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「マホナの親友のめいちゃんね。風俗やっているの、あっ、言っとくけどブーちゃんだからね。めいちゃんもマホナはホステスやればいいってずっと言っていたのよ、マホナなら絶対一番になれるって。あーあ、こんな田舎でやることになるなんて、ねぇ聞いている?」
「絶対似合うよ」
「ちょっとは心配しなさいよ! すっごく恐いんだから!」
「ママなら良くしてくれるんじゃないかな」
「そう思う? ママは良い者かな」
「良い者なんじゃない?」
「オヤジは地獄に堕ちるって、レオも言っていた」
「レオはそんなこと言わないでしょ」おれは話を変えた、「オヤジって社長のこと?」
「だって、オヤジでしょ、他になんて言うのよ」
「そうだね」おれは笑った。「地獄ってあると思う?」
「愚問ね。聖書も全部暗記していたんだから、お食事の時間にみんなで朗読するの」マホナは慌てて付け加えた、「あ、でも、聞いてもダメよ、もう忘れちゃったから」
「そっかぁ、それじゃあ地獄はあるんだ」
「そんなの人によるわよ。色々あるの」
マホナをうそつき呼ばわりしたかったが、こらえた。言ってしまえば、もう会えない気がした。いや、内心騙されたかったのかもしれない。
早速マホナは浜の家を出て行った。