Incus
遠く遠く、はるか遠く。
距離は8,000m級。
それとももっと、もっと、遠く。
手の届かない、宇宙の下から。
僕のいる、所をめがけて。
鎚を振るう。
光が広がる。
ややと遅れて、音が来る。
カーン。カーン。
リズミカルに。
カーン。カーン。
ダンスをする。
下から上に昇っていく、熱い風が、ふいごを踏む。
振るわれた鎚の下で、冷たくなった風が吹き下ろす。
時折、しぶきが、落ちてくる。
輝く光。
響く音。
何が出来上がるのか、楽しみな僕。
でも怖いから。
窓の後ろに隠れて見る。
毛布にくるまって、待っている。
早く行っちゃえ。
かなとこの雲。
頑丈な気がする。
見た目だけ。
触ってみると、きっとふわふわする。
でも、その中は、激しくバチバチしてるはず。