表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変化した自分に出来る事(仮題)  作者: 奈良づくし
29/46

27

「あんまり喋らなかったね。真由美らしくもない。」


「だって……。」


寝る準備を進めながら、椅子に座って落ち込んでいる真由美と喋る。

僕の部屋にはベッドが無いので、畳んだ布団を敷いている。


「まぁ、急に素直になっても裕也が吃驚しちゃうしね。さっきみたいに。」


「う……。」


裕也が真由美の謝罪を受け取ったけど、二人は喋ってない。

爪楊枝ハウスを作りつつ、真由美は裕也の漫画本を読んでいた。

僕は幸と話しながら22時になって、幸が家に帰っていった。

裕也も結構疲れたのか寝るって言ったので、部屋を後にした。


「でも、少しずつでも良いんじゃないかな?」


シーツを敷布団に被せて整える。


「……うん。」


どうしようかな。少し肌寒いし、毛布もいるかな?


「正直に言うと驚いたよ。真由美が裕也の事が好きってさ。」


「ちょぉ……。口に出さないでって……。」


急に背中を押されてのしかかられた。

重くは無いんだけど、吃驚するから止めて欲しい……。


「はいはい。ごめんね。」


「もう……。」


「ところで、退けてもらっても良いかな?布団が敷けないんだけど……。」


「分かったわ。」


真由美が立ち上がって、また椅子に座り直す。

毛布はひいちゃおう。その上に布団を被せる。

枕も置いたら出来上がり、寝床の完成だ。


「ところで、帰らないの?」


「え?なんで?」


「うん?」


「だって、今日は要と一緒に寝るつもりだもん。」


「え?布団1つしか無いよ?じゃあ、下にもう1つあるから持ってくるね。」


「え?いらないでしょ?」


「え?」


「良いじゃない。昔みたいに同じ布団で寝ましょ。」


「一体いつの話してるの?」


「ん~、かれこれ10年近くよね。小学生でも何回かあったっけ。」


「もう15歳だよ?というか高校生だよ?」


「ね?良いでしょ?ね?」


「まぁ、別に良いけど。寝にくいよ?」


「大丈夫だって。電気消す?」


「え、もう寝るの?」


「え?寝ないの?」


「だって、真由美はまだ眠くないんじゃないの?」


「暗くしたら眠くなるわよ。私だっていつも遅くまで起きてないし。」


「そうなんだ。まぁ、いいか。」


「オッケ―。」


真由美に電気を消してもらう。

いつもなら隣の家に住む真由美の部屋の電気が見えるんだけど、今日は見えない。

あ、枕が一つしかないや。

……真由美に使ってもらって、僕はクッションで良いか。

もそっと真由美が布団に潜り込んでくる。

いつもより近いけど、暗いせいか表情までは見えない。


「「…………。」」


お互いに何も喋らず、僕が欠伸をするくらいには静かだ。


「ねぇ、要。」


「ん?なに?」


すぅっと息を吸い込む声が聞こえる。

次にはぁっと吐き出す声が聞こえる。

深呼吸南下しちゃってどうしたの?

首だけを動かして真由美の方を向こうとしたが、真由美が急に起き上がった。

と思ったら、僕の上に乗ってきた。いわゆる馬乗り状態だ。


「え?え?どうしたの?」


両手まで掴まってしまった。動けないんだけど……。

真由美も黙ったままだから怖いんだけど……。


「真由美?どうしたの?」


「すぅ…………はぁ…………、よし。」


「?」


「要にさ、言っておきたいことがあったの。」


少し真剣な雰囲気みたいだし、大人しく聞いておこうかな。


「……なにかな?」


「あのさ、私が裕也の好きなった理由って分かる?」


「……さぁ、なんだろ?……分からない。」


「……昔っから変わらないところ。」


「昔から……ね。」


「そ、あの時もそうだったしさ。単純にね、羨ましかった。」


「羨ましい……か。あの時って?」


「…………左手、見せて。」


「あぁ、あの時か。でもさ、見ても良いものじゃ無いよ?」


「分かってる。ほら、早く。」


「暗くて見えないんじゃないかな?」


いつの間にか手を離されていたので、左腕を布団から出す。

僕が真由美に左手を見せると、両手でがっちり掴まれる。

僕の左手には古傷がある。昔、コンパスが手を突き刺さった痕。

それは何針か縫って直ったけど、傷痕は残ってしまった。

真由美が指先で傷痕を撫でまわしてくる。


「くすぐったいよ。」


「……もう、痛くない?」


「かれこれ6年も経つんだから、治ってるよ。」


「……ごめんなさい。」


「真由美が悪いんじゃないんだから、謝らないでよ。」


「でも……。」


「幸にも謝られたんだけどね。気にしないでって言ってあるんだ……納得はしてなかったけど。だから、真由美にも同じことを言うよ。気にしないで。真由美が気にするような事なんかじゃ無いんだ。」


「……それで、私が納得なんてできると思う?」


「うん。出来ないというより、しないと思ってる。」


「でしょ?……でも、今更になってしか言えなかった私が言うのも……おかしい話よね。」


「正直な話。忘れて欲しかったと、僕は思ってるよ。」


「忘れるなんて出来ない……忘れられない……。」


「そぉ?でも、忘れてね。たかだか怪我の一つなんだし。」


「……ねぇ、要。言いたいことが有るって言ったよね。」


「うん、その話だったね。」


傷痕を擦られながら、少し真由美が黙り込む。

くすぐったいから、そろそろ止めて欲しいんだけど。


「あのさ、私って裕也が初恋の相手じゃないんだ……。」


「そうなの?」


「うん。違う。」


お、コイバナでしたか。僕コイバナ出来ないよ?

小学校の時、誰が好き~なんて言えないし。いなかったから。

そも、初恋すらしたことが無いんだよね。


「誰か分かる?」


「分からない。」


「なんで最初っから諦めてるのよ……。」


「分からないし、直ぐに聞いた方が良いかなって。間違えたら何言われるか分からなくて怖いっていうのも、あるかな?」


「奈々とそう言う話とかしないの?」


「しないね。奈々がコイバナとか、あんまりしたがらないし。」


「そうなんだ。私が話振ったら、合わせてくれるんだけど?」


「そうなんだ。僕も今度してみようかな?」


「止めといた方が良いわよ?」


「え、なんで?」


「そんな事より、誰か分かる?」


「そんな事って……。奈々、哀れ……。」


「はい、答える。10秒上げるわ。10、9,……」


「さっきの仕返しかな?う~ん。」


「7、6……」


「芸達者の大森君。」


「違う。5、4……」


「佐々木君。」


「なんであいつなのよ。只のマセガキじゃない。3、2……」


「じゃあ、幸。」


「1、0。ダメね。くすぐりの刑よ。」


そう言ってくすぐってくるけど、お生憎様。ぼくにはくすぐりは効かないよ。


「笑いなさいよ!!笑い転げなさいよ!!」


「残念、僕は弱くないんだ。あきぃ!?」


「ふ。ここが弱いのは相変わらずね。」


頭を押さえつけられて、指先で唇を触れるか触れないような位置でなぞられる。


「く、ふ……。」


「ふふん。これ知ってるのは私くらいかしら?」


「ふ、ふ……。」


「はい、おしまい。残念だったわね。」


「もぅ……。はぁ~止めてよ。」


僕に顔を近づけてきて、勝ち誇ったような表情をしてる。

ちょっぴり悔しい。後でくすぐり返そうかな……。


「私ね、要の事が好きだったんだ……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ