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コピーミスでした。すいません。
「昨日の裕也は面白かったよ。勝ち越せたからね。」
「へぇ~。最新のゲームは面白かった?」
「ああ。ゲームの仕様が一新されてて好みが分かれると思うけど、かなり面白かった。」
「私は誘ってくれなかったの?」
「真由美。あれは男の勝負だったんだよ。仕方ないんだ。」
幸と真由美とで話しながら登校中。
今日から授業も始まるから、鞄が少し重く感じる。
今日は幸も真由美も、奈々の迎えに来てくれた。
さっき電話したけど、御寝坊さんの奈々は起きてはいるみたい。
「二人とも、気にしなくていいよ?奈々はいつもの事だしさ。」
「まぁまぁ、友達だろ?」
「そうそう。登校も一緒の方が楽しいし。」
奈々の家に到着。と言っても、それほど時間はかからないけどね。
チャイムを押すとしばらくしてから奈々が出てくる。
今日は寝ぐせ付き。パンを咥えてやってきた。
「おふぁふぉー。」
パンを咥えながら喋ってるから、何を言ってるのか分からない。
「せめて食べてから出てきなよ。学校でしようか?」
「ふぉふぉへ。」
「ばふっ」
「ベンもおはよう。元気だね。」
ベンに挨拶しながら、玄関にある椅子に座る奈々に近づく。
奈々の鞄から櫛とブラシを取り出し、髪を梳かしていく。
奈々が寝坊した時は、大体こんな感じになる。
「はぁ~。いつも要にやらせてたんだ~。」
「ほうふぁの。」
「え?真由美、奈々は何を言ったの?」
「そうなの。じゃないかな?寝坊癖、少しは直しなさいよ。」
「ふひ。」
「無理じゃないの。いつまでも要に頼っても駄目よ。要も何か言いなさいよ。」
「ん、ん。要たん、要たんは優しいから~そんな事言わないよね?よね?」
「ん~、そうだね。高校生にもなって続くようだと、少し考えようかな?」
「要たん!?」
「奈々も少しは頑張らないと。勉強もこれから難しくなっていくんだからさ。」
「うっ。勉強……。」
「そうそう。私達が教えられることが減っていくかもしれないわよ?」
「はは。可哀想な事を言うかもしれないけど、進学校だしね。難しくはなると思うよ?」
「くぅ……秀才どもめぇ。」
「奈々も合格できたんだから、頑張らないとね。」
「ぐぬぬ。」
「はい、終わったよ。」
「あれ?纏めてくれないの?」
「今日はこのままでいこうか。流してる髪も似合ってるよ。」
「……ふふん。それならば良いでしょう。さ、行こっか。」
いつもなら、何かで括ったり編んだりするけど。
今日は梳かしたままでいこうかな。
というか、入学式の約束忘れてないかな?
「ベン、行ってくるね~。良い子にしてるんだよ~。」
「ばふっ」
尻尾をぶんぶん振り回してるベン。
散歩に連れて行ってくれると思ってるのかな?
顔をわしわしとされる方が嬉しいのだろうか?
「それじゃ、行きましょうか。奈々、行くわよ。」
「はいは~い。」
ベンの尻尾が急にしょぼくれて、寂しそうに鳴いている。
可愛いなぁ。
「一限目って何だっけ?」
「英語だよ。しょっぱなから東先生の授業さ。」
「ん~。どんな感じなんだろ?」
「さぁ。ただ、東先生だから面白いんじゃないかな?」
「逆に雰囲気が変わるかもしれないね。」
「どんな感じ?」
「ん~。厳しくなったりとかするんじゃないかな?」
「まさか。それはないでしょ。」
「……ありえるかもしれないね。二面性はありそう。」
「幸までそう思うの?」
「なんとなく、だよ。そう言う先生もいそうだしね。」
「松田先生も有り得るかも。少しちょっかいかけたら授業そっちのけになったりとか。」
「それは無いんじゃないかな?」
「そうかな~?」
「変な質問しちゃ駄目だよ?」
「は~い。」
「真由美もだよ?」
「私はしないわよ?」
「「「あやしい。」」」
「ちょ……三人で同じこと言わないでよ。」
「いやいや、最近の真由美は何だかお調子者になってる気がするし。」
「そうだね。最近特に酷い気がするね。」
「そうそう。真由美ん、反応的に何だか言いそうになってるもん。」
「言わないし!!」
「ふふ、期待してるよ。」
真由美が少し怒った表情をしていた。
からかいすぎると怒っちゃうからね。適度で切り上げよう。
三人で笑いながら、真由美を囲む。むくれた顔も可愛い真由美さんでした。
(学校にて)
「皆の衆、おはよう!!」
「「「お早う御座いまーす。」」」
「お早う御座います。」
朝の挨拶も終わりHRへ。
だが、東先生の様子が少し変だ。
「お前ら!!勝つぞぉ!!」
「「「?」」」
「要たん、八木くん。前来なさい!!」
「「はい。」」
急に意味不明な発言でクラス全員を黙らせた。
流石というかなんというか……破天荒な先生だ。
「松っちゃん!!例の物プリーズ!!」
「……はい。妹尾さん、八木くん。お願いしますね。」
松田先生は乗り気ではない様子。
八木くんが受け取った用紙を僕も見る。
「クラス対抗球技大会」
そう書いた用紙を受け取り、東先生が張り切る意味が理解できない。
「あの、東先生?」
「要たんは司会進行。八木くんは板書。勝つ気持ちで采配しなさい。」
「「?」」
八木くんと顔を見合わせる。まぁ、指示には従おうかな。
「え~。先生から受け取った用紙には、4月の末週に球技大会が開催されます。それで……、まぁ勝てとのご要望みたいだね。」
「要たん。もう少し張り切りなさい。」
「え~。勝とうか?という事で、種目を八木くんに書いてもらいます。頼める?」
「お安い御用だ。」
そう言って八木くんが黒板に綺麗な字でチョークを走らせる。
「ソフトボール」「フットサル」「バレーボール」「バスケットボール」の4種目。
「えっと、この4種目だね。先に自身のある種目から手を挙げてもらおうかな?」
「ちなみに、種目の重複はオッケー。だけど、必ず、全員、何かしら参加する事。」
「東先生は何故勝つことに固執してるの?」
「要たんそれは聞かなくていいの。」
「松田先生は知ってますか?」
「はい。知ってますよ。」
「教えて貰っても良いですか?」
「松っちゃん、言わなくてもいいんだからね。うん、言わない方が良いよぉ~。」
「一言でいうなら、賭け事ですね。」
「「賭け……。」」
僕と八木くんは嫌そうな表情になった。
多分クラスメイトの何人かは同じ気持ちだと思う。
八木先生も少し困り顔になって、軽く説明してくれた。
「毎年恒例だそうですよ。私は今年知りました。東先生とD組の魚崎先生が発端で、他の先生を巻き込んだ形ですね。因みに商品は一位になったクラスは高級牛肉セットらしいです。」
「うわ……。」
「せんせぇ……。」
「酷くね?」
思わず声を漏らす生徒が続出する。そりゃそうだろうね。
「ええい、皆の衆!!これはね、商品目当てじゃないの!!何としてもD組に勝つことが目標なの!!優勝はどうでも良いのだ!!一言も優勝って、私言ってないでしょ?」
うんまあ、優勝とは言ってないかな?
でも、なんでD組に何だろうか……。
「D組には必ず勝ってもらいます。くく、見とれよ……詩乃。」
東先生が悪い顔で微笑んでいる。
魚崎先生と確執でもある見たい。
「あ、このまま英語の授業も使うからね?」
高校生一回目の授業はまさかの行事関係だった……。
何人かは喜んでいる。その中にはガッツポーズの奈々の姿もあった。あれまぁ……。