「お出かけですか?」レレレのレ! 02
「おかげで助かりました」
「オマエ、ヘイコラしてたじゃねえかよ」スコップを捨てた。
「オレに助けを乞うたよな、許して下さい、助けて下さいってよ」
恩を売っているつもりなのだろうか。
「今のうちだぜ、もうすぐオレの仲間が上がってくる。謝るなら今のうちだ。
こないだみたいに、そこに這いつくばって許しを乞えよ、え? アオキさんよ」
穴から上ろうとして、彼が持っているものに気づき、ひいっと高い悲鳴をあげ、穴の中に転げ落ちた。白い靴も泥だらけだった。
「たた頼む、撃たないでくれ」
自分がひざまずいている。
「薄っぺらいプライドを捨てるのも、仕事のうちなんですよ」
サンライズは、ぴたりと彼に照準を合わせている。
「オ、オマエどこの組のモノだ、もしかしてオレそこに知り」
「言葉は、丁寧に」
「も、もしかしてワタクシも……同じ……」
折角高価なズボンの前に、黒いしみが広がってきた。
「お、お願いします、助けてください、許して……」
こいつを『力』で更生させるのはもったいない、これで十分だ。
「残念ながら、オレには裁く権限がない」
ちらりとふり向くと、警察庁の捜査員が数名、ぜいはあと丘を上ってくるのが見えた。
「アオキさん、こちらでしたか」
「誰か見つけましたか」
サンライズ、持っていた銃で穴の中の男を指した。捜査員の1人が、咎めるような目を彼に向けた。
「あれ、アオキさん、そんなの使って良かったんでしたっけ?」
彼はオダに向かって引き金をひいた。甲高い悲鳴が上がる。
共に細い水が弧を描いて、穴の中にいる男の額に当った。
捜査員はあきれたように、サンライズの銃を取り上げた。
「オレにだって、少しは遊ぶ権利はあるぞ」
ぶつぶつ言いながら、彼は連行される男を見送った。
「それよか、アオキさん。事務所でうちのアズマっていうのが呼んでますんで、色々とお話していただけますか」
「はいはい」
そのうち、スコップを持った迷彩服の男たちも現場に到着した。
「何人くらい、見つかるかな」
「夜中までかかるかな、明日にしましょうか」
「いや……掘る範囲だけでも決めよう」
責任者らしい男が、行方不明になっている教団信者や関係者のリストを指でたどっていた。
「よし作業はじめ」
夕焼け空に、サーチライトがともされた。サンライズは黙って、丘を下っていった。




