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君に嘘をつく

ブーブー


次にかかってきた時に、電話にでた。


「もしもし」


「よかった。やっと、でてくれた。」


巽くんの声が、安堵していた。


「何の用?」


出来る限り、冷たく言う。


「怒ってる?」


「怒ってない。」


「あんたと話したかった。」


「私は、話したくなかったよ。」


「何で?」


「彼女いるのに、いないって嘘ついてたでしょ?」


「違うよ。アレは、前に話した元カノに売られただけだよ。」


「jewel大事なら、ちゃんとするでしょ?普通」


嫌みタップリな言い方をした。


「そうだよね。わかってる」


「そんな事してたら、jewel終わるんだよ。わかってる?」


「わかってる。」


「だったら、私にかけてくるのもおかしいよね?」


「あんたしかいなくて、話せるの」


彼の声が、小さくなる。


「メンバーや友達いるでしょ?」


「いるけど。その人達とは違ってあんたにしか話せない事があって」


「私は、ないよ。巽くんと話したいことも、聞きたいことも」


ごめんね。嘘ついてる。


「それは、嘘でしょ?」


「嘘じゃないよ。」


「旦那さんにバレたの?」


「バレた。不倫してるのかって言われた。」


これも、嘘


「ごめん。あんたの家庭、壊すつもりなんてないよ。」


「だったら、もう連絡とらない方がいいよ。」


「歌詞、一緒に作りたい。」


「そうやって、連絡とるとまた私が疑われるのわかんない?わかんないよね、結婚してないし、若いからちゃんとその意味わかってないよね。」


「何で、そんな酷いこと言うの?」


「別に、普通だよ」


「あんたは、俺と話すの楽しいと思ってた。」


「めんどくさかったよ。ファンでもないし」


嘘だよ。楽しいに決まってるよ。


そしたら、鼻水すするみたいなのが聞こえて


「俺、バカみたいだよな。一人で…。あんたと話すの楽しくて、何でも話して」


「そうだよね。」


これも、嘘だよ。


たぶん、同じだよね。


私も、目から涙がスーって流れてきてるから…。


「迷惑だったら、早く言ってよ。こんな風に思う前にさ。」


「ごめんなさい。」


「謝って欲しいわけじゃないよ。俺は、あんたと楽しく話したかった。これから先も。例え、俺に彼女が出来ても、結婚しても…。何かわかんないけど。誰にも理解されないと思うけど。あんたと俺なら、そうなれると思った。」


わかってる。そんな気がしてたよ。話してるうちに、だんだん。


家族でも友達でも恋人でもない。


不思議な感情に気づいてたよ。



「なれないでしょ?恋愛感情なしに、男女に友情なんてあるわけないでしょ?」


「そうだよな。あんたが、俺を好きになってきてたならこの関係はやめるべきだよな。」


「そうだよ。私、好きになってきてたから。このまま行くと離婚するかもしれなかったし」


嘘つき。そういう好きに、なってないのに…。


「わかった。もう、連絡しないから」


「さよなら」


「さよなら」


そう言って、電話を切った。


苦しい。


巽くんとの時間は、楽しくて。


つぎはぎだらけの心をコーティングしてくれてたのが、巽くんだと気づいた。


今ので、それが剥がれた。


ヤバイ、また不安感と動悸襲ってきた。


私という人間を好きになってくれてたのちゃんと知ってる。


私もそうだった巽君という人間が好きだった。


男とか女とか関係なかった。


ただ、楽しくて、ただ幸せで。


巽君が言うみたいに、ずっと続いていくと思ってた。


昔から、居たみたいに心地よくて穏やかで。


でも、それは男女の関係になったらなくなるのわかる。感じる。


失くしたくなかった。


歌詞、書き上げたかった。


私は、スマホを見ながら泣いてた。











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