雪からのクリスマスプレゼント
一人の少女が一面の雪景色を眺めていた。
少女は、真っ白い一面の雪とは正反対の真っ黒なコートに身を包み、モノクロのマフラー、黒い雪模様のついた手袋、黒いスキニーパンツ、足元は黒いスノーブーツで身を固めていた。
はらり、はらりと白い雪が舞う。しかし、少女は帽子を被っていない。
少女は手袋をつけた手ではらり舞う雪を手にのせる。そして、こう言った。
「あなたはわたしとは違うのね。わたしは独りぼっちだけど、あなたは独りぼっちじゃない。」
少女は雪に話しかけた。当然返事が返ってくる筈もなく、手に載せた雪は溶けて消えてしまった。
ぶわり。
風が吹いた、とても強い風が。
「確かに僕らは独りぼっちじゃない。だけど、君とは同じだよ。」
そう、風の中の雪は言った。
答えが帰ってくるとは思わなかった少女は、唖然としていた。すぐにハッとして言った。
「独りぼっちじゃないなら、違うんじゃないの?何処が一緒なの?」
その問に風の中の雪が答えた。
「家族がいるところだよ。ほら、君は独りぼっちじゃない。一緒さ。」
少女は気付いた。そう、少女は独りぼっちじゃ無かった。
温かい家族が少女にはいる。
少女は笑った。
「ふふふ。そうね、一緒だったわ。」
少女は嬉しそうに言った。
「そうだよ!一緒!」
風の中の雪も嬉しそうに言った。
少女は満足そうに家に向かい、足を踏み出した。
風の中の雪はもう喋らない。
「ああ、そっか。今日はクリスマスだ。」
少女はポツリと呟いた。