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Endless Summer  作者: akiona
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 夜勤が始まってからおれの日課はこうだった。日没頃夕食を済ませて寮に帰ってから三時間寝て、零時から四時半までローソンで働く。四時半にローソンに買い物に来たオヤジたちの車に乗り、正午まで浜で働く。昼食後の休憩時間に昼寝所を探す。

 マホナは警察署に通うと言った。給料の事は聞いてないが飯代はもらっていた。そのため浜にも顔を出した。彼女が浜にいるときはオヤジやおれを手伝ったが、自分一人で売ることは得意じゃなかった。次第に彼女が浜に来ることは減り、二人になった時に「ここはもう耐えられない」とこぼした。

 その頃、浜はすでに人で溢れかえっていて、パラソルを開く場所に困るほどだった。うちの拠点のま隣りでは毎日撮影が行われていた。広く場所を陣取り、テントと機材で外からは見えないようにしていた。素人が料理名をヒントに調理する番組で、スタッフたちは偉そうにして、ビキニの女たちは大声でキャッキャと鳴いていた。邪魔でしかなかった。

 浜が盛況でもチームの売り上げは行き詰まった。競合との争いが激化していったからだ。十代のライバルたちはすぐに仕事を覚えたし、うち以外は出来高制だったため身内も蹴落とす勢いで争っていた。もう一つの原因は菊池だった。まだ自分から声をかけられずにいた。いつも笑顔でショベルを持って立っていた。相当悔しかっただろう。

「おい! 小僧、ずるするんじゃねぇ!」オヤジは、浜を出て道路で客引きする同業者を怒鳴り、後輩だと言っていた相手のボスにつめよった。そんなことが度々あり、オヤジは無秩序な商売に少しずつ自分に有利なルールを設けていった。始めに作ったルールは、浜を出て売っては行けないこと、それと、始めに声をかけた者が優先的に交渉できることだった。ルール制定後も入り口は激戦区で、一組の客に三人以上が同時に声をかけた。オヤジが一番負けず嫌いで小僧たちと争っていた。おれは至る所を歩き回り出入り、押売りを逃れた客や別の入り口から入った客を口説いた。そして、一日のうち何度か客がまとまって入ってくる時間帯になると、オヤジに呼ばれ一緒に入り口を張った。オヤジは、共に戦ってくれるのはおれだけだと思っていただろう。


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