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第1章:怪物の目覚め
夕陽が瓦礫の街を赤く染める。
風に舞う埃が光を反射し、街はまるで血に染まった迷宮のように見えた。
リクはひとり、崩れたビルの陰に腰を下ろす。
手のひらに触れる感覚──それは普通の温度ではなかった。
骨の奥から何かが目覚めるような、獣の鼓動。
> 「……俺は、怪物なのか……?」
彼の胸の中で、ティラノサウルスの遺伝子がうずき、咆哮の衝動がわずかに芽生える。
小さな咳のような振動が体を貫き、遠くの瓦礫が小さく揺れた。
その瞬間、視界の端に何かが動いた。
黒い影、俊敏に跳ねる姿。
「誰だ……?」
ミオだった。
小柄だが鋭い目つき、長い髪が風になびく。
彼女の瞳には、少年の心を見透かすような光が宿っていた。
> 「……リク。君の力は……危険だ。でも、放っておけない」
リクの胸は高鳴った。恐怖と好奇心、孤独を超えた予感。
ここで、彼の人生は大きく動き出す――。
瓦礫の街に咆哮が響く日も、そう遠くないのだろう。




