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自己紹介、もといクラス内の顔合わせを終え、入学式の為に体育館へと移動する。
その間、僕は結構弄られてしまった……。
裕也の、性癖暴露問題は阻止した。
これ以上は、もう……。
帰ったら……ごめんなさいでは済まないね……。
……ハンバーグに……しようかな……。大判の……。
御飯を食べ終わってから……切り出さそう……。
入学式自体は、まぁよくある校長問題だ。話しが長いね……。
よくそんなに話題が出てくるよね。年の巧……かな?
隣で親友は居眠りをしてるし、肩にもたれかかってくるし……。
後……、3年生の先輩方の闇を見た。
基本的に何かを片手に持ってるんだよね……。単語帳とか……。
入学式の後は教室へ戻り、明日以降の簡単なスケジュールを確認する。
明日は午前午後に分かれて身体測定とか。
明後日は同じく運動測定とか……。
授業自体は明々後日からだった。
今回の説明は松田先生が主体だったので静かだった。
皆の順応性が凄まじいと思う。あれだもんね。
松田先生は何だかこぅ……ストレスを与えちゃいけないよねって思っちゃう。
「以上が今週のスケジュール予定です。何か質問等御座いますか?」
「はい。」
「はい、水谷さん。」
「それは1年生だけあるのですか?」
「今週はそうです。来週に2年生・3年生とあります。」
「分かりました。あまり混雑しないってことですね。」
「はい。なるべくそうしています。去年もそうでしたので。他に御座いますか?」
シーンと皆が黙る。皆が理解したのだと判断した松田先生。
「東先生、何か他に連絡事項はありますか?」
「んにゃ、無いよ。そだね~。」
椅子に座って眺めていた東先生は立ち上がり、松田先生と入れ替わる。
「まず守って欲しい事。非行等の生活面での問題。これは誰にだってあるもんだから、迷わず先生に相談しに来なさい。何々が嫌だ~とかね。こんなふざけた喋り方してるけど、相談にはきっちり応じるから……頼んなさい。いいね?」
「「「はい。」」」
「よし。後1点。皆も解ってると思うけど、松っちゃん先生を揶揄い過ぎないようにしなさいよ。」
「えっ!?」
「「「はーい。」」」
「ええ!?」
東先生と生徒は理解し、当人の松田先生は理解できていない。
何だろう……これ。
「よーし解散!!明日もちゃんと来いよ~。」
「「「うぃーす!!」」」
「ちょっ!!待って下さい。どういう事ですか!?」
「はいはい。今日は終わりだよ~。」
皆が帰り支度をする間に。東先生と松田先生は教室を出ていく。
松田先生が何かを東先生に問い詰めてるけど……柳に風とはこの事だね。
「親睦会しようぜ!!」
声の主は津田君。自己紹介では自虐を踏まえた趣味趣向を暴露。
ムードメーカーになれる逸材だと思う。
男子生徒には……だけど……。
「良いんじゃないかな?」
何人かの生徒はそれに続いていく。
僕は帰り支度を済ませて帰ろうとしたけど……。
「ねぇねぇ。妹尾さんも来るでしょ?弟君の話聞かせてよ。」
弟を弄りたい小野田さんが、親睦会に誘ってくれる。けれど……。
「誘ってくれてありがとう。小野田さん。けれど、ごめんね。家事をしないといけないんだ。」
「家事?」
「うん。お昼ご飯とか諸々。今日は買い物もあるんだ。」
「そうなんだ。お母さんは?」
「昔に事故で亡くなっちゃってね。家の事は僕がしてるんだ。」
「あ、ゴメン。言い辛いこと聞いちゃった……。」
「大丈夫だよ。」
「……、後、ごめん。すごい、気になってるんだけど……。」
「へ?何かあった?」
「……妹尾さんって、僕っ子?」
「僕っ子?」
小野田さんが首を傾げ、僕も首を傾げる。
僕っ子って……、一人称が僕の事を言うのかな?
「そう……かも?」
「だよね……。」
「変かな?」
「あ、ううん。変じゃないよ。何だか様になってるし。うん。」
「うん。ありがとう?」
「ううん?じゃ、じゃあ、また明日ね。」
「うん。また明日。親睦会楽しんでね。」
途中から口元を手で隠していたけど……、何か面白かったのかな?
僕の喋り方って変かな?
「要たんは来れないの~?お昼ご飯くらい裕たん一人で何とかなるでしょ~?」
「う~ん。今日に限ってはそうもいかないかな?」
「え?何故?」
隣から真由美が声を掛けてくる。君たちのせいだよ?
「うん。これから起こるであろう悲劇を、負担を……少しでも減らさなきゃ……。」
「「あっ……。」」
思い当たる節はあるようで(当たり前だけど)、幸いにもこのクラス、僕たち以外の春西中学校出身者はいないから……。
「三人は拡散を防いでね。お願いだから……。」
いつの間にか傍にいた幸にも、お願いしておく。
お願いだからシスコンまでは良いから……。それ以外は防いで……。
「だ、だな。うん。」
「そ、そうね……。うん。」
「あはは~。調子に乗り過ぎちゃった~。」
「三人ともお願いするね?」
少し語気を強めてお願いしておく。裕也の尊厳の為に。
頷いてくれて何よりだね。お願いするよ。
「僕は親睦会には参加できないけど、楽しんできてね。お土産話待ってるよ。」
「あいあい。任された。」
「ああ。要も……頑張って……。」
「ご、ごめん。」
「まぁ、何とか宥めてみるよ……。じゃ、先に帰るね。」
「あ、終わってからでも遊びに行っても良い~?」
「良いよ。」
今日来るの!?怒った裕也がいると思うよ!?奈々、理解できてる?
二人が止めてくれそうだから、大丈夫かな?かなぁ?
不安になりつつ、帰路に着く。
唐突だけど、僕がこの学校、県立王院高等学校を選んだ理由。
家が凄く近い。歩いて10分ちょいだから。