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変化した自分に出来る事(仮題)  作者: 奈良づくし
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本日も少し遅れ気味の奈々を迎えに来た。

ここに来る前に電話を入れると、案の定寝起きだった……。


「バフッ!」


お出迎えはペットのベンちゃん(雌)。


「可愛い~。あ、舐められた~。これって愛情表現よね!?」


「そうだと思うよ。良かったな、真由美。」


「うん!!」


朝からハイテンションな親友はアニマルセラピーの真っ最中だ。

ベンを撫でまわして癒されて、手を舐められてご満悦だ。


……別に僕は怒ってないよ?

昨日の事をちょっと聞いただけで急に震えだして、吃驚したけど……。

ここに来るときも、幸の背後に隠れて僕の様子を窺ってた。何でかな?


「笑顔が怖いんじゃないかな?」


「幸……。僕はどうすればいいんだい?」


「…………。」


親友からの答えは無い。あれ?

もう詰んでない?なるようにならないんじゃないかな?


「おはっ!!」


「おはよう、奈々!!」


親友同士はがっちりホールドを交わしている。

何故か僕の方を頑なに見ようとしない寝起きの親友がいる。


「おはよう。奈々。今日もいい天気だね?」


「おっ……はよぉ……。」


可笑しいよね?

親友が庇い合って僕を見ている。

ん~?どういう事?


「幸、説明してもらえる?」


「あ、あぁ。ここまで悪化していたとは……。」


昨日の東先生が取り乱した様子を、この親友ズは間近で見ていたらしい。

足を組んで圧倒的優位で直哉を弄っていたかと思ったら、急に立ち上がって姿勢を正したらしい。

その様は上司に怒られる新入社員のようだった、と親友ズは言っていたらしい。


「見たことあるの?その上司部下の現場を?」


「「ひっ!?」」


「待て待て。笑顔が怖い。」


「そんな脅し文句初めて聞いたよ?」


それからの東先生は、縮こまって小声になったと思ったら、急に頭をペコペコ下げながら電話していたらしい。

何の外聞も気にせず、教師である東先生にマウントを取った僕のやり方はマズかったみたい。

それを見た親友ズは、「次は自分がああなるかもしれない……。」って思ったらしい。

何を言われるか分からない、何をされるか分からない。

そんな恐怖を勝手に妄想して、勝手に勘違いしているらしい。


「良い迷惑なんだけど?」


「「すいません!!」」


「ほら、現実になってる。」


「勝手にしているだけだよね?」


「「ひぃい!?」」


「何これ?」


「さぁ……?」


一体全体どうしたものかな……?

腕時計を見て時間に余裕がある事を確認する。

兎に角、この二人の洗脳(?)を解こうかな?


「まず初めに。僕は君達を怒っていないよ?」


「う、嘘よ。そう言って後からぱっくり食べるんだわ!?」


「そ、そうだし。みのりたん言ってたもん!!」


「元凶は東先生じゃ無いかな?松田先生込みでお話ししようかな?」


「まぁまぁ。先ずはこっちだ。」


面倒くさくなってきた……。

ん~。とわざ少し唸りつつ、様子を見る。

さっきより震えてないかな?何を言ったものか……。


「次に、君たちは東先生に騙されている。」


「「それこそ嘘だ!!」」


「相変わらず君たちは変な所で仲良しだね。」


「「ひぃいい!!」」


「僕は今馬鹿にされているのかな?」


「まぁまぁ。ここで要が怒ったら惨事どころじゃなくなる。」


「幸も、馬鹿にしてる?」


「してないしてない。」


「はぁ。もう……。二人とも、演技はもう良いよ。」


「「ひぃいい!!」」


演技派だなぁって思いつつ。無表情で親友ズをただ見つめる。

おそらく、東先生の入れ知恵だ。

目的は僕の弱み、もしくは僕に何かをさせたいのか……かな?


「放っておこう。僕は親友ズを失ったようだ。さようなら、ベン。」


「え?」


僕はベンを撫でまわす。

飛び掛かろうとするけど、両前足を掴んで支えてあげる。

一生懸命僕に寄ろうとしているけど、悲しいかな……リードが足りない。


「バフッ!」


つぶらな瞳が可愛い。今日の帰りにでも寄るからね。

その時は奈子ちゃんと散歩に行こうかな。

ベンの足を下ろして額同士を合わせる。落ち着いてくれたかな?


「幸、行こうか。流石にここまで馬鹿にされると不愉快だからね。」


「え。え?」


僕は先に学校へと歩いていく。

幸も続いてくるが、残された親友ズは取り残される。


「え、あ。失敗しちゃった……かな?」


「やばいやばい。これやばい。要の怒る2歩手前くらいだ。」


「え、え?どういう事?」


「奈々は見たこと無いんだっけ?要の怒り方。」


「え?あ~、無い……かなぁ。」


「本当に怒った時はマズいんだって~。早く行くよ!!」


「え?真由美ん、どうなるの?」


「完全無視。視界に入ろうがいない者扱いされるの……。」


「え?」


「触って止めようものなら、容赦の無い正論でザクザク刺してくるわよ?」


「……それ、嫌なんだけど……。要たんに無視されるの、辛いんだけど……。」


「だから言ってるでしょ?マズいって。早く誤解を解かないと……。あぁ~東先生の方が一枚下手だった~。」


「ど、どうすればいいの!?」


「とりあえず謝り倒すわよ。最悪土下座!!」


「どっちも嫌~!!」


僕はてくてくと学校へ向かう。

幸い、今日は身体測定なので運動しないし、筋肉痛も納まってる。


「なぁ、良いのか?」


「ん?ああ、平気だよ。二人とも演劇部に入れると思うよ?」


「どういう事だ?」


「演技だよ。東先生の策略。目的はいまいち分からないけど……二人が便乗した形だね。」


「えぇ、悪ノリが過ぎるだろう……。」


「うん。だからどうやってお仕置きしようか考え中だよ。ふふっ。」


「……流石に擁護出来ないな。」


「しない方が良いよ?とばっちりが来るかも?」


「やめてくれよ?本気で。」


「大丈夫大丈夫。」


後ろから駆けてくる二人の足音が聞こえてくる。

親友ズのお二人さんは、今どんな表情をしているのかな?

どうしようかな?どんな罰ゲームにしようかな?

笑顔の僕とは裏腹に、幸はとっても困り顔。何でかな?

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