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ある旅人の独白

作者: 匿名

かなり昔の作品を発掘したので、供養として投稿。

今は亡き某サイトに投稿したもの。

一切未加筆。

俺はビルの屋上に座りながら夕日を眺めていた。

それは美しかった。言葉では言い表せないような美しさだった。

バッグを開け、そこから弁当として準備したおにぎりを出す。

そういえば高いところから見るのは久しぶりだったなと思う。

前に初日の出を見るために、近所の山に登ったとき以来だ。

そんなとりとめもないことを考えながら、しばらくそこにいた。

夕日が完全に沈み、夜の闇が顔を出す。

急に冷え込んできたので、バッグからコートを出す。

そしてもう一度、夕日が沈んだほうを見た。

さっきのような美しい夕日はなく、そこには荒廃した大地があるだけだった。




ぼろぼろのビルから降り、太陽電池を使用したバイクに荷物を積み、

バッテリーへの充電状況を確認する。

そのバイクは、後方の荷台にこれでもかというほど荷物が積まれていた。

ほかに、サイドカーがついており、それにも荷台同様、これでもかというほど荷物が詰め込まれていた。

荷物を積みながら、過去のことを思い出す。

4年ほど前、戦争があった。とある小さな島が引き金となった戦争だった。

その国には核兵器と呼ばれる強力な兵器があった。

といってもその時点では「あった」であり、過去の話であった。

そのとき、その国からは核兵器は、ある大国との条約によって無くなっていた。しかし、その後続いた飢饉によりにっちもさっちもいかなくなり、やけっぱちで戦争を始めた。

そのときに使った兵器が、生物兵器だった。それも強力なウイルス。それによりその国を含めたほとんどの国の人間を死滅させた。ワクチンが存在しない実験段階のものも投入したらしく、一部帰還した兵士や将校などの軍の関係者などによりその国にも蔓延したらしい。その生物兵器の潜伏期間が実験段階で長く設定されていたことも一因だったらしい。

さらに大国がウイルスを死滅させるために核兵器を投入したが失敗。生物兵器を全滅させるにはいたらず、その国も生物兵器によって機能不全に追い込まれ、最終的には滅びた。核兵器による破壊などによって街はほとんど破壊された。

生き残ったごく一部の人間は小さな集落のようなものを作り、細々と生活している。




荷物を積み終わり、発車できるようにキーをさす。

目の前には日も沈み、暗くなった地平線が荒廃した大地の先に見える。

コンクリートのビルは夜は底冷えするために、寝床には向かない。ちょうどいい寝床を探さなくてはならない。人が住む集落につくことができれば最高だ。

俺はバイクにまたがり、そして発進させた。

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