六話
六話目です。
今回もミスがあるかもしれません。
ゆっくり軽い気持ちで読んでくださると幸いです。
「…なるほどね。」
自分の話したいことをちゃんと話せた。
「相談はそれだけかな?」
顔をのぞき込み何か別の話がないか探る様に聞いてきた。
「はい。部活の事だけですね。」
「……ん〜」
「まぁ確かに君は勉強が出来ない子じゃないし、虐められる様な子でもないもんね。」
「イジメなんかありませんよ。」
「なら良いのよ。」
「さて、部活の事だけど。」
小さくうなずく。
「退部するのは自由よ。」
「でも、退部した後どうするの?何かしたいものでもあるの?」
「特に無いですね。」
「君のことだある程度この後言う事も予測ついているだろう?」
だいたい想像がつく。
友達に軽く話すと必ず言われる。
「残り1年なのだから続けたほうが身のためじゃないか。」
確かに後一年だ。後一年、いや半年程度我慢すれば部活は終わる。
「そうだ。君はやり残した事や後悔、あとちょっとでライバルに追いつける!なんて情熱は今無いのかい?」
「今はもうないですね。」
「そうだな…今年のバスケ部は豊作だ。今年は県大会出場も夢じゃない。」
「進路のことも考えたら、続けるのは損じゃないと思うんだけどな。」
そう…今年ははいっきり言って強い。
去年の先輩達の代よりも県大会に近い位置にいる。
もし県大会出場できるのなら、この学校は実に25年ぶりである。
進路も面接や調査書にプラスの印象を付けれる。
「確かに進路には良いかもしれません。でも、この高校生活はもう1年しかないんです。だったらもっと色んなことがしたいです。」
そう言い切ると先生は少し考える様な素振りを見せ、ため息を吐いた。
「君の選んだ選択は、将来後悔するかもしれない。もっと頑張っていれば…もっと部活に取り組んでいれば…ってね。」
「その後悔は絶対に穴埋めする事は出来ない。」
「君の言う高校の1年間は大きいんだ。」
先生の穏やかな言葉に重みがかかる。
「まだ考える時間は沢山ある。だけど君の言う通り時間はすぐなくなる。」
まっすぐ俺の目を見て言う。
「二週間だ。今が十三日、五月に入る前にしっかり決断するんだ。ズルズルと引きずりながら過ごしても君に良くないからね。」
二週間か…三年生に上がってから、まだ一週間たったぐらいだ。あまりに早い。
あれ?俺は決断したんじゃないのか?
俺の決心はこんなにもガタガタなのか?
「とりあえず考える時間をあげるからしっかり考えておいで。」
「…はい。」
そう言うと先生は立ち上がり机を片付け始めた。
俺も立ち上がり机を片付ける。
俺が机を片付け終わったとき先生がプリントを渡してくれた。
「退部届だ。」
「君が決断したあと私に渡してくれ。その決断を私は尊重する。」
「今日はこれで終わりだけどまだまだ相談には乗ってあげるよ。」
外を見るとだいぶ暗くなり、夜が夕暮れを塗り替えている。
「相談に乗ってくれてありがとうございました。」
「じゃあ気をつけて帰ってね。」
「さようなら。」
とりあえず、二週間か。
しっかり考えないと一生後悔する。
この二週間で人生が変わる。
学校の帰り道、自転車に乗りながらため息を吐く。
誰にも受け止め切れない思いが空中に霧散する。
今日はあるいは今晩は。たんこぶです。
文才ありませんね〜私。
面白い文、引き込まれる文を考えると良くわからなくなる文が出来上がってしまう。
世にいる文豪達はどうやったら、素晴らしい文を書けるのでしょうか。不思議です。尊敬します。