第二夜:君は悪くない。
(この話を本当に読みたいのならば)一周目をルビを気にせず漢字を読んで、二週目はルビを読んでみるのをお勧めします。
第二夜:ダミアン・フラウド (Damian Froud)Ⅱ
記憶
俺は卑怯者だ。
中学のころ、人がいじめにあっていても見て見ぬふりをした。
だからすぐに自分に帰ってきたのだ。
―ほら、周りを見てごらんよ。いつかの自分みたいに全員が見て見ぬふりをしているだろ?
そう言い聞かせないとおかしくなりそうだった。
いや、おかしくなっていたんだ。
―あいつが許せない?
いや、自分が許せないね。
いや待てよ?
僕は僕が憎いのか?
憎いのはあいつらと同じで「不細工なのが気に入らないから」なのか?
―違うよ。君は永遠に自分を憎む。不運だと嘆く。
それもそうさ。
君をいじめている奴らは、きっと君をいじめることによって、
自分の不甲斐なさや嫌なことから逃げているんだ。
君も同じなのだよ。
どうだ?今すぐここから逃げ出したいだろう?
君は卑怯者なのかい?
卑怯者でもいいじゃないか。
君が言っていることはあっているけど間違っているね。一般論としては。
―ふふふ、そうかいそうかい。
それが君の出した答えかい?卑怯者くん。
また逃げるのかい?
逃げたら自分が納得するのかい?
君はこの先…
僕はすっと目を開け、深呼吸をしたそして彼らいじめっ子らに言ったのだ。
「僕と同類の君たちに提案がある。」
「なんだとてめぇ、どこ中だ?殴られたいのか?」
いや、同じ中学だろ。
すると周りより一回り大きな(彼がボスなのだそう。)人はおもむろに僕に歩み寄る。
「いつもと違って堂々としているじゃないか。どんな提案だ?言ってみろ。」
「僕を仲間にしませんか?」
「んだと?」
いじめっ子の一人が納得がいかない様子で歩み寄ってくるが、ボスに左手で口を押さえられて止まった。
「続けろ?どういうことだ?」
「要するにターゲットを変えてほしいのです。」
「は?」
「すみません無理ですよね。でもここだけの話、ほぼ全員の弱みを握っているんですよ。」
「卑怯だなw嫌いじゃないぜw」
こういう風に僕はいじめられなくなった。
しかし僕は仲間を売ったわけだ。
当然反感を買うことになった。
そんなある日、転校生が来た。
その転校生はラグビーをやっていて、強そうな人だった。
転校生が来てからすべてが変わってしまった。
なんとその人は生徒たちをまとめ上げ、いじめっ子グループを倒したのだ!
想定外の出来事だった。
帰り道、飛んでくる石が痛かったからか、僕は泣いていた。
頭に石が当たって耳鳴りが鳴る。
涙をぬぐう。視界が開けたのとともに、耳鳴りが激しくなっt…いや、違う!
一瞬だった。
運転手の人生がめちゃくちゃになってしまったに違いない。
申し訳ないな。
ー卑怯な君よ。君の選択が間違っていたとは言わない。
煽りに来ただろうか。
ー君はもう逃げられない。
僕は言い訳できないのだよ。
君、いや僕よ、
それでも言い訳をするのかい?
それでも言い訳できるのかい?
そうだ。
すべて君が悪い。
君のせいなんだ。
僕がした悪事が全部帰ってきたのだ




