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変化した自分に出来る事(仮題)  作者: 奈良づくし
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「運動やだ~。動きたくない~。」


「運動測定だもん。仕方ないよ。」


今日の奈々は駄々をこねる子供だ。

運動嫌いな奈々。何せ、運動音痴だ。


「そう言ってても仕方ないよ。」


「でも、園部さんの言う事も分かる。」


「清水さん。おはよう。」


「おはよ~。」


「おはよう。」


清水さんが声を掛けてくれた。嬉しい。


「清水ちゃんは運動苦手系?」


「ええ、実は苦手よ。その様子だと、園部さんも苦手なの?」


「超を超える程の苦手。っていうか嫌い。」


「ふふ。そうなんだ。じゃあ、妹尾さんは?」


「僕?」


「あ~、清水ちゃん。要たんはヤバいよ。超ヤバイ。」


「ヤバい?」


「うん。後で分かると思うけど……超ヤバイ。」


「どういう事?」


「得意ではあるかな。ってくらいなんだけど……。」


「そうなんだ。確か、走るのが趣味って言ってたよね?」


「うん、そうだよ。」


「……期待しましょ。どんなヤバさなのか興味あるわね。」


愛嬌のある微笑で、清水さんが笑う。


「清水ちゃん。あたしの事は奈々で良いよ~。」


「じゃあ、私は千里って呼んでね。」


「千里?じゃあ……ちーたんで良い?」


「う~ん。まぁいいかな?」


「僕は要で良いよ。」


「……私も要たんって呼んでいい?」


「んん?何故?」


「何だか面白い響きだからかな?」


「でしょ?要たんは要たんだよね?」


「ええ。そうね。」


「あれ~?」


以後、クラスメイトの大半から、要たんと呼ばれるようになる。


「席つけ~。ってもう座ってるか。」


予鈴のチャイム前に、東先生と松田先生が入ってくる。


「おはよう。諸君。」


「「「お早う御座いまーす。」」」


「元気で良いぞ!!松っちゃんお願い。」


「お早う御座います。本日の運動測定は……。」


松田先生の事務的な朝礼。

東先生は椅子にドカッと座って聞いている。欠伸までしてる。


「以上です。何か質問御座いますか?」


「はい!!」


「…………。」


何故か東先生が手を挙げている。なんで?


「東先生、何かありますか?」


「はい。松っちゃん硬いです。柔らかくなってください。」


「他に何か質問はありますか?」


松田先生のスルー力が上がった。


「ちょいちょい。質問に答えてよ~。」


「質問ではなく要望と思われます。ですのでお答えする義務はありません。」


「え~。みんなどう思う~?」


生徒に投げかける質問じゃ無いと思うんだけどな~。


「聞いてみよう。今日は元気無さそうな園部さん。」


「え、あい?」


「松っちゃんの表情をどう思いますか?」


「え?え~っと、綺麗美人系の怖い感じ。笑った顔を見てみたい。」


「…………。」


嬉しいような悲しいようなって感じの表情をする松田先生。


「でしょ~。あたしも同意見。そう思う人挙手!!」


結構な数の手が挙がる。思ってる人は思ってるんだね。


「下ろして~。じゃあ、八木くん。」


「はい、何でしょうか。」


席を立ちあがる八木くん。


「立たなくても良いよ~。手を挙げなかった理由教えて?」


「その人の自由だと思いました。押し付ける問題では無いと思ったからです。」


「ほほう。見事な反対意見がきたぞ。じゃあ、要たん。」


「はい?」


「要たんはどう思うの?」


「えっと。僕も似たような意見だね。自然に笑ってもらう方が良いなって思うかな。」


「ほほう。純情だね、高瀬君は?」


「俺も似たような意見です。無理をしてもらいたくは無いですね。」


「優しいね~。じゃあ、大間さん。」


「私も同じ意見です。それに、まだ日も浅いのに難しさを求めるのはどうかと思います。」


「おっと、反撃が来ちゃった。ん~、追々って感じにしましょうか。頑張れ松っちゃん。」


「…………新手のパワハラでしょうか?」


「嬉しい癖に~。ちゃあんと見てくれる生徒はいるんだから、頑張んなさいな。」


「……努力はします。」


「よろしい。さて、さっきも説明があったけど、今日は運動測定ね。全力で取り組みなさい。それと、気分が悪かった悪くなったりしたら直ぐに言いなさい。オッケー?」


「「「はい。」」」


「よろしい。じゃあ、移動しようか。男子は私。女子は松っちゃんに同行しなさい。ロッカーは昨日と一緒の場所ね。行くぞ!!」


東先生が出ていき、続いて松田先生が出ていく。


「要たん、あたし気分ヤバいよ~。」


「気のせいだよ、気のせい。」


「え~。そこは気遣ってよ~。」


「顔色良いのに、何を言ってるの?」


「……くっ。要たんの意地悪。」


「はいはい。行くよ。」


女子は体育館内で出来る測定からしていく。

男子は屋外での測定から。

ロッカーで着替えながらも、奈々は駄々をこねる。


「ヤダー。」


「頑張れ、頑張れ。」


「むぅ。要たんは運動得意だからな~。」


「好きで走ってるだけだよ。」


「こんなデカ乳持ってるのに~。」


「揉まないでくれる?」


背後から鷲掴みにされる。そういう奈々も大きいんだよね……。

あと、周りの視線がすっごい痛いからやめて欲しい。


「っていうか、痛くない?」


「別に?気にはなるけどそれだけかな。」


「スポブラしてても揺れるっしょ?」


「まぁね。そう言う奈々は着けてなかったけど、大丈夫?」


「忘れた……。」


「憂鬱な原因が一つ分かったよ。いつ思い出したの?」


「教室に入ってから……。椅子に座った時にあっ、ってなった。」


「あらら。」


喋りながら体育館内に入っていく。

後ろから抱き着かれたままなので、歩きにくい。

そろそろ離れて欲しいんだけどね。


「妹尾さん。園部さんはどうされたんですか?」


松田先生が怪訝そうな表情で話しかけてくれた。


「奈々はスポブラを忘れちゃったので憂鬱なんですよ。それと、純粋に運動が嫌いでして。」


「あ、それは……。すみませんがサイズは幾つでしょうか?事務所でお借りできるかもしれません。」


「奈々?」


「ん~?何?」


「ブラのサイズは?」


「んー。スポブラだとHは欲しい。」


「……無い……でしょうね。」


一応電話をしてくれている。有ったらいいんだけど……。

少しの応対の後、申し訳なさそうに無いと教えてくれた。


「ありがとうございます。」


「いえ。こちらこそごめんなさいね。」


「いえいえ。元をたどれば忘れた奈々が悪いので。奈々、戻るよ。」


「ほえ?」


「僕の貸すから。」


「良いの?」


「先生。時間はまだあります?」


「ええ。あと、15分はあります。」


「ありがとうございます。戻るよ。」


「ありがと~。」


「着心地は悪いかもしれないけど。あと、脱ぎたてになるし……。」


「全然オッケー。要たんの脱ぎたてなら売れる!!」


「売らないでね?」


という訳で、僕は奈々にスポブラを貸すことに。

上着のファスナーを閉めたら、少しはマシになるかな?

結構きついから、いけると思う。多分。

戻ったら2人組で体操していたので、僕は奈々とですることに。

奈々の身体は柔らかいのに、運動は苦手。なんでだろ?

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