また、会いに行く
タクシーで、家の近くの道でおろしてもらった。
「じゃあ、また。」
「うん。」
そう言って別れた。
家に帰る。
「ムギ姫、ごめん。」にゃー
ムギ姫が怒ってる。
「ごめんね。」にゃー
私は、ムギ姫にご飯をあげた。
長い時間一緒に居たからか、服から巽君の匂いがしてる。
何か、本当いい匂いする。
勇作に悪い事してる。
でも、本当に巽君が言ってたみたいに元々一人の人間だったみたいだった。
お風呂入ってから、寝よかな。
お風呂のスイッチを押す。
昨日、抱き締められた時、不思議な感覚を感じた。
本当に、2つが1つに戻ったみたいな感覚。
心の奥底で、感じた幸せな気持ちと探してた気持ち。
でも、それは男女の仲になりたいって事じゃなくて
血の繋がりよりも濃い気がした。
失くしてしまうともう自分じゃいられなくなるんじゃないかって思うぐらいに…。
勇作から、メールがきた。
[おはよう!大丈夫?]
[おはよ。大丈夫だよ。]
[なら、よかった。また、連絡する。]
[うん]
ムギ姫の写真を送った。
お風呂が沸いた。
湯船に浸かる。
楽しかった。充実してた。
歌詞作るのってあんなに楽しいんだ。
巽君とだから、楽しいのかな?
時々、逃げたくなってた。
子供…子供…に縛られて勇作といるの楽しくなくなって。
でも、巽君と出会って歌詞考えるようになったら自然と子供の事考えてなくて勇作といるのがまた楽しめるようになった。
だから、この関係なくしたくない。終わってほしくない。
お風呂から上がった。
眠たい。寝よう。
ブーブー たつみ
「もしもし」
「ホテルとれたから、今から寝るわ」
「私も今から寝る。」
「香水買いに行こう。場所調べておくよ。」
「うん。」
「タクシー乗れそう?」
「たぶん、大丈夫。」
「無理なら、そっちまで行くから教えて」
「わかった。」
「じゃあ、寝るね。起きたら連絡して」
「わかった。私も寝るね。」
「おやすみ」
「おやすみ」
そう言って電話を切った。
切ってから、ベッドにはいって寝た。
うーん。起きた。
11時だった。連絡しておこう。
[起きたよ。]
[何時に出れそう?いけそう?]
目覚めても、不安感はなかった。ザワザワしない。
[大丈夫。行けそう]
[お昼は、食べてくる?]
[どっちでもいいよ。]
[じゃあ、一緒に食べない?]
[うん。]
[じゃあ、一時にはこれるかな?]
そう言って住所がきた。
[こっちの方が、香水売ってそう。]
[わかった。そっちに行くね。]
私は、そう言ってベッドから出た。
用意して、タクシーを呼んだ。
場所を告げて、連れて行ってもらう。
タクシー乗ったら、不安感ちょっときた。
鞄を抱き締めたら、巽君の匂いがした。
何とかなりそう。
不思議だ。
匂い嗅ぐだけで安心した。
そういえば、勇作と付き合ってすぐもそうだった。
疑心暗鬼もなくて、ただただ幸せで楽しかった。
そういうことしたら、どんどん不安になってわからなくなって焼きもちやいて束縛していった。
体の距離が縮まると心は少し離れる気がした。
巽君がなりたくないって言ったのは、それなんだと思う。
心の距離と体の距離は、同じにならない。
それは、昔からわかってた。
昔、三年間好きだった人がいた片思いだったけど、多分途中から先輩も私の事を気に入ってくれてたと思う。先輩は、私がこうだったらと思った瞬間に話しかけてくれたりした。まるで、手に取るように私の心がわかるみたいで楽しかった。先輩とは、心の距離が近かったのだと思う。
その後、好きになった人とは後悔したくなくてそういう関係になった。そしたら、心の距離が遠くなってお互いの気持ちを見失って傷つけ合って終わった。
心の距離と体の距離は、同じにならない。
同じになる相手を見つけられる人は、本当に幸せなんだと思う。
そんな事、考えてたら待ち合わせ場所についた。
「いくらですか?」
巽君が聞いた。
「はい、これで。」
お金払ってもらった。
タクシーを降りた。