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変化した自分に出来る事(仮題)  作者: 奈良づくし
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泣き止んだ真由美をとりあえずお風呂に入らせる。

「一緒に入ろう。」と言い出したけど、一人で入らせる。

流石にね、身体は女性だし自覚もあるけど……無理。

とりあえず顛末を裕也に話そうと部屋を訪ねる。


「裕也~。入っても良い~?」


ノックをしながら聞いてみると、中から入っていいと声が聞こえる。

ゆっくり扉を開ける。また壊れたら可哀想だし。


「ごめんね。もう少ししたら、真由美が謝りに来ると思うから。」


「お、おう。」


「ま、まぁ……ね。うん。」


幸も裕也の部屋にいて、2人とも何だか顔が引き攣ってる。

幸が裕也の爪楊枝ハウスを手伝ってくれているみたい。

でも、さっきと変わっていなくて、あんまり進んでいない感じがする。


「出来たの?」


「いや、あんまり進んでねぇ。」


「すまない。俺が足を引っ張ってるみたいだ。」


「そんな事ねぇよ。慎重にやってるだけだ。」


「そ、そうか?それなら良いけど……。」


「そ、そうだ。兄貴。何か飲む物くれねぇえか?」


「ん?あ、ごめんね。気が利かなかったね。待ってて。」


裕也の部屋からでて扉を閉める。

違和感が凄いんだよ。何だか余所余所しいというかなんというか……。

僕を見て怯えてるような印象を受けるんだけど……、僕何もしていないよね?

う~ん。と少し考えながら唸ってしまう。


「要。何かあったのか?」


リビングで本を読んでいるお父さんに話しかけられる。


「ううん。僕が真由美に叱った位だよ?あ、お父さんも何か飲む?」


「うん?そうだな、熱いお茶を貰おうか。」


「分かった。他の皆はジュースで良いかな?」


台所へ行き、お盆と湯呑を用意する。

なんと我が家には僕たち家族の他に、幸と真由美と奈々の専用コップがある。

幸は真っ白な半プラスチック製のカップ。主にコーヒー専用。

真由美のカップは猫の絵柄がたくさんあるカップ。ジュース専用。

奈々は犬の絵柄が大きく載ったカップ。ジュース専用。


お父さんはポットのお湯から番茶を淹れる。

裕也は牛乳で良いかな?

幸はコーヒーだね。

真由美はオレンジジュースにしておこう。


「はい、お父さん。」


「ありがとう。」


本にしおりを挟んで、コップを受け取るお父さん。


「何の本を読んでるの?」


「ん?今度、ある資格を取らないといけないんだよ。社内認定みたいなものでね。」


「へ~。国家資格とかじゃ無いんだね。」


「ああ。あまり必要でも無いんだが、取れと上が五月蠅いんだよ。」


「お父さんも大変なんだね。会社で何か言われたりしないの?」


「どっちかというと、私が言う側だな。」


「……お父さんってお喋りな方なの?」


「いや、あまり喋らないぞ。」


「?」


「?」


あれ?そういうのってお喋りな人がする印象なんだけど……。

昼のドラマとかでもそうじゃ無かったっけ?

「何だねこれは~。うんたらかんたら~。」って感じで。


「お父さん……って、無口な方だよね?」


「そうだな。喋るのは得意じゃない。」


「?」


「?」


どうしよう。お父さんの仕事風景がすっごい気になってきた。

いやいや、多分嫌がられるだろうし……聞かないようにしよう。


「いつもお仕事お疲れ様です。」


「ん?ああ、ありがとう。」


気になるなぁ……、お父さんって確か、役職が上の立場だったよね。

どんな感じなんだろう……。顎で人を使う感じ?それは無いでしょ。

仕事では人格が変わる感じなのかな?おしゃべりになるとか……。それは無いね。

こう……厭味ったらしくしてるとか……。無い無い、それは考えられない。

明るくにこやかに喋って……無い無い。有り得ないと思う。

今だって相当な無表情だし。う~ん。


「要~、お風呂のお湯ってどうしたらいいの~?」


お風呂上がりの真由美が出てきた。

昔っから僕の家は幸と真由美のたまり場だから、着替えの1着や2着は普通にある。

勿論だけど洗濯するのは僕。干すのも僕。畳むのも大半僕。持って帰りなさい。


「あ、おじさん。お風呂いただきました。」


「ああ。構わないよ。」


家着用のラフな格好で真由美が喋りかけている。お父さんも、もう慣れっこ。


「お風呂はそのままで良いよ。というか、髪乾かしてないじゃない。」


「あ~。まぁ良いかなって。」


「駄目だよ。ほら、乾かしてあげるから。」


真由美ってうちの家ではかなり大雑把になる。

真由美の家ではきっちりしてるのにね。おばさんの存在が大きいと思うけど……。

ともあれ、風邪を引かれても嫌なのでドライヤで乾かしてあげる。


「はい、座って。」


我が家の洗面台にある椅子に座らせる。

お母さんが妊娠していた時に買った椅子で、結構座り心地が良い。

そして、買ってきたお父さんはお母さんに怒られたらしい。

「こんな高価なもの必要ない。」って言われたらしい。可哀想に……。


「あ~。極楽極楽。自分でやるのって面倒だし。」


「家じゃいつもやってるでしょ?」


「お母さんが五月蠅いのよ。女の子なんだから!!って。」


「そうだと思うよ?今度言っておこうか?」


「お願いだから止めて!?私もね、楽できる日が欲しいのよ~。」


「……僕には髪切っちゃ駄目って言うのに?」


「要はロングの方が似合うからよ。私はこれくらいで良いの。」


真由美は肩まである髪を首を振って揺らしながらアピールしてくる。

乾かしにくいから、止めて欲しいんだけど……。


「え~。なんだか可笑しい気がする。自分の髪乾かすの、結構面倒なんだよ?」


「まぁまぁ、要なら大丈夫。」


何故自信満々なのか分からないけど……。


「はい。終わり。これくらいで大丈夫?」


「うん、ありがと。へへ~。」


これからはうちでもちゃんとして欲しい。


「真由美。二階に飲み物運ぶから手伝って。」


「ほえ?良いけど……。」


「僕が運ぶから、裕也の部屋を開けてね?」


「…………。」


「ちゃんと謝ろうね。」


「…………はい。」


「声が小さいね。いつもの元気はどうしたのかな?」


「はい……。」


「良し良し。それじゃあ行こうか。先歩いて。」


お盆に載せたそれぞれの飲み物を持って二階へ。

さて、素直に謝ることが出来るのか……。

扉をゆっくり開く事には成功。但し、ノックはしようね……。


「兄貴?……な訳ねぇよな。」


「ははは。真由美、ノック位しようよ。……どうしたの?」


「あ、その……。」


「はい、裕也。幸はホットで良かった?」


「サンキュー。」


「ありがとう。ところで……。」


「二人とも、少し黙っててね?」


「「……はい。」」


「さ、真由美。」


「うっ……。そ、その。裕也、…………ごめん。」


「真由美。」


「ひぅ!?ご、ごめんなさい。」


「僕じゃなくてね?僕の方を向いて謝るんじゃなくて、誰に謝るんだっけ?」


さっきからさ、僕の方しか向いてなくて気になってたんだよ。

ただ、それだけだったんだけど……。そんなに怯えなくても、いいんじゃんないかな?

お、ちゃんと裕也の方を見たね。頑張ろうか。


「ご、ごめんなさい!!」


何故か、謝られている方の裕也がきょとんとしてる。

幸はうんうん。と頷いている。

普段からちゃんと謝らないせいで、こういう反応になってるのかな?

ま、今日は頑張ったんだし。助け舟を出そうか。


「裕也。真由美もちゃんと謝ったから、今日は許してあげて欲しいんだ。いいかな?」


「え?あ、おう。別に……良いけど……。」


「真由美、良かったね。許してくれるって。」


「……う、ん。」


ちょっとだけ目が潤んでいるように見える。


「ほら、こっち座って。真由美はオレンジジュースで良かった?」


「うん。ありがと。」


気持ちを切り替えるのが早い。

直ぐさまオレンジジュースを飲み干している。一気飲み。


「というか、あんまり進んでないね。爪楊枝ハウス。」


「あ、ああ。その……なぁ、幸。」


「え!?あ、ああ。ちょっとね。」


「?」


何だか2人に曖昧な返事をされる。

ジッと2人を見つめると目を逸らされるし……。

挙句の果てに「このコーヒー美味いな~。」って、露骨に話題も変えられたりする。

それ、インスタントでいつも飲んでる奴だよ?

え、疎外感が凄いんだけど……。何これ?

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