表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変化した自分に出来る事(仮題)  作者: 奈良づくし
33/46

31

「要お姉ちゃん、お姉ちゃんみたいにおっきい!!」


「何がかな?ほら、奈子ちゃん。ここに座ろうか。」


「うん。」


「要たん、奈子ちゃんにシャンプーハット被せてあげて~。」


「分かった。って奈々も入ってくるの?」


「あったり前じゃん。汗掻いたもん。」


「要お姉ちゃん。うちのお風呂は大きいから平気だよ?」


「奈子ちゃん。テンション高いね。」


「うん。楽しいもん。」


僕は今、奈々の家でお風呂を借りている。

理由は走って汗を掻いた……ではなく、ベンの奇行のせいだ。

近場の公園に到着して、僕と奈子ちゃんでベンの遊び相手をしていた。

奈々は歩きと少しベンと走っただけでヘロヘロになってた。


「ベンには吃驚したよ。」


「だよね。いつもだったら、あんな事しないのに。」


「あれじゃないかな?要たんも来てくれたのが嬉しかったんじゃないかな?」


「そうなの?だからって噴水に飛び込む?」


ベンがボール拾いをしている最中、ボールを咥えながら噴水に飛び込んだ。

その後にずぶ濡れのままで奈子ちゃんに体当たり。

駆け寄った僕にも体当たりしてきた。ずぶ濡れのままで……。


「叱ったけど……反省してる様子無かったね。」


「だよね~。多分またやっちゃうんじゃないかな?」


「ベンってばもう……。いつもはぴょんぴょん跳ねるくらいなんだよ?」


「そうなんだ。奈子ちゃん、流すよ~。」


奈子ちゃんの頭からお湯を掛ける。

泡だった頭が綺麗に流されていく。

奈子ちゃんの髪は少し硬めなので、トリートメントで手入れをしよう。


「気持ち良いですか~?」


「うん。頭くすぐったい。」


「要たん、次あたしお願い。」


「自分でしなよ。」


「要たんがあたしにだけ厳しい……。」


「お姉さんでしょ?奈子ちゃんにだらしない所見られちゃうよ。」


「お姉ちゃんだらしないの?」


「そ、そんなことないよ?」


「どうだろうね~。奈子ちゃん身体は自分で洗える?」


「え~。要お姉ちゃんに背中流して欲しいなぁ。」


「おや、奈子ちゃんは奈々には洗って欲しくないの?」


「う~ん。いつも一緒に入ってるから、今日は良いかな。」


「奈子ちゃんの背中を洗うのはあたしのお仕事です。要たんなら譲ります。」


「ふふ。仲が良いね。じゃあ、洗おうか。」


先に奈子ちゃんの髪をクリップで纏めてあげる。

奈子ちゃんから手渡されたボディタオルにとろりとボディーソープを垂らす。

そうすると僕の背中に当たっていた髪の感覚がなくなる。


「あたしが要たんの背中を洗ってあげよう。」


「ありがとう?」


「なんで疑問形?まぁまぁ、お任せくだされ。」


僕が奈子ちゃんの背中を、奈々が僕の背中を洗う。

なんだろう、これ?


「奈子ちゃん両手を挙げようか。」


「は~い。」


「要たん。前も洗って良い?」


「止めてね?」


「まぁまぁ、そう言わずに。優しくしますよ?」


「自分で出来るよ。」


奈子ちゃんの両腕や脇を、腰とタオルで洗っていく。

ご機嫌な奈子ちゃんは鼻歌を歌いだす。室内に響くね。


「奈子ちゃん、後は自分で出来る?」


「うん。要お姉ちゃんありがと。」


「どういたしまして……奈々?」


「ん?」


「しれっと、どこ触ってるのかな?」


「え、要たんのお尻。張りがあってよいですな。」


奈々は変態さん。今日でしっかり分かったね。

なんか、触り方が厭らしい。

揉んだり、鷲掴みにしたり、撫でまわすような触り方で……。


「止めてくれない?」


「えぇ?やだ。いたたっ。」


奈々の手の甲を抓って止める。


「お姉ちゃんどうしたの?」


「なんでもないよ~。」


「何でもあるよ。奈子ちゃん、奈々に変な事されてない?」


「変な事って?」


「そうだね。やけに撫でまわしてくるとか、執拗に触れてくるとか。」


「う~ん。よく私のお腹を撫でて擽ってくるくらいかな。」


「そうなんだ?」


「いや、いやいや。只のスキンシップ。姉妹のスキンシップだから。」


「ふ~ん。」


奈々の顔を窺うとばつが悪そうにしている。

ほほう。これは他にも何かしているのかな?


「ほ、ほら。早く洗ってお風呂に浸かろう?風邪ひいちゃうよ?」


「……そうだね。僕も帰らないといけないし。」


「要お姉ちゃん。もう帰っちゃうの?」


「うん。帰ってお父さんと買い物に行くんだ。」


「いいなぁ。私も行きたい。」


「商店街で食材を買うだけだよ?」


「そうなの?」


「うん、そうだよ。」


「じゃあ、いいかな。てっきりショッピングモールに行くと思ってた。」


「う~ん残念だね。機会があればいこうか。」


「え?いいの!?」


「うん。でも、当分先になると思うよ?」


「いいよ。お姉ちゃんも一緒に行こ?」


「行く行く~。」


奈々ちゃんが一番先に洗い終わったのでお風呂に浸かる。

僕は髪を洗って、奈々は身体を洗っている。


「……お姉ちゃんも、要お姉ちゃんも大きいよね。」


「「ん~?」」


「えっとね。おっぱいって大きい方が良いのかな?」


「「ん?」」


「えっとね。男の子っておっぱいが好きだって、崎山君が言ってたの。どうしたら大きくなるのかな?」


「な、奈子ちゃん?」


「奈子ちゃん、ちょっと待ってね~。洗い終わったら詳しく聞くから。」


「うん。」


おっと~?奈々の声のトーンがおかしいよ?

最後らへんから凄く低くなってる。

奈子ちゃん大好きな奈々には、少し刺激の強い問答だったかな?

直ぐに洗い終わらせる勢いで奈々が動いてる。


「おまたせ~、奈子ちゃん。まずね?崎山君って誰?」


声のトーンが怖いよ。もう少し露骨にしないで話そうよ。


「え?えっとね、同じクラスの男の子で、子供って感じの子。良く女の子にちょっかいかけてるの。だからクラスの女の子から嫌われてるよ?」


「へ~。奈子ちゃんはどう思ってるの?」


「私?私はなんとも思わないかな?嫌な事されてないし。」


「ほうほう。まだ、猶予は与えてやろう。」


「奈々。あんまり突っつくような事はしちゃ駄目だよ?」


「要たん。これはあたしに直結する問題だよ?静観できない。」


「もう少し大人になろうか?」


「無理!!」


「きゃっ。」


奈々は奈子ちゃんをお風呂内で抱きしめる。


「こんなに可愛い奈子ちゃんに、手を出す奴は許せんぞぉ。」


「お姉ちゃん。くすぐったいよ。」


二人が暴れて、お風呂からお湯がどんどん溢れていく。

微笑ましい光景を横目に、僕も洗い終えたのでお風呂場に入る。

奈々の家のお風呂はかなり大きい。

お父さんと裕也が一緒に入っても、まだ余裕がありそう。

……家族3人でお風呂に行くのも有りか?


「要お姉ちゃん。」


「ん、どうしたの?」


「えっとね、ちょっとだけギュってして欲しいの。」


「?良いよ。」


奈々から解放された奈子ちゃんが僕へと寄ってくる。

奈子ちゃんの目線が僕の胸にあるんだけど……。


「はい、ぎゅ~。」


「……お姉ちゃんより大きい?」


「なんですと!?」


「そうなの?」


「うん。少し大きい気がする。それに、お姉ちゃんよりも……」


「奈子ちゃ~ん。あたしへのマイナスポイントは言わないで~。」


そう言いながら、奈々は僕たちの方へと寄ってくる。

っと思ったら抱き着いてきた。今回はがっちりホールドだね。

奈子ちゃんを間に挟む状態になってしまう。


「さあ、奈子ちゃん判定プリーズ。どっちが良い?」


「うぷぷっ。」


「奈々。ちょっと離れてくれないかな?」


「要たんの勝ち逃げは許さん!!あたしが勝つのだ!!」


奈子ちゃんの後頭部には奈々の胸。

僕の胸には奈子ちゃんの顔。

嬉しそうな表情でいる奈子ちゃん。

小声で何かを呟いていたけど、何を言っていたんだろうか……。

奈々の、テンションの高い声が響いて何も聞こえなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ