表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/80

神流崎秀也 生前

 神流崎秀也の享年は、十六歳である。死因は交通事故であった。

 もっとも、事故の責任は本人にある。


 若者のバイク離れが囁かれるようになって久しいが、彼はバイクは格好いいものという信条の持ち主であった。見た目の格好良さという点においては、しょせん原付なのでたかが知れていたが、行動範囲は自転車のそれに比べると大幅に広がるだろう。


 土日には近所のコンビニでバイトをし、小金を稼ぐ。たった数万といえど、高校生には大金である。その上、バイクを持っていて行動範囲も広い。遠出をして、色々な遊び方を知っている。


 秀也の考える格好いい男とは、そういうものだった。


 十六歳を迎えたばかりの彼は、待ちに待ったとばかりに原付免許を取得し、親にねだって買ってもらった電動バイクを駆って、颯爽と初めての公道へと試運転をさせた結果、優先道路の表示を見落として速度を落とさずに十字路を進み、横の道から現れたトラックに撥ねられた。


 実走行時間が三分にも満たない118,700円の電動バイクを道連れに、彼は十六歳の生涯を閉じた。


 バイクショップの店員の受け売りそのままに、秀也が親を説き伏せてわざわざ高いバイクを購入した理由の一つ、「地球環境にも配慮した、バッテリーを交換すれば半永久的に使えるエコな電動バイク」はその性能を発揮せず終いであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ