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歌詞を考える

巽君といると、不安が消える。


素敵な歌をくれた。


でも、私。


まだ、駄目だ。


全然駄目だ。


「泣いてる?」


「何でだろうね。諦めたくないんだよね。私は、まだ」


「それは、そうだよ。俺にだってわかるよ。」


「歌詞、考えよう。」


「うん」


そう言って、隣に座ってくれた。


「君といると笑顔になるとかは?」


「使えるね。」


「嬉しい気持ちが(あふ)れてくるなんか、宝箱を開けたみたいに感じる。」


「それ、いいね」


「今の?」


「俺に言った?」


「そうかも」


巽君は、笑ってくれた。


「嬉しいよ。俺は、あんたが笑ってるだけで」


「ありがとう」


「どんどん話して、歌詞作るから」


「わかった。」


「一人言みたいに喋ってみて、俺聞いてるから」


「わかった」 


一人言か…。


「勇作だけじゃ拭えなかったものを巽君が補ってくれた。一緒にいるのは、よくないかもしれないけど…。それでも、傍にいたいと思う。今日が、終われば会えないのなんて当たり前だよね。でも、また会うことが出来たら嬉しい」


巽君は、私の話を聞きながらさらさら紙に書いている。


「また、会いたい。巽君が、誰かと出会い幸せになっても会えたら嬉しい。抱き締めてくれた温もりも、手を繋いでくれた優しい気持ちも私はずっと覚えていたい」


「うん」


笑いながら、見つめてくれる。


さらさらと、また紙に書いている。


「会えなくなるのは、やっぱり寂しい。だから、電話やメールはして欲しい。やっぱり、私の不安な気持ちを取り除いてくれるのは巽君だよ。勇作だけじゃとりきれなかった。それに、私はやっぱり友達のこういうの見たら辛くて悲しくて、心が空しさでいっぱいになる。」


私は、snsを見せてた。


「それね、空しくなるよな。俺もわかるよ。仲良かったやつが、どんどん売れてさ。そういうの見てたから…。こんな風になれないって思って悲しいんだな。」


巽君は、頭を撫でてくれた。


「うん。できた?」


「とりあえず、これでどうかな?」


巽君が、紙をみせてくれる。


【キミに出会って拭えなかった痛みが癒されるのを感じていた。でも、キミの隣にはもう別の誰かがいた。寄り添えない、傍にいられない。それでも、僕はキミの傍にいる事を望む。張り裂ける胸の痛み、空っぽになる心。キミに会うと癒されていく。会いたい、会いたい。キミに()れたい。これは、僕のワガママで。キミは、何も悪くないよ。キミに()れると幸せが広がる。それは、キミからのプレゼント。】


「まだ、曲つけれる歌詞ではないかな?でも、悪くないかな。」


「一曲作れそう?」


「作れるよ、ありがとう。曲さ。芹沢龍に会うときに渡せたらいいかな?どう?」


「うん、大丈夫。」


「遅くなっちゃったね。あんた、帰るでしょ?」


「今日が、終わると会えるのは、二ヶ月後だよね?」


「そうだな。」


「また、会えるのは嬉しいよ。」


「よかった。」


私は、やっぱり駄目な人間だよね。


巽君の傍にいるのが、嬉しいなんてね。


「また、連絡するからね」


「うん」


「明日、朝早くに帰ってくるんだよね。旦那さん」


「うん、そうだよ」


「じゃあ、もうすぐしたら帰らないとね」


「もう、こんな時間だったんだね。九時過ぎてる」


「本当だね。熱中すると、時間忘れちゃうから」


「巽君といると時間経つのが早いよ。」


「それは、俺といると楽しいって事でいい?」


「勿論だよ。巽君は、私の狭い世界を広げてくれた。囚われていた世界から解放してくれようとしてる。それだけで、充分だよ。」


「まだまだだよ。こんなものじゃない。あんたの世界は、もっと広がるよ。まだまだ、小さな世界だよ。」


巽君は、笑ってくれた。


巽君を信じられる。


だって、私の世界を巽君はかえようとしてくれるから…


知らない世界に、連れてってくれるから…。








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