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電話

新幹線乗って帰ろう。


ぼちぼち歩いてくかな。


ブーブー  佐浜さんからだ。


「もしもし。」


「あのさ、もう帰っちゃった?」


「まだだけど」


「さっきの場所にもどるよ」


「なんで?」


「写真撮りたかった。」


「俺と?」


「うん。」


「いいよ。旦那待たせてるだろ」


「会えた時は、写真撮ろうって思ってたから」


「戻ってきたよ。」


そう言ったら、佐浜さんがさっきの場所にいた。


電話を切った。


もう、人はいなかった。


「あっ!ごめんね」


「ううん。」


「写真撮っていい?」


「ここだと、帽子とれないよ」


「もうちょっと、向こう行く?」


「旦那さんは、大丈夫?」


「うん。もうちょっとかかるって言ったから」


「そっか。」


二人で並んで、ちょっと人が少ない場所に行った。


「写真撮るよ。」


そう言って俺は、帽子をあげる。


「はずさなくていいよ。バレたらダメだから」


そう言われて、帽子をあげるだけにした。


「はい、チーズ」


カシャ



「もう一枚いる?」


「うん。」


カシャ


「どう?」


「いい感じ。ありがとう」


「ううん。じゃあ、俺帰るよ」


「うん、ごめんね。」


「いいよ、全然。嫌なら戻ってこないよ。」


「ありがとう。」


「じゃあ、また」


「じゃあね。気をつけてね」


そう言って佐浜さんは、歩き出した。


振り返る事もなく…。


しばらく見てたら、男の人が近づいて行った。


多分、旦那さんだな。


顔は見えないけど…。


やっぱり、結婚してるんだよな。


俺は、ゆっくりと歩き出した。


佐浜さんが、幸せな気持ちで今日が終わる。それが、すごく嬉しい。


駅に向かって歩いてると、ピロンってスマホが鳴る。


[今日は、ありがとう。]


そう言って、さっきの写真を送ってきてくれた。


いい顔してるよ。


俺も、佐浜さんも…。


佐浜さんが、芹沢龍の事を大丈夫って心配した時。


俺、本当は、ヤキモチやいてた。


佐浜さんは、誰とでも特別を築けるんだって思った。


旦那さんに対してのヤキモチはなかったけど、芹沢龍にはヤキモチやいた。


とられたくなかった。


そう強く思ってしまったんだ。


ブーブー  真琴


「もしもし」


「もしもし、会えた?」


「うん、会えたよ。」


「よかったな。久々だから話せた?」


「メインは、芹沢龍に会わすだったから…。そんな話してないよ」


「そっか。残念だったな」


「まあな。でも、少しは話せたから」


「そっか、ならよかったな。」


「うん、ありがとう。」


「じゃあ、気をつけて帰ってこいよ。」


「うん、ありがとう。」


「また、明日な」


「うん。また、明日」


明日のTV収録が放送される日にバングルの事言おうと思ってたのに今日バレちゃったな。


でも、同じ匂いだった。


バングルも使ってくれてた。


それだけで、俺は嬉しかった。


俺は、佐浜さんの何を知りたいんだろうか?


佐浜さんといったい何をしたいのだろうか?


よくわからないけど…。


やっぱり、佐浜さんはすごいなって思った。


龍の事も気づいた。


小さな事かもしれない。


でも、佐浜さんは人の気持ちが流れてくると言った。


だから、佐浜さんは辛いんだ。


俺と出会って、それがまた研ぎ澄まされたと言った。


佐浜さんの不安感を拭ってあげるつもりが、生み出すものを元に戻したのではないだろうか?


だとしたら、俺は酷い事を提案してしまったのではないだろうか?


佐浜さんの言葉のチョイスや感情の表現をみていたら、彼女はいい女優さんになれていたのだと思うな。


足が悪い。


それが、佐浜さんの足枷になっているのはわかる。


だって、足ってすごく大切だから…。


だから、俺。


やっぱり佐浜さんに新しい世界を見せてあげるよ。


もしかしたら、佐浜さんって歌うまいのかな?


jewelのコーラスとかやってもらうのもアリかな?


佐浜さんが、元気に笑って、不安感を感じることなく、今日一日を終える。


そんな、一日を作る手伝いをしてあげたい。


佐浜さんに、この世界は素敵な事がたくさんあるんだと知ってほしい。


俺は、そう考えながら電車に乗って、新幹線に乗って帰宅した。




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