に出て、折りたたんだ濃いグレーのパンツをエレオの腕に押しつけて、会話が終わったかのようにキッチンに戻った。でもエレオは彼女がすぐには向きを変えなかったことに気づいた。しばらくカウンターの前に、背を向けて立っていた。


---


「待って!」出口に向かうエレオにアビーが叫んだ。


エレオは止まった。「え?何か忘れた?鞄?ニンジン?!俺の耳?!」


ルーシーがキッチンから:「まだ頭についてるわよ」


「あ、よかった」


アビーがネックレスを差し出した。小さい。紐に付いた木彫りのペンダント。


「私の小さな彫刻が入ってる」とアビーは言った。「忘れないように」


エレオはすぐに首にかけた。「これで小さなアビーが俺のものだ!もう寂しくない!」


アビーの目が少し光った。「忘れないでね」


「ぷっ。忘れられるわけないじゃん」エレオはにっと笑った。「約束する」


「向こうでバカなことするな」


ルーシーがつぶやいた。「無理ね」


---


村全体が波止場に集まった。エレオは小さな木造ボートに乗り込み、両腕を激しく振った。


「バイバイ、ルーシー!バイバイ、アビー!みんなバイバイ!!!」


アビーとルーシーは並んで、小さなボートが流れ出すのを見ていた。


アビーは囁いた。「気をつけてね、エレオ」


ルーシーは何も言わなかった。ただボートが水の中で小さくなっていくのを見ていた。白いフーディが光を受けていた。それから彼女は短くアビーの頭の上に手を置いた。いつもそうしていたように。二人はエレオが消えるまで、そこに並んで立っていた。


---


太陽が高かった。エレオはボートの中で体育座りし、腕を組み、真剣にうなずいていた。


「よし!」と彼は宣言した。「いよいよ……えーと……」


沈黙。


頭をかいた。「待って……どこに行けばいいんだ?」


長い間があった。


まばたきした。


もっと強く頭をかいた。


それから完全な自信をもって叫んだ――


「めっ!まっすぐ行けばいいんだよ!それが一番だ!!」


お腹が鳴った。


「幸い、このバッグにニンジンが全部入ってる!」明るいオレンジのニンジンでいっぱいの大きな布の袋を叩いた。「これがある限り、굶え死にしない!」


一本引っ張り出して、大きくかじって、にっと笑った。


「俺って天才!」


そのとき――


ザバン。


黒いヒレが水面から現れた。


エレオのもぐもぐが遅くなった。


「えーと……」


ヒレが小さなボートの周りを回った。


目が丸くなった。「ちょっと待って。まさか……まさかね……うそだろ……それって……」


巨大なクマザメが水から飛び出した。唸り声を上げた――サメの体に、熊の巨大な毛むくじゃらの腕を持つ恐ろしい生き物だった。


エレオの目がキラキラした。


「うわあ!こんな近くで見たの初めてだ!!」


クマザメが吠え、巨大な顎を開いた。エレオを真っ二つにしようと。


エレオはにっと笑った。「待って、これって俺が戦っていいやつ?!やっと!!」


サメが突進した。


エレオはボートの上に立ち、指を鳴らし、バカみたいな笑顔を浮かべた。


「インクバラージュ!!」


狂ったように拳を振り回し始めた。支離滅裂に。


バン!バチン!ドカン!


拳がでたらめに当たり、クマザメの顔に何度も何度も叩き込んで――


ドーン!!


巨大な生き物が海の向こうへ飛ばされた。ロケット団みたいに空高くキラリと消えていった。


エレオはボートの上に立ち、息を切らして、手を腰に当てた。


「はは!ざまあみろ、このでかいやつ!!」


クマザメは遠くへ消え、空に小さなキラリだけが残った。


エレオは満足そうに頷いた。「よし、これで解決!」


そのとき――


バキッ。


目が丸くなった。


ゆっくり下を見た。


小さな木造ボートに、今や巨大な穴が開いていた。


「……あ」


ボートは即座に沈んだ。


長い間があった。


エレオは水に浮かんでまばたきした。


それから、バカみたいな笑顔で拳を空に突き上げた。


「俺、人生勝ってる!!」


そして沈んだ。


---


エレオは水の中に浮かんで、腕を組み、自分に向かってうなずいていた。


「まあ……クマザメをそんなに強く殴って自分のボートを沈めたのは最善手じゃなかったかも……でも!俺は戦いには勝った。それが大事!」


そのとき――


「ん?」


耳がひくついた。


巨大な船が近くに漂っていた。金色の帆が太陽の下で輝き、磨かれた木製の船体が光っていた。


エレオの目がキラキラした。


「これは運がいい!新しいボートだ!!」


にっと笑い、手を上げた。「俺の賢い頭を使う時間だ!」


インクのロープを形成し、投げ縄みたいにくるくる回した。


「三……二……一!!」


投げた――


シュパッ!インクのロープが船の手すりに絡みついた。


エレオは大事なニンジンバッグをつかんでぐいっと引っ張った――


「うわあああああ――!」


ドン!!


デッキに顔から落ちた。


沈黙。


優雅な音楽が流れていた。エレガントなスーツとドレスを着た数十人が、ワインを飲み、踊り、笑っていた。


一人の男が片眼鏡を持ちながら、ゆっくりと振り返った。「おやまあ……これは何だね?」


豪華な紫のドレスを着た女性が息をのんだ。「まあ、野生動物が乗り込んできたのかしら?」


エレオは顔をこすりながら起き上がった。


「うわあ!こんなの見たことない!」耳がひくつきながらあたりを見回した。「すごくキラキラして豪華で……」


止まって、まばたきした。


全員がお茶をすすっていた。


一人の男が完璧に磨かれた靴を直した。


女性が優雅に扇子で扇いだ。


ウェイターがワインを注いだ。


エレオは目を細めた。「……つまんない」


豪華な人々が一斉に息をのんだ。


「何て失礼な!!」


「これは高級イベントよ!!」


「このがさつ者は一体何者なの!!」


エレオは彼らの怒りを完全に無視して、頭を向けてもっとすごいものを見た。


もう一隻の巨大な船――でもこちらは飛んでいた。


「うわあ」


その船は空中に浮かんでいた。青いエネルギーが船底で光り、黒く滑らかだった。


船側面の大砲が充電し、明るい緑色に光り出した――


ドーン!!


巨大なエネルギー弾が豪華な船に向かって発射された。


「すごい!!」エレオは他の全員が叫んでいる中でにっと笑った。


「やめてーーー!!」


「攻撃を受けてるわ!!」


豪華な船のクルーが急に動き始めた。


胸に鷹の紋章をつけた滑らかな白い制服姿の男たちがデッキに押し寄せた。


一人が手袋を直した。「戦闘プロトコル起動!」


別の一人が未来的な銃を取り出した。


「撃て!!」


ピュン!ピュン!ピュン!


明るいレーザー弾が空を引き裂き、飛んでいる船に向かって飛んでいった。


エレオはデッキに体育座りして、ニンジンをかじりながら、目をキラキラさせていた。


「これ……最高すぎる!!」


---


**第四話・了**

歴史上最も短い戦争は、1896年8月27日にイギリスとザンジバルの間で起こったものである。ザンジバルはわずか38分後に降伏した。

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