詞を送る
家についた。
「俺、風呂はいってくるね」
「うん。」
勇作が、お風呂に入った。
私は、冷蔵庫を開ける。
何食べよう。
オムライス、食べよう。
あっ、そうだ。
さっき思った気持ち送っておこう。
(失くした夢) 送信
こんな感じでいいのかな?
まぁ、いっか。
勇作が言った言葉も送っておくか
(全力で応援) 送信
よし、オムライス作ろう。
オムライス作り終わったら。
勇作が、あがってきた。
「オムライス食べるの?」
「お腹すいたから、勇作は?」
「弁当食べたよ。チーズだけかじろ」
「いいね。お酒飲むの?」
「うん。ムギ姫、ただいま。」
ニャー
そう言ってムギ姫を撫でている。
オムライスを持って、座った。
勇作は、隣に座った。
「結婚式にきてたさ、ゆあちゃん子供できたんだって、snsにのせてた。」
「そっか。」
「私達は、全然だね。」
「気にしなくていいじゃん。」
だって、みんなすぐ妊娠するんだよ。
私以外、みんな授かってるよ。
言いたいけど、やめた。
「おめでとうって送れた」
「よかったな。」
昔なら、言えなかった。
おめでとうなんて。
あっ、そうだ。
(おめでとうが言えない) 送信
送っといた。
何か、ちょっと楽になる。
「俺、りーちゃんと二人で生きるの悪くないと思ってるよ」
「うん。」
「またさ、あんなに傷ついてるの見たらさ。辛いから」
「うん、わかってる。」
勇作は、テレビをつけた。
私は、オムライス食べてる。
ピロン メッセージきた。
(300円。失くした夢、誰かにとられ、君の夢 全力で応援したかったけど、僕はおめでとうが言えなかった。)
何かわかんないけど、スゴッ!!
こうやって繋げるんだ。
(スゴイです。) 送信
(適当だから、これはボツ。単語は、保存しとく。)
これが、適当。
そっか、こうやってしてくれるんだ。
なんとなくわかった。
詩にしてくれたら
心のモヤモヤが、楽になる。
スッーてする。
「りーちゃん、芹沢龍見てるの?」
いつの間にか、勇作がテレビ消してた。
「何で?」
「嬉しそうだから…。」
ニヤけてたんだ。
「うん、写真見てた。」
「そっか」
嘘ついた。
だって、まだ何の形にもなってないから…。
「俺、寝るね」
「うん。今日は、ありがとう」
「いえ、いえ」
「おやすみ」
「おやすみ」
勇作が、寝に行った。
私は、もう少しだけ単語を考える。
何にしよう。
あっ、そうだ。
(望む未来を手に入れる事さえ出来ない) 送信
(この手に抱き締める事さえ叶わない) 送信
赤ちゃんダメだった時に感じた気持ちを捨てた。
ってより、売った。
ピロン
(長いから、一つ300円で買う。すげー、切ない)
届いたんだ。
その時の私の気持ち
スゴイ。
私は、今日はここまでにして寝ようと思った。
「ムギ姫」ニャー
「やっぱり、芸能人は感受性がすごいんだね」ニャー
「そうだよね、よしよし」
胸の痛みが、少しだけ減った。